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第3章 ニューヨーク
パーク・アヴェニューの五つ星ホテル
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五つ星ホテルには、エグゼクティブ用の会議室なるものが存在する。
このマンハッタンにある、ウォルドルフアストリアも例外ではない。
そんな贅を極めた一室で先ほどミーティングを終えたジェレミー・ルイス氏は、クライアントとロビーで別れの握手を交わした後、再び奥に向かった。
――あ、やっぱり戻るのね。アタッシュケースを部屋に置いたままだったから、そうなのかなとは思ってたけど。
小走りで後に続き、エレベーターまでロビーを横切りながら、リサはそこに飾られたクロックタワーをちらと見上げる。
――きれ……い。まるでウエディングケーキみたい。
昨日誰かの結婚披露宴でもあったのか、今日のホテルのロビーは花で溢れかえっていた。ウエストミンスター寺院の時計塔を模した、3メートル近くも高さのあるクロックタワーは、ウォルドルフアストリアを象徴するあまりにも有名なオブジェだ。その時計塔のまわりも、白を基調とした優雅な花が飾りつけられている。
高層階まで帰ってきた二人は、エグゼクティブ・ルームに今、足を踏み入れた。
――べ、別に深い意味なんてない。
こっそりジェレミーを盗み見れば、いつもの精悍で引き締まったチーフ・エグゼクティブ・オフィサーの顔をしていた。一人で勝手にときめいているリサをよそに、彼はカップボードに歩み寄ると、中からクリスタル細工の……まるで芸術品のようなカットグラスを二つ取りだし、ペリエを注ぐ。
「喉が乾いてない?」
――はい。
正直に言うと今日の午後、クライアントとのミーティング前にここに初めて足を踏み入れた時、リサは部屋に備え付けられた家具やカットグラスに、まるで美術品か何かのような威厳のある印象を受けた。たぶんそれは、スイートにはダブルやツインより数ランク上の調度品が備えられているせいだった。
ジェレミー・ルイス氏のインターンとして何度もラグジェリアスな場所を訪れていれば、豪華なインテリアにも慣れてきているつもりでいた。けれどそんな経験を経ても、知らず知らずのうちにため息がこぼれてしまうくらい、今日のクライアントのために用意した部屋はまるで日常とはかけ離れた贅沢な空間だった。
だからたった今、グラスに水を注いでいる彼を見ていてようやく我に帰り、このクリスタル・カットグラスは芸術品なのではなく、使ってもいい日用品だという意識を取り戻したところだ。
とはいえリサの家族は貧しいわけでもないし、資産家の子息が多いハーバードにおいても友人に引け目を感じることのない程度の家柄だった。
でもここにいる上司は、生まれた時から富豪で権力のある家で育った人だ。たぶんプライベートな交友関係も普通の人とはちょっと違う、別世界の人なのだ。
一般に「本物の上流階級の人というものに、それ以外のクラスの人間は接する機会がない」とはよく言われることだが、どんな階級でも仕事をしている人というものは存在する。だからたまたま、こうしてリサも身近に接する機会に恵まれることになった。
いや彼女だって、今までの人生で、上流の人と交流が皆無というわけでもなかった。最近もクラスメイトと乗馬を習っている時に、育ちの違う人たちと何度か話したことがある。彼らを一言で表すと、「上流階級の人って、上品だけどちっとも気取っていないのよね」……という友人のコメントが最も的しているような気がする。
アッパークラスの人は、一般人に対して尊大な態度を取らない。
意外と友好的なのだが、何をやっても上品に見える特権を持っている。それは権力があるから特別に扱われているのではなく、上流階級の人が身につけた教養、優雅さ、余裕、鷹揚さ……といった種類のものが魅力になっているからだろう。
ところでこのエグゼクティブ・スイートのエントランスホールには、特別の窓がある。それはクライスラー・ビルを額にはめ込んだような……、眺める人の動きにつれてクライスラーも角度を変える……、要するにピクチャーウィンドウと呼ばれているものだ。ジェレミーは彼に良く似た上質のグラスを手に、夕刻の赤紫に色づき始めた窓辺に佇んだ。
「完成のわずか翌年には、エンパイアステートに世界一高いビルの座を奪われてしまったが、私個人としては、クライスラーのほうが美しいと思っている」
「ええ、とても優雅だと思います」
「特に夕刻、明かりが灯された後は……」
彼がそこまで言った瞬間だ、ビルの頭頂部に照明が灯ったのは!
まるで目の前の人が、魔法で明かりをつけたのかとすら思えた。くすりと笑みを交わすジェレミーも、きっと同じことを考えていたに違いない。
窓から漏れる光がまさに冠(クラウン)をいただくビルは、昼間よりもずっと存在感を増し、女神のごとく輝いている。頭頂部のステンレス製のドームは、クライスラー車のパーツをイメージしてデザインされたものらしいが、それにしては優美すぎるくらいだ。
遥か下の地上、50thストリートには騎馬警官の姿が見下ろせた。
ニューヨーク名物になりつつあるが、常に交通渋滞でパトカーが駆けつけられないマンハッタンにおいて、騎馬警官だけは渋滞を縫って現地に行くことができるという実用性もありもう一六〇年以上の歴史がある。
ペリエで喉を潤した彼は、彼女が飲み終えたのを待ってコートを手に取った。なめらかな薄手の生地が、その動きに合わせてゆらりと美しい波のドレープを息づかせる。空気までもがジェレミーに従えられているかのように、静かに波打っていた。
「ああ、今日のレッスンが、まだだったかな?」
いったん手にしたコートを彼は椅子に置き直す。今まで呆然とその動きを追っていたリサの瞳は、ジェレミーの視線に捕らえられた。
――たった今この人は、違う人間になった……。
人前ではいつも紳士的なのに、リサと二人で会話をする時だけ、ほんの時折まるで王さまのような支配と権力を垣間見せるジェレミー・ルイス社長になる。
ゆったりと椅子に座り、支配者のように背もたれによりかかって、少し冷ややかな声で命令を下す彼……。
――レッスンって、何のレッスン?
「明日の朝イースタンタイム8時半、ヨーロッパ中央銀行の総裁のコメント発表がある」
そう言ってタブレットデバイスを立ち上げた。
――あ、そのレッスン……ですよね、もちろん。
「昨日の消費指数データには市場はそれほど反応しなかったが、今回は注目されている政策金利が提示された直後の総裁の発言だ。為替は大きく変動するだろう。一見ここ数日落ち着いてきているように見えるけれど、移動平均線が下降している。これは何を意味する?」
「そ、そんな急に……え……と、価格が下がるサイン……ですか?」
「その通りだ。じゃあ五日移動平均線の価格で空売り注文。それから五十日移動平均まで下降したところで利益の確定買い戻し。市場は時どきコメントにすぐ反応せず、10分ほど遅れて大きな波が来ることがあるから、時間がかかる時は出社が遅くなっても構わない。あ、ちゃんと損切り注文も同時に入力するのを忘れないこと」
画面でFXのチャートを確認しながら、彼女に為替取り引きの指示を出した。
実際のところ今では全てコンピュータ化され、ろうそくチャートを読んで手動入力するトレーダーのほうが少なくなってきているそうだ。しかし初心者向けの教育には、この「チャートから予測する」という基本中の基本を、省略するわけにもいかなかった。
その予想通りに価格が動けば数分で一万ドルもの利益になる。
あまり欲張れば取り引きは達成しないが、これは七割近い確率で確定できる、公算の大きい予測だった。
「発注は何時に入れますか?」
「総裁の会見の5分前だ。ユニット数はいつもと一緒で。どうしても利益確定の決断をするのに困ったら、SNSで報告してきてもいいよ」
――え? それって……ニューヨークでは朝の8時25分。お仕事の件でなら、ルイス一家の朝食の最中にチャットしても構わないってこと?
今回はたぶん動きが大きいから特別なのだ。
「君には別に、家族に隠すようなことは何も教えていない……」
「え……ええ」
――おっしゃる通りです。
ジェレミーのFX取引は、金儲けというより「ひとつひとつの経済ニュースに、社会がどう反応を示すのか」を知るためだった。
たとえばFRB議長が金融緩和を打ち切る発言をすれば、為替相場が大きく変動する。
その振れ幅の大きさは、世間にとってそのニュースがどのくらい個人の生活と関わってくるのかを示している。人びとには今何が重要なのか、もしくは関心がないことは何なのか。為替の波の大きさを見ることは、世界経済全体に対してアンケートを取っているようなものである。大企業を動かしているルイス氏にとって、この反応から得られる情報はなくてはならないものだった。
「以上だ」
そう言うと彼は、電話でホテルのフロントデスクにリムジンを手配させた。
リサは急いで追いかける。天軍の最高指揮官にも似たその後ろ姿を……。
このマンハッタンにある、ウォルドルフアストリアも例外ではない。
そんな贅を極めた一室で先ほどミーティングを終えたジェレミー・ルイス氏は、クライアントとロビーで別れの握手を交わした後、再び奥に向かった。
――あ、やっぱり戻るのね。アタッシュケースを部屋に置いたままだったから、そうなのかなとは思ってたけど。
小走りで後に続き、エレベーターまでロビーを横切りながら、リサはそこに飾られたクロックタワーをちらと見上げる。
――きれ……い。まるでウエディングケーキみたい。
昨日誰かの結婚披露宴でもあったのか、今日のホテルのロビーは花で溢れかえっていた。ウエストミンスター寺院の時計塔を模した、3メートル近くも高さのあるクロックタワーは、ウォルドルフアストリアを象徴するあまりにも有名なオブジェだ。その時計塔のまわりも、白を基調とした優雅な花が飾りつけられている。
高層階まで帰ってきた二人は、エグゼクティブ・ルームに今、足を踏み入れた。
――べ、別に深い意味なんてない。
こっそりジェレミーを盗み見れば、いつもの精悍で引き締まったチーフ・エグゼクティブ・オフィサーの顔をしていた。一人で勝手にときめいているリサをよそに、彼はカップボードに歩み寄ると、中からクリスタル細工の……まるで芸術品のようなカットグラスを二つ取りだし、ペリエを注ぐ。
「喉が乾いてない?」
――はい。
正直に言うと今日の午後、クライアントとのミーティング前にここに初めて足を踏み入れた時、リサは部屋に備え付けられた家具やカットグラスに、まるで美術品か何かのような威厳のある印象を受けた。たぶんそれは、スイートにはダブルやツインより数ランク上の調度品が備えられているせいだった。
ジェレミー・ルイス氏のインターンとして何度もラグジェリアスな場所を訪れていれば、豪華なインテリアにも慣れてきているつもりでいた。けれどそんな経験を経ても、知らず知らずのうちにため息がこぼれてしまうくらい、今日のクライアントのために用意した部屋はまるで日常とはかけ離れた贅沢な空間だった。
だからたった今、グラスに水を注いでいる彼を見ていてようやく我に帰り、このクリスタル・カットグラスは芸術品なのではなく、使ってもいい日用品だという意識を取り戻したところだ。
とはいえリサの家族は貧しいわけでもないし、資産家の子息が多いハーバードにおいても友人に引け目を感じることのない程度の家柄だった。
でもここにいる上司は、生まれた時から富豪で権力のある家で育った人だ。たぶんプライベートな交友関係も普通の人とはちょっと違う、別世界の人なのだ。
一般に「本物の上流階級の人というものに、それ以外のクラスの人間は接する機会がない」とはよく言われることだが、どんな階級でも仕事をしている人というものは存在する。だからたまたま、こうしてリサも身近に接する機会に恵まれることになった。
いや彼女だって、今までの人生で、上流の人と交流が皆無というわけでもなかった。最近もクラスメイトと乗馬を習っている時に、育ちの違う人たちと何度か話したことがある。彼らを一言で表すと、「上流階級の人って、上品だけどちっとも気取っていないのよね」……という友人のコメントが最も的しているような気がする。
アッパークラスの人は、一般人に対して尊大な態度を取らない。
意外と友好的なのだが、何をやっても上品に見える特権を持っている。それは権力があるから特別に扱われているのではなく、上流階級の人が身につけた教養、優雅さ、余裕、鷹揚さ……といった種類のものが魅力になっているからだろう。
ところでこのエグゼクティブ・スイートのエントランスホールには、特別の窓がある。それはクライスラー・ビルを額にはめ込んだような……、眺める人の動きにつれてクライスラーも角度を変える……、要するにピクチャーウィンドウと呼ばれているものだ。ジェレミーは彼に良く似た上質のグラスを手に、夕刻の赤紫に色づき始めた窓辺に佇んだ。
「完成のわずか翌年には、エンパイアステートに世界一高いビルの座を奪われてしまったが、私個人としては、クライスラーのほうが美しいと思っている」
「ええ、とても優雅だと思います」
「特に夕刻、明かりが灯された後は……」
彼がそこまで言った瞬間だ、ビルの頭頂部に照明が灯ったのは!
まるで目の前の人が、魔法で明かりをつけたのかとすら思えた。くすりと笑みを交わすジェレミーも、きっと同じことを考えていたに違いない。
窓から漏れる光がまさに冠(クラウン)をいただくビルは、昼間よりもずっと存在感を増し、女神のごとく輝いている。頭頂部のステンレス製のドームは、クライスラー車のパーツをイメージしてデザインされたものらしいが、それにしては優美すぎるくらいだ。
遥か下の地上、50thストリートには騎馬警官の姿が見下ろせた。
ニューヨーク名物になりつつあるが、常に交通渋滞でパトカーが駆けつけられないマンハッタンにおいて、騎馬警官だけは渋滞を縫って現地に行くことができるという実用性もありもう一六〇年以上の歴史がある。
ペリエで喉を潤した彼は、彼女が飲み終えたのを待ってコートを手に取った。なめらかな薄手の生地が、その動きに合わせてゆらりと美しい波のドレープを息づかせる。空気までもがジェレミーに従えられているかのように、静かに波打っていた。
「ああ、今日のレッスンが、まだだったかな?」
いったん手にしたコートを彼は椅子に置き直す。今まで呆然とその動きを追っていたリサの瞳は、ジェレミーの視線に捕らえられた。
――たった今この人は、違う人間になった……。
人前ではいつも紳士的なのに、リサと二人で会話をする時だけ、ほんの時折まるで王さまのような支配と権力を垣間見せるジェレミー・ルイス社長になる。
ゆったりと椅子に座り、支配者のように背もたれによりかかって、少し冷ややかな声で命令を下す彼……。
――レッスンって、何のレッスン?
「明日の朝イースタンタイム8時半、ヨーロッパ中央銀行の総裁のコメント発表がある」
そう言ってタブレットデバイスを立ち上げた。
――あ、そのレッスン……ですよね、もちろん。
「昨日の消費指数データには市場はそれほど反応しなかったが、今回は注目されている政策金利が提示された直後の総裁の発言だ。為替は大きく変動するだろう。一見ここ数日落ち着いてきているように見えるけれど、移動平均線が下降している。これは何を意味する?」
「そ、そんな急に……え……と、価格が下がるサイン……ですか?」
「その通りだ。じゃあ五日移動平均線の価格で空売り注文。それから五十日移動平均まで下降したところで利益の確定買い戻し。市場は時どきコメントにすぐ反応せず、10分ほど遅れて大きな波が来ることがあるから、時間がかかる時は出社が遅くなっても構わない。あ、ちゃんと損切り注文も同時に入力するのを忘れないこと」
画面でFXのチャートを確認しながら、彼女に為替取り引きの指示を出した。
実際のところ今では全てコンピュータ化され、ろうそくチャートを読んで手動入力するトレーダーのほうが少なくなってきているそうだ。しかし初心者向けの教育には、この「チャートから予測する」という基本中の基本を、省略するわけにもいかなかった。
その予想通りに価格が動けば数分で一万ドルもの利益になる。
あまり欲張れば取り引きは達成しないが、これは七割近い確率で確定できる、公算の大きい予測だった。
「発注は何時に入れますか?」
「総裁の会見の5分前だ。ユニット数はいつもと一緒で。どうしても利益確定の決断をするのに困ったら、SNSで報告してきてもいいよ」
――え? それって……ニューヨークでは朝の8時25分。お仕事の件でなら、ルイス一家の朝食の最中にチャットしても構わないってこと?
今回はたぶん動きが大きいから特別なのだ。
「君には別に、家族に隠すようなことは何も教えていない……」
「え……ええ」
――おっしゃる通りです。
ジェレミーのFX取引は、金儲けというより「ひとつひとつの経済ニュースに、社会がどう反応を示すのか」を知るためだった。
たとえばFRB議長が金融緩和を打ち切る発言をすれば、為替相場が大きく変動する。
その振れ幅の大きさは、世間にとってそのニュースがどのくらい個人の生活と関わってくるのかを示している。人びとには今何が重要なのか、もしくは関心がないことは何なのか。為替の波の大きさを見ることは、世界経済全体に対してアンケートを取っているようなものである。大企業を動かしているルイス氏にとって、この反応から得られる情報はなくてはならないものだった。
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