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第九話 ライタルの治療ふたたび
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メリカが必死に馬を走らせたので、その日のうちにライタルをのせた荷馬車はガンダ国につくことができた。
すぐにアンナの診療所にライタルが運び込まれた。
「アンナ様、お願いいたします」と、ペラルは頭をさげ、メリカは「王子は大丈夫ですよね?」と不安げな声をだしていた。ここに来るために馬を走らせ、荷馬車を激しくゆらしてしまったからだ。ライアルの腹部にベラルがまいた薄布は血で赤色に染まっていた。
治療台にのせられたライタルは目を開けておらず顏も青白くなっていた。アンナもライタルを見て、顔を青くした。治療を始めるのが遅すぎるのではないかと思ってしまったからだ。
「お腹を切られたのですね。外で待っていてください」と、アンナは二人に事務的に言っていた。今度ばかりはライタルを元に戻せないかもしれないという不安に襲われていたからだ。そして、そんな気持ちを二人に見抜かれたくはなかった。
アンナはさっそく腹部に向かって手をかざしだした。内臓に傷がついているこんな大けがを治療したこといままでない。だがアンナの聖女としての力も強くなっている気がしていた。前より早く人を癒すことがことができるようになっていた。聖女として力が強まってきたためか、アンナが癒しのためにかざす手は、熱を帯び、かすかに光だしていたのだ。
アンナは、必死に念をいれて手を何度も複部の上を行きさせた。手を腹部の上にあげ続けるだけでも、腕がだるくなる作業だ。
やがてアンナの額に汗が噴き出し、アンナの顔にも疲れの色が見えていった。まるで、アンナの命をライタルに注ぎ込んいるかのようだった。
その夜にアンナができたことはライタルの傷口をふさぎ体に血をめぐらせるようにしたことだ。そのおかげで、ライタルの顔から青さが消えていた。さすがに疲れ果てたアンナは治療台そばの椅子に腰をおろし、数時間の仮眠をとった。だが、気をはっているアンナは、すぐに目をさましていた。夜明け前にアンナはふたたび治療を始めていた。
次の日、昼を少し過ぎた頃、ミブライ王が診療所にやってきた。ミブライ王も、この度の戦いを勝利に導いたライタルの安否が気がかりで、馬車を走らせてかけつけてくれたのだ。
ミブライ王は治療室前で塑像のように立っているメリカとベラルに「どうでござるか?」と声をかけた。だが二人が何も答ようとしないので、それが不満足だったのか、カーテンを引いて治療室に入った。
ライタルは、目をつぶったままで治療台の上で寝ていた。
「どうですかな?」と聞いたミブライ王は、アンナを見て、すぐに笑顔になっていた。
「やっぱり、あなたは、フターク国におられた方ですな。名前が同じだが、お会いするまで、本当に同じ人だとはどうしても思えなかった」
「ミブライ王、私がフターク国にいたのは昔のことでございます」
「いや、話は聞いております。いまは、ガンダ国にお住まいとか。ともかく、あの時は、お腹が痛くて死ぬかと思っていましたよ。それを、あなたは治してくれた。どうですか。ライタル様は、この度の戦の最大の功労者ですぞ。ここで死なすわけにはまいらん!」
「なんとか、命をつなぐことができました」
アンナの厳しい顏を見ていると、まだライタルの治療は終わっていないことをミブライ王は知ったのだった。
「アンナ様、ライタルのこと、よろしくお頼みもうしますぞ」
ミブライ王はアンナに頭をさげると、治療室をでた。
治療室の外にたつメリカとベラルが、強張った顔をし続けていた。
ミブライ王は、このまま帰りたくなかったのだろう。
「アンナ様は、どうしてガンダ国にこられたんですかな?」と、メリカに聞いていた。
「ガーナルという聖女頭に嫌われたそうですよ。ガーナルは、アンナ様がイヤリングを盗んだという因縁をつけ、アンナを国外へ追放させた。そこで、仕方なくガンダ国にきて働き出し、やがてアンナ様は傷を負った人たちの治療を始めたというわけですよ」
「いや、わかりました。アンナ様をフターク国にいれなくしたのは、私のせいかもしれませんな。私の腰を直してもらった時にガーナルのプライドを傷つけたのかもしれない。ガーナルは侯爵の娘である立場をつかって聖女たちを支配しようとしている。そのために彼女を上回る働きをする者はいなくなり、聖女頭が言ったことしかしなくなったそうですな。その上、治療をしてもらえる者は、地位のある者か、裕福な金持ちばかりになってしまったとか」
ミブライ王は、言いたいことを言えたと思ったのか、肩をすぼめてみせると、診療所から出ていった。
すぐにアンナの診療所にライタルが運び込まれた。
「アンナ様、お願いいたします」と、ペラルは頭をさげ、メリカは「王子は大丈夫ですよね?」と不安げな声をだしていた。ここに来るために馬を走らせ、荷馬車を激しくゆらしてしまったからだ。ライアルの腹部にベラルがまいた薄布は血で赤色に染まっていた。
治療台にのせられたライタルは目を開けておらず顏も青白くなっていた。アンナもライタルを見て、顔を青くした。治療を始めるのが遅すぎるのではないかと思ってしまったからだ。
「お腹を切られたのですね。外で待っていてください」と、アンナは二人に事務的に言っていた。今度ばかりはライタルを元に戻せないかもしれないという不安に襲われていたからだ。そして、そんな気持ちを二人に見抜かれたくはなかった。
アンナはさっそく腹部に向かって手をかざしだした。内臓に傷がついているこんな大けがを治療したこといままでない。だがアンナの聖女としての力も強くなっている気がしていた。前より早く人を癒すことがことができるようになっていた。聖女として力が強まってきたためか、アンナが癒しのためにかざす手は、熱を帯び、かすかに光だしていたのだ。
アンナは、必死に念をいれて手を何度も複部の上を行きさせた。手を腹部の上にあげ続けるだけでも、腕がだるくなる作業だ。
やがてアンナの額に汗が噴き出し、アンナの顔にも疲れの色が見えていった。まるで、アンナの命をライタルに注ぎ込んいるかのようだった。
その夜にアンナができたことはライタルの傷口をふさぎ体に血をめぐらせるようにしたことだ。そのおかげで、ライタルの顔から青さが消えていた。さすがに疲れ果てたアンナは治療台そばの椅子に腰をおろし、数時間の仮眠をとった。だが、気をはっているアンナは、すぐに目をさましていた。夜明け前にアンナはふたたび治療を始めていた。
次の日、昼を少し過ぎた頃、ミブライ王が診療所にやってきた。ミブライ王も、この度の戦いを勝利に導いたライタルの安否が気がかりで、馬車を走らせてかけつけてくれたのだ。
ミブライ王は治療室前で塑像のように立っているメリカとベラルに「どうでござるか?」と声をかけた。だが二人が何も答ようとしないので、それが不満足だったのか、カーテンを引いて治療室に入った。
ライタルは、目をつぶったままで治療台の上で寝ていた。
「どうですかな?」と聞いたミブライ王は、アンナを見て、すぐに笑顔になっていた。
「やっぱり、あなたは、フターク国におられた方ですな。名前が同じだが、お会いするまで、本当に同じ人だとはどうしても思えなかった」
「ミブライ王、私がフターク国にいたのは昔のことでございます」
「いや、話は聞いております。いまは、ガンダ国にお住まいとか。ともかく、あの時は、お腹が痛くて死ぬかと思っていましたよ。それを、あなたは治してくれた。どうですか。ライタル様は、この度の戦の最大の功労者ですぞ。ここで死なすわけにはまいらん!」
「なんとか、命をつなぐことができました」
アンナの厳しい顏を見ていると、まだライタルの治療は終わっていないことをミブライ王は知ったのだった。
「アンナ様、ライタルのこと、よろしくお頼みもうしますぞ」
ミブライ王はアンナに頭をさげると、治療室をでた。
治療室の外にたつメリカとベラルが、強張った顔をし続けていた。
ミブライ王は、このまま帰りたくなかったのだろう。
「アンナ様は、どうしてガンダ国にこられたんですかな?」と、メリカに聞いていた。
「ガーナルという聖女頭に嫌われたそうですよ。ガーナルは、アンナ様がイヤリングを盗んだという因縁をつけ、アンナを国外へ追放させた。そこで、仕方なくガンダ国にきて働き出し、やがてアンナ様は傷を負った人たちの治療を始めたというわけですよ」
「いや、わかりました。アンナ様をフターク国にいれなくしたのは、私のせいかもしれませんな。私の腰を直してもらった時にガーナルのプライドを傷つけたのかもしれない。ガーナルは侯爵の娘である立場をつかって聖女たちを支配しようとしている。そのために彼女を上回る働きをする者はいなくなり、聖女頭が言ったことしかしなくなったそうですな。その上、治療をしてもらえる者は、地位のある者か、裕福な金持ちばかりになってしまったとか」
ミブライ王は、言いたいことを言えたと思ったのか、肩をすぼめてみせると、診療所から出ていった。
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