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第十六話 孤児救出
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フタ―ク国での暴動をオバタからの手紙で知ったアンナは、孤児院にいる子供たちをガンダ国につれてくることにした。その話をアンナから聴いたモリスは、フターク国に行くことを、すぐに志願してくれた。それは、アンナに自分の命が助けられ、家族とも再会をしてガンダ国で暮らすことできたお礼の意味が込められていた。
たしかにモリスはフターク国を熟知し、誰が見てもモリス本人とは気づかれない顔になっている。その上、モリスは暴徒と戦うことになっても相手に負けない剣の腕を持っているのだ。
そこで、アンナは孤児院にいる子供たちを迎えにモリスに行ってもらうことにした。
アンナが心配をしたように、暴徒たちは人を傷つけたり物を取ったりする狂気をフタ―ク国の人たちに植え付けていたのだ。だから、街を歩ている人が突然のように人の家に入り込み、家の中にあった物を勝手に持ち出していた。孤児院もその狂気から逃れることはできなかった。窓や塀が壊され、孤児院にあった銀の燭台や銅製品など金目の物が盗まれていた。
一晩中、モリスは荷馬車を走らせてフタ―ク国に入り、やがて孤児院の門そばに馬車をとめた。
すぐにモリスは壊れた戸を無理やり押し開けて孤児院の中に入った。
「オバタ様、アンナ様の使いの者です」と、モリスは声をあげた。
「お迎えにきました。どこにおいでですか?」
モリスは両手で口をかこみ声を大きくしながら、台所、食堂、寝室などを歩き回った。どこにも人の姿はない。モリスは不安にかられながらも、探し回り続けた。
突然、通路の壁が開き、オバタがでてきたのだ。オバタの両脇に少し背の高い子供たちがオバタを守るようについていた。その三人の後ろに小さな子供たちが隠れるようにしていた。
「あんたがモリスかい?」と、オバタが聞いてきた。
「はい、そうです」と言った後、モリスは子供たちの方に顔を向けた。
「ちゃんと食べていたかい?」
彼らは何も言わない。隠れていては、少なくとも朝食を食べていないことは明らかだ。モリスは背負っていたリュックをおろし、その中からライ麦パンにヤギ乳で作ったチーズをはさんだ物を出して子供たちに手渡した。すぐに子供らは口をぱくつかせ、それらを食べだしていた。お腹がすいていたのだろう。
「喉をつまらせそうですね」と、モリスは言いながら、ふたたびリュックの中から瓶をだした。次に瓶に入れてきた水を木椀にくんで子供らに渡していた。
最後に「オバタ様も食べてください」と言って、子供らに渡した物と同じ物をオバタに手渡した。
「ありがとう。私まで気をつかってくれて」
オバタは食べながら涙をながしていた。
「オバタ様、ともかくここは危ない。アンナ様からご連絡を受けていたと思いますが、ガンダ国にいっしょに参りましょう」
「子供たちは連れて行ってください。でも、私は行くことはできません。ここに残らないといけない」
「えっ、どうしてですか?」
「このように争いがある時には、必ず親のない子が生まれてしまう。そんな子を受けいれる場所は、常に開いていなければなりません。いいえ、そんな子を見つけたら私の方から迎えに行きますよ。そのために孤児院があるのですから」
「オバタ様、おっしゃるとおりです。私の方からとても異論を言うこともできません。トロ神のご加護がありますように祈っております。まだ食べ物が入っている私のリュックを、ここにおいていきます」
そう言ったモリスは背からリュックをおろすとオバタに手渡していた。
「オバタ様からお許しがでました。子供たち、ここから離れて安全な場所、ガンダ国に行きましょう。持って行きたい物があれば、それを持ってください」
モリスがそう言うと、子供たちは壁に作られた部屋の中に入り込み、それぞれ袋やらバッグを手に提げていた。
「それでは、まいりましょう」と言って、モリスは先に歩き出し、孤児院の壊れた戸の隙間をさらに大きくした。子供たちが通りやすくするためだ。
みんなでそこをぐりぬけ、馬車が置いてある玄関口までやってきた。
オバタも子供らを見送るためについてきてくれたのだ。オバタはモリスを手伝って子供らを馬車にのせてくれた。モリスは御者席にすわり「それでは、アンナ様に子供らをお届けいたします。オバタ様、トロ神のご加護がありますように」と言って、馬に向かってムチをふると、荷馬車は走り出した。
小さくなっていく荷馬車に向かってオバタは手をふり続けていた。
たしかにモリスはフターク国を熟知し、誰が見てもモリス本人とは気づかれない顔になっている。その上、モリスは暴徒と戦うことになっても相手に負けない剣の腕を持っているのだ。
そこで、アンナは孤児院にいる子供たちを迎えにモリスに行ってもらうことにした。
アンナが心配をしたように、暴徒たちは人を傷つけたり物を取ったりする狂気をフタ―ク国の人たちに植え付けていたのだ。だから、街を歩ている人が突然のように人の家に入り込み、家の中にあった物を勝手に持ち出していた。孤児院もその狂気から逃れることはできなかった。窓や塀が壊され、孤児院にあった銀の燭台や銅製品など金目の物が盗まれていた。
一晩中、モリスは荷馬車を走らせてフタ―ク国に入り、やがて孤児院の門そばに馬車をとめた。
すぐにモリスは壊れた戸を無理やり押し開けて孤児院の中に入った。
「オバタ様、アンナ様の使いの者です」と、モリスは声をあげた。
「お迎えにきました。どこにおいでですか?」
モリスは両手で口をかこみ声を大きくしながら、台所、食堂、寝室などを歩き回った。どこにも人の姿はない。モリスは不安にかられながらも、探し回り続けた。
突然、通路の壁が開き、オバタがでてきたのだ。オバタの両脇に少し背の高い子供たちがオバタを守るようについていた。その三人の後ろに小さな子供たちが隠れるようにしていた。
「あんたがモリスかい?」と、オバタが聞いてきた。
「はい、そうです」と言った後、モリスは子供たちの方に顔を向けた。
「ちゃんと食べていたかい?」
彼らは何も言わない。隠れていては、少なくとも朝食を食べていないことは明らかだ。モリスは背負っていたリュックをおろし、その中からライ麦パンにヤギ乳で作ったチーズをはさんだ物を出して子供たちに手渡した。すぐに子供らは口をぱくつかせ、それらを食べだしていた。お腹がすいていたのだろう。
「喉をつまらせそうですね」と、モリスは言いながら、ふたたびリュックの中から瓶をだした。次に瓶に入れてきた水を木椀にくんで子供らに渡していた。
最後に「オバタ様も食べてください」と言って、子供らに渡した物と同じ物をオバタに手渡した。
「ありがとう。私まで気をつかってくれて」
オバタは食べながら涙をながしていた。
「オバタ様、ともかくここは危ない。アンナ様からご連絡を受けていたと思いますが、ガンダ国にいっしょに参りましょう」
「子供たちは連れて行ってください。でも、私は行くことはできません。ここに残らないといけない」
「えっ、どうしてですか?」
「このように争いがある時には、必ず親のない子が生まれてしまう。そんな子を受けいれる場所は、常に開いていなければなりません。いいえ、そんな子を見つけたら私の方から迎えに行きますよ。そのために孤児院があるのですから」
「オバタ様、おっしゃるとおりです。私の方からとても異論を言うこともできません。トロ神のご加護がありますように祈っております。まだ食べ物が入っている私のリュックを、ここにおいていきます」
そう言ったモリスは背からリュックをおろすとオバタに手渡していた。
「オバタ様からお許しがでました。子供たち、ここから離れて安全な場所、ガンダ国に行きましょう。持って行きたい物があれば、それを持ってください」
モリスがそう言うと、子供たちは壁に作られた部屋の中に入り込み、それぞれ袋やらバッグを手に提げていた。
「それでは、まいりましょう」と言って、モリスは先に歩き出し、孤児院の壊れた戸の隙間をさらに大きくした。子供たちが通りやすくするためだ。
みんなでそこをぐりぬけ、馬車が置いてある玄関口までやってきた。
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小さくなっていく荷馬車に向かってオバタは手をふり続けていた。
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