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2 村人ビル登場
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次の日の朝、忠司は花音に起こされた。明け方近くに寝たので、眠気は残っていて起きる気にはなれない。いつまでも、忠司が起きようとしないので、「寝坊助なんだから」と、花音は口をとがらかしている。
そんな時に「朝食の用意できましたよ」と、奥さんの明るい声が聞こえてきた。階段を上がって、部屋のドアの前まできて、さけんでくれていた。
忠司はソファから跳ね起きた。
「飯、行くぞ!」
「忠司、様は、ずるいわね」
服を着たまま寝ていたので、いつでも動き出すことができる。それに、食べることは寝ることよりも、俺にとっては上位の優先順位だと、忠司は胸の中で叫んでいた。
でも歯をみがいてはいないと思いながら、忠司は部屋を飛び出した。
「ちょっと、待ってよ」と言いながら、着替えた花音は忠司を追ってくる。
二人が階段を下りて行くと、村長がイスから立ち上がっていた。
「サルタン王子様、花音様、おはようございます」
「おはようすっ」と忠司。「おはようございます」と、花音。
「どうぞ。どうぞ。お席の方に」
食卓テーブルを前に座った忠司は、ごくりと生唾を飲んだ。大皿には、いためた厚切りベーコンがのっていたからだ。忠司は、ハムよりもベーコンの方が好きだ。脂身が多く塩だけのシンプルな味付けが気に入っているんだ。他の皿には昨日と同じフランスパンの薄切りにしたものがのっていた。スープはコーンポタージュだ。これも忠司が好きな物だった。コーン(トウモロコシ)はゆでたものでも、焼いたものでも好きだった。
村長夫婦は、昨日と同じく手を合わせて、守護神ヘラにお祈りを始めた。忠司と花音は、やはりお祈りがうまくできない。手を合わせると思わずお互いに顔を見合わせて、にやついてしまう。
「いただきましょう」と、村長が言ってくれたので、忠司たちも食べだした。
忠司がベーコン三切れを食べ、フランスパンも口に入れ、何度もかんで口の中で唾を貯めだしたころ、リビングのドアが開いた。村人の一人が入ってきたのだ。
若い男だった。忠司よりも年上かな? でも忠司とそんなに年が離れてはいない感じだった。予備校に通っている近所の誰かに似ている気がした。
顔じゅうに汗が噴き出ている。全速力で走ってきたのに違いなかった。
「村長、兵舎から、獣人たちがでてきましたよ。やつらは小屋に向かっている」
「ビル、本当か!」
すぐに、村長は忠司の方に顔をむけた。
「小屋の見張りを交代するために向かっているんですよ。小屋の周りにいた獣人は退治されてしまっている。これを知ったら、村中を探し出す。彼らは人間ではないから鼻が利くので見つけられてしまいます。もっと村にいて欲しかったのですが、こうなっては、一刻も早くここから逃げていただきたいと思います」
「村長、俺たちがいなくなった後に迷惑をかけないようにして行きたいんだ」
自分でも、うまいこと、いやちゃんとしたことを言うなと感心をしていた。だんだんと忠司は王子らしくなっているようだ。
「と申しますと?」
「ハルカ村にいる獣人ども全部を倒してから、この村をでたいんだ」
「そんなことができますか?」
「兵舎にいる奴らは小屋の周りにいた獣人たちがやられてしまったとは、まだ思っていない。だから、油断をしている。彼らが小屋へ行く途中で待ち伏せして襲えばいい」
「不意打ちですか?」と、ビルが声をひそめた。そして、話に入り込んできている。
「これも作戦だよ」と、忠司が言う。
「そうだよな。相手のすきを狙えばよかったんだ」と言ったビルは泣き出していた。
「何か、あったんすか?」と忠司が村長に聞いた。
「もう三年前になるかな。獣人たちに家族が襲われたことがあったんだよ」
「ビルの家族ですか?」
村長は大きくうなずき、先を話し出した。
「ビルの両親はクロゼットの中にビルを隠した。そして、何かあっても静かにしていなさいと言ってくれたそうだ。ビルは言われたとおり、クロゼットの中に隠れ続けていた。獣人たちがいなくなったので、クロゼットから出てきたビルはすぐに倒れている母の元にかけよった。母はビルが生きていたことを喜んでくれたが、すぐに死んでしまった。そして、父は獣人たちに連れ去れてしまった。食われてもはや生きてはいまい。ビルは後悔をしているんじゃよ。どうして、出て行って、父や母を助けようとしなかったことを」
忠司は頭を下げて黙まり、花音はハンカチで目頭を押さえていた。
「獣人たちがいつも通っている道へ王子様を馬車でお連れいたします。そこなら、、襲うことができます」
「お願いします」と言って、忠司が花音の方を見ると、泣いていたはずなのに、すでにハンカチはしまっていた。そして、フランスパンをコンスープにつけて、ほおばっていたのだ。つまり、つけパンをやっていた。負けるものかと、忠司はフランスパンを二切れならべ、その間にペーコンをはさんで、サンドイッチを作り、かぶりついてやった。
そう、腹が減っては戦ができぬだからだ。
朝食の後、忠司は、リュックを背負い腰にオリハルコンの剣をさげた。その間に、花音も腰に正宗(忠司は、そう思っている?)の剣、二刀を腰にさし、ヌンチャクは袋に入れて、背負っていた。
そんな時に「朝食の用意できましたよ」と、奥さんの明るい声が聞こえてきた。階段を上がって、部屋のドアの前まできて、さけんでくれていた。
忠司はソファから跳ね起きた。
「飯、行くぞ!」
「忠司、様は、ずるいわね」
服を着たまま寝ていたので、いつでも動き出すことができる。それに、食べることは寝ることよりも、俺にとっては上位の優先順位だと、忠司は胸の中で叫んでいた。
でも歯をみがいてはいないと思いながら、忠司は部屋を飛び出した。
「ちょっと、待ってよ」と言いながら、着替えた花音は忠司を追ってくる。
二人が階段を下りて行くと、村長がイスから立ち上がっていた。
「サルタン王子様、花音様、おはようございます」
「おはようすっ」と忠司。「おはようございます」と、花音。
「どうぞ。どうぞ。お席の方に」
食卓テーブルを前に座った忠司は、ごくりと生唾を飲んだ。大皿には、いためた厚切りベーコンがのっていたからだ。忠司は、ハムよりもベーコンの方が好きだ。脂身が多く塩だけのシンプルな味付けが気に入っているんだ。他の皿には昨日と同じフランスパンの薄切りにしたものがのっていた。スープはコーンポタージュだ。これも忠司が好きな物だった。コーン(トウモロコシ)はゆでたものでも、焼いたものでも好きだった。
村長夫婦は、昨日と同じく手を合わせて、守護神ヘラにお祈りを始めた。忠司と花音は、やはりお祈りがうまくできない。手を合わせると思わずお互いに顔を見合わせて、にやついてしまう。
「いただきましょう」と、村長が言ってくれたので、忠司たちも食べだした。
忠司がベーコン三切れを食べ、フランスパンも口に入れ、何度もかんで口の中で唾を貯めだしたころ、リビングのドアが開いた。村人の一人が入ってきたのだ。
若い男だった。忠司よりも年上かな? でも忠司とそんなに年が離れてはいない感じだった。予備校に通っている近所の誰かに似ている気がした。
顔じゅうに汗が噴き出ている。全速力で走ってきたのに違いなかった。
「村長、兵舎から、獣人たちがでてきましたよ。やつらは小屋に向かっている」
「ビル、本当か!」
すぐに、村長は忠司の方に顔をむけた。
「小屋の見張りを交代するために向かっているんですよ。小屋の周りにいた獣人は退治されてしまっている。これを知ったら、村中を探し出す。彼らは人間ではないから鼻が利くので見つけられてしまいます。もっと村にいて欲しかったのですが、こうなっては、一刻も早くここから逃げていただきたいと思います」
「村長、俺たちがいなくなった後に迷惑をかけないようにして行きたいんだ」
自分でも、うまいこと、いやちゃんとしたことを言うなと感心をしていた。だんだんと忠司は王子らしくなっているようだ。
「と申しますと?」
「ハルカ村にいる獣人ども全部を倒してから、この村をでたいんだ」
「そんなことができますか?」
「兵舎にいる奴らは小屋の周りにいた獣人たちがやられてしまったとは、まだ思っていない。だから、油断をしている。彼らが小屋へ行く途中で待ち伏せして襲えばいい」
「不意打ちですか?」と、ビルが声をひそめた。そして、話に入り込んできている。
「これも作戦だよ」と、忠司が言う。
「そうだよな。相手のすきを狙えばよかったんだ」と言ったビルは泣き出していた。
「何か、あったんすか?」と忠司が村長に聞いた。
「もう三年前になるかな。獣人たちに家族が襲われたことがあったんだよ」
「ビルの家族ですか?」
村長は大きくうなずき、先を話し出した。
「ビルの両親はクロゼットの中にビルを隠した。そして、何かあっても静かにしていなさいと言ってくれたそうだ。ビルは言われたとおり、クロゼットの中に隠れ続けていた。獣人たちがいなくなったので、クロゼットから出てきたビルはすぐに倒れている母の元にかけよった。母はビルが生きていたことを喜んでくれたが、すぐに死んでしまった。そして、父は獣人たちに連れ去れてしまった。食われてもはや生きてはいまい。ビルは後悔をしているんじゃよ。どうして、出て行って、父や母を助けようとしなかったことを」
忠司は頭を下げて黙まり、花音はハンカチで目頭を押さえていた。
「獣人たちがいつも通っている道へ王子様を馬車でお連れいたします。そこなら、、襲うことができます」
「お願いします」と言って、忠司が花音の方を見ると、泣いていたはずなのに、すでにハンカチはしまっていた。そして、フランスパンをコンスープにつけて、ほおばっていたのだ。つまり、つけパンをやっていた。負けるものかと、忠司はフランスパンを二切れならべ、その間にペーコンをはさんで、サンドイッチを作り、かぶりついてやった。
そう、腹が減っては戦ができぬだからだ。
朝食の後、忠司は、リュックを背負い腰にオリハルコンの剣をさげた。その間に、花音も腰に正宗(忠司は、そう思っている?)の剣、二刀を腰にさし、ヌンチャクは袋に入れて、背負っていた。
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