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天空魔人グール
11 天空到達
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その夜は、警察につき合わされて、カオルはおわん森ばかりでなく学校の周りも見て歩くことになりました。
カオルは、ここに知世がいないことを知っているのです。でも、ほんとうの事は言えません。パトカーで送られて家に戻ってきた時には、心配げなお父さんとお母さんに迎えられることになりました。
その晩はベッドに入っても眠ることができません。少しでも早く知世が連れ去られたことをおばあさんに話して対策を考えてもらわなければならないと思っていたからです。
カーテンの隙間から窓の外を何度ものぞきに行きました。でも、おばあさんが家に戻ったようすはありません。
でも、雲の切れ目から月が満月の姿を見せた時でした。
おばあさんの二階の部屋に明かりがともったのです。カオルはすぐに自分の部屋の電気をつけると、カーテンを開けて、窓の真ん中に立ちました。
おばあさんも二階の窓に立って、カオルの方に顔を向けてくれました。すぐに、カオルは手をふりました。大声を出すわけにはいかないと思ったからです。それをすれば、お父さんとお母さんを起こしてしまいます。
それが分かったのでしょう。自分の家の窓を開けると、おばあさんは竹のホウキにのってカオルの家の窓まで飛んで来てくれたのです。すぐに、カオルは二階の窓を開けて、おばあさんを招き入れました。
「おばあさん、知世ちゃんがさらわれたよ」
カオルは泣き出していました。
「カオル、泣かないで、落ちついて話なさい」
おばあさんにそう言われたので、カオルは知世と緑色のマントを羽織った老婆の話や、二人が登っていた木が下の方から消えた話をしたのでした。
「なに、魔物の種からできた木は何も残さずに消えてしまったのかい。それはまずいね」
「でも消える前に枝の一部をつかみ取ることができたわ。それは消えていない」と、カオルはバッグから葉がついている小枝を出して見せました。
「ほう、それはお手柄だね。これがあれば、魔物の種を再現できるよ。それにもう一つわかったことがある。魔物の種子は木の他に黒魔女である老婆も生み出すことができるようだ。ともかく、急ぐ仕事だ。その枝は預からせてもらうよ」
そう言ったおばあさんはカオルから小枝を受け取るとホウキをまたぎ、カオルの家の窓から飛び出して行きました。
おばあさんの頼もしい言葉にカオルは安堵して、ベッドに入るとすぐに眠り出すことができました。
カオルは遅く寝たのですが朝早く目がさめることができました。それは、開けて置いた窓からカオルを呼ぶおばあさんが声が聞こえたからです。すぐに、カオルは窓から顔を出してみました。おばあさんが庭の花々の真ん中に立っていました。
カオルの顔を見ると、おばあさんが手をふってくれました。
「目をさましてくれたようだね。すぐに白魔女の装備をしておりておいでよ。それにバッグの中に私が渡したドアノブを必ず入れて持ってくるんだよ」
すぐにカオルはパジャマから普段着に着がえました。つぎに胸ポケットに杖を入れ、リュックにぬいぐるみのクマを入れて背負い、おばあさんから預かったドアノブを入れたバッグを肩にかけ、さらに壁のホックに吊り下げていたホウキを手にとりました。
そこで、カオルは動けなくなりました。
ホウキで自由に空を飛べるまでのレベルに達していないことに気がついたからです。でも、魔法で飛ぶのをやめて階段をおりていったら、お父さんやお母さんに気づかれてしまいます。
「さあ、何をやっているのさ。女は度胸だよ。落ちそうになったら私が支えてあげるよ」
おばあさんにそう言われたので、カオルはホウキにまたがると、一気に飛びおりました。
窓から外に出ると、思ったとおりカオルは真下に落ち出したのです。
でも、カオルが必死に念をかけ続けたおかげでしょうか? 地面に落ちる前に浮き上がってとまりました。
「やればできるじゃないか」
カオルが照れたように笑いうなずきました。
「まずは、知世が空に向かった場所に行ってみるかね」
すぐにカオルはホウキにまたがり、おばあさんを先導して飛び始めました。でも、やはりカオルは自転車にのっているような高さまでしか上がることができませんでした。
やがて、おわん森に入る道の前までやってきました。
「おばあさん、ここです。ここに木がはえていたんです」
「そうかい。じゃ、そこに魔物の種をうえてもらおうかな」
そう言っておばあさんは、自分のバッグからカキの種に似た種をつまみ出しました。
「それはなあ~に?」
「これが魔物の種だよ」
「えっ、どうやって、手にいれたの?」
「カオルからもらった小枝から、創成魔法を使って私が作り上げたんじゃよ」
さっそく、おばあさんに手渡された魔物の種をカオルは屈んで土の中に埋めました。
「上にあがったら、すぐに魔人と顔を合わしてしまうかもしれない。それをすれば、カオルだって心を奪われてしまうはずじゃ。何としても防ぐ方法がないかと思って、シンドに作ってもらった物がある。それを渡しておくよ」
「何ですか、これは?」
「メガネだよ。これをかけて欲しい。これを通して物を見たらすべてがゆがんで見える。だから魔人の影響を受けずに済むと思うんじゃ」
さっそく、カオルはメガネをかけてみました。ド近眼用のメガネなんでしょうか。本当にすべてがゆがんで見え、真っすぐに歩くのが難しそうです。なるべくメガネをかけないでいようとカオルは思っていました。
「おっと、もっと重要な物を渡すのを忘れるところだった。お金も持って行った方がいい。とりあえず百ゴールドじゃ。本物の金でできているので、どの世界でも通用するじゃろう」と言って、おばあさんは自分のバッグからお金の入った麻の袋を取り出し、カオルに渡しました。カオルはそれを自分のバッグに入れながら、おばあさんに聞きました。
「天空に行って、壁にドアノブを付けてドアを開けたら、どうなるのかしら?」
「決まっているじゃないな。後は、わしらの仲間が、天空に行くことができる。魔人グールに対応できる者を送り込むつもりじゃ」と言って、おばあさんはニヤリと笑いました。
でも、幾人もの白魔女を自殺に追い込んだ魔人がいるのです。
なんとかできるのでしょうか?
「ほら、魔物の種が芽を出してのび出してきたよ」と言って、おばあさんは指差しました。
魔物の種は茎をのばし茎はどんどんと太くなっていきます。さらに別の茎がのびてきて、その太い茎にからみついていきました。
おばあさんは、すばやく腰を落として、灌木の陰にかくれました。
すると、茎の一部から緑色のマントを着た老婆が現れたのです。
「お嬢ちゃん、天空には素晴らしい世界があるんだよ。そこに向かって登らないかい?」と、老婆が声を出したのです。
おばあさんが思ったとおりでした。魔物の種は黒魔女の老婆をも生じさせることができたのです。
カオルはまずホウキを背負い、大きく深呼吸をひとつしました。
「おばあさん、行ってきます」
カオルは、かくれているおばあさんに挨拶をすると、幾重にもからまった蔦のような茎に手をかけて登り出しました。
「さあ、お嬢ちゃん、上には面白いことばかりだよ」と言って、老婆がカオルの腰をおしてきます。
「カオル、たのむぞ!」
おばあさんの声がしたので、カオルが下を見ると、すでに木はどんどんと消え始めていたのでした。
やがて、上に波のような模様が見えてきました。まるでカオルは水の中にいるような気分になっていました。周りに丸く膨らんだ物がいくついも浮かんでいます。浮草です。
カオルが水から顔を出すと、カオルの後ろから登ってきた老婆は膨らんで浮き草になってカオルをのせたのでした。
カオルは、ここに知世がいないことを知っているのです。でも、ほんとうの事は言えません。パトカーで送られて家に戻ってきた時には、心配げなお父さんとお母さんに迎えられることになりました。
その晩はベッドに入っても眠ることができません。少しでも早く知世が連れ去られたことをおばあさんに話して対策を考えてもらわなければならないと思っていたからです。
カーテンの隙間から窓の外を何度ものぞきに行きました。でも、おばあさんが家に戻ったようすはありません。
でも、雲の切れ目から月が満月の姿を見せた時でした。
おばあさんの二階の部屋に明かりがともったのです。カオルはすぐに自分の部屋の電気をつけると、カーテンを開けて、窓の真ん中に立ちました。
おばあさんも二階の窓に立って、カオルの方に顔を向けてくれました。すぐに、カオルは手をふりました。大声を出すわけにはいかないと思ったからです。それをすれば、お父さんとお母さんを起こしてしまいます。
それが分かったのでしょう。自分の家の窓を開けると、おばあさんは竹のホウキにのってカオルの家の窓まで飛んで来てくれたのです。すぐに、カオルは二階の窓を開けて、おばあさんを招き入れました。
「おばあさん、知世ちゃんがさらわれたよ」
カオルは泣き出していました。
「カオル、泣かないで、落ちついて話なさい」
おばあさんにそう言われたので、カオルは知世と緑色のマントを羽織った老婆の話や、二人が登っていた木が下の方から消えた話をしたのでした。
「なに、魔物の種からできた木は何も残さずに消えてしまったのかい。それはまずいね」
「でも消える前に枝の一部をつかみ取ることができたわ。それは消えていない」と、カオルはバッグから葉がついている小枝を出して見せました。
「ほう、それはお手柄だね。これがあれば、魔物の種を再現できるよ。それにもう一つわかったことがある。魔物の種子は木の他に黒魔女である老婆も生み出すことができるようだ。ともかく、急ぐ仕事だ。その枝は預からせてもらうよ」
そう言ったおばあさんはカオルから小枝を受け取るとホウキをまたぎ、カオルの家の窓から飛び出して行きました。
おばあさんの頼もしい言葉にカオルは安堵して、ベッドに入るとすぐに眠り出すことができました。
カオルは遅く寝たのですが朝早く目がさめることができました。それは、開けて置いた窓からカオルを呼ぶおばあさんが声が聞こえたからです。すぐに、カオルは窓から顔を出してみました。おばあさんが庭の花々の真ん中に立っていました。
カオルの顔を見ると、おばあさんが手をふってくれました。
「目をさましてくれたようだね。すぐに白魔女の装備をしておりておいでよ。それにバッグの中に私が渡したドアノブを必ず入れて持ってくるんだよ」
すぐにカオルはパジャマから普段着に着がえました。つぎに胸ポケットに杖を入れ、リュックにぬいぐるみのクマを入れて背負い、おばあさんから預かったドアノブを入れたバッグを肩にかけ、さらに壁のホックに吊り下げていたホウキを手にとりました。
そこで、カオルは動けなくなりました。
ホウキで自由に空を飛べるまでのレベルに達していないことに気がついたからです。でも、魔法で飛ぶのをやめて階段をおりていったら、お父さんやお母さんに気づかれてしまいます。
「さあ、何をやっているのさ。女は度胸だよ。落ちそうになったら私が支えてあげるよ」
おばあさんにそう言われたので、カオルはホウキにまたがると、一気に飛びおりました。
窓から外に出ると、思ったとおりカオルは真下に落ち出したのです。
でも、カオルが必死に念をかけ続けたおかげでしょうか? 地面に落ちる前に浮き上がってとまりました。
「やればできるじゃないか」
カオルが照れたように笑いうなずきました。
「まずは、知世が空に向かった場所に行ってみるかね」
すぐにカオルはホウキにまたがり、おばあさんを先導して飛び始めました。でも、やはりカオルは自転車にのっているような高さまでしか上がることができませんでした。
やがて、おわん森に入る道の前までやってきました。
「おばあさん、ここです。ここに木がはえていたんです」
「そうかい。じゃ、そこに魔物の種をうえてもらおうかな」
そう言っておばあさんは、自分のバッグからカキの種に似た種をつまみ出しました。
「それはなあ~に?」
「これが魔物の種だよ」
「えっ、どうやって、手にいれたの?」
「カオルからもらった小枝から、創成魔法を使って私が作り上げたんじゃよ」
さっそく、おばあさんに手渡された魔物の種をカオルは屈んで土の中に埋めました。
「上にあがったら、すぐに魔人と顔を合わしてしまうかもしれない。それをすれば、カオルだって心を奪われてしまうはずじゃ。何としても防ぐ方法がないかと思って、シンドに作ってもらった物がある。それを渡しておくよ」
「何ですか、これは?」
「メガネだよ。これをかけて欲しい。これを通して物を見たらすべてがゆがんで見える。だから魔人の影響を受けずに済むと思うんじゃ」
さっそく、カオルはメガネをかけてみました。ド近眼用のメガネなんでしょうか。本当にすべてがゆがんで見え、真っすぐに歩くのが難しそうです。なるべくメガネをかけないでいようとカオルは思っていました。
「おっと、もっと重要な物を渡すのを忘れるところだった。お金も持って行った方がいい。とりあえず百ゴールドじゃ。本物の金でできているので、どの世界でも通用するじゃろう」と言って、おばあさんは自分のバッグからお金の入った麻の袋を取り出し、カオルに渡しました。カオルはそれを自分のバッグに入れながら、おばあさんに聞きました。
「天空に行って、壁にドアノブを付けてドアを開けたら、どうなるのかしら?」
「決まっているじゃないな。後は、わしらの仲間が、天空に行くことができる。魔人グールに対応できる者を送り込むつもりじゃ」と言って、おばあさんはニヤリと笑いました。
でも、幾人もの白魔女を自殺に追い込んだ魔人がいるのです。
なんとかできるのでしょうか?
「ほら、魔物の種が芽を出してのび出してきたよ」と言って、おばあさんは指差しました。
魔物の種は茎をのばし茎はどんどんと太くなっていきます。さらに別の茎がのびてきて、その太い茎にからみついていきました。
おばあさんは、すばやく腰を落として、灌木の陰にかくれました。
すると、茎の一部から緑色のマントを着た老婆が現れたのです。
「お嬢ちゃん、天空には素晴らしい世界があるんだよ。そこに向かって登らないかい?」と、老婆が声を出したのです。
おばあさんが思ったとおりでした。魔物の種は黒魔女の老婆をも生じさせることができたのです。
カオルはまずホウキを背負い、大きく深呼吸をひとつしました。
「おばあさん、行ってきます」
カオルは、かくれているおばあさんに挨拶をすると、幾重にもからまった蔦のような茎に手をかけて登り出しました。
「さあ、お嬢ちゃん、上には面白いことばかりだよ」と言って、老婆がカオルの腰をおしてきます。
「カオル、たのむぞ!」
おばあさんの声がしたので、カオルが下を見ると、すでに木はどんどんと消え始めていたのでした。
やがて、上に波のような模様が見えてきました。まるでカオルは水の中にいるような気分になっていました。周りに丸く膨らんだ物がいくついも浮かんでいます。浮草です。
カオルが水から顔を出すと、カオルの後ろから登ってきた老婆は膨らんで浮き草になってカオルをのせたのでした。
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