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天空魔人グール
7 神隠し
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次の日、学校に行くと体育館で集会が行われました。
校長先生から、岩崎珠代が行方不明になったことの報告が行われました。学校の行き帰りに知らない人について行かないことや、背後に不審な人がいた場合は近くの家に飛び込むことなどを注意してくれました。
教室に戻ると、先生からは、珠代の捜査の現状について話してくれました。
「捜査を行っている警察は、春香町に入ってきた外部の人間が珠代さんを連れ出したと考えているようです。だから、春香町へくる車道を中心に街のあちらこちらにある防犯カメラを調べているそうですよ」
放課後、カオルは、知世といっしょにおわん森に行ってみました。珠代を捜すことが目的でしたが、カオルには、確かめたいこともあったのです。それはおわん森の中にできていたマンホールのような大きさのへこみでした。
へこみは夜の月の光に照らされて白く見えていたのですが、昼間の明るさの下ではどのように見えるかです。
「知世ちゃん、白くしか見えないよね?」
「白いわ。雪とは違うけど、まるで土でないみたい」
カオルは大きくうなずきました。
そうなのです。白い見える部分は、土の精霊に守られているように見えません。
いえ、死んでいるとしか思えなかったのです。
カオルと知世は、ふたたび珠代の名前を呼びながら森の中をまわってみました。その後、おわん森を出て二本松のところに来て、その辺りの畑にも入ってみました。
でも、やはり珠代の姿を見つけることができせんでした。
そンなときに、もう一人別な女の子が行方不明になっていたのです。
それは朝のテレビニュースを見てカオルは知りました。
行方不明になった女の子は、石山良子という名前で、カオルより二歳年上の中学1年生でした。
「ため池の岸辺にリボンが落ちていましたので、事故で池に落ちたのかもしれません」とアナウンサーは言っていました。
ため池は春香町の畑や水田に水を入れるために作られた池で、さかのぼれば、江戸時代に作られた物でした。
カオルと知世は学校の帰りにため池に行ってみました。
ため池の水は濁って黒くしか見えません。
警察や地元の農協の人たちが池を囲んで捜索を続けていました。
ゴームボートを出してきて池のまん中を捜している人たちもいました。ゴームボートの側には潜水服をきた人が潜り込んで水の中を捜していました。
池の側に立っている人たちの中に灰色のコートをはおった刑事がいました。カオルと知世はこの刑事に話を聞かれて顔馴染みになっていたのです。
「こんにちは」と、カオルと知世は挨拶をしました。
「きみたちも来ていたのか」
「はい、やはり女の子がいなくなったんですね」と、カオルが答えていました。
「ここにリボンが落ちていたんだよ」と、岸辺のへこんだ砂地を刑事は指さしました。「前と同じだよ。昔を思い出してしまうんだ」
「昔?」
「十年前にも子供がいなくなった。あのときは三人の子供だったよ。二人は女の子で、もう一人は男の子だった」
「犯人は捕まったのですか?」
「いや、未解決だよ。子供たちは何の手がかりも残さずに消えてしまった。その事件を解決しなければ、警察人生の汚点になってしまうからね。それなのに、また同じような事件が起きてしまった」
岸から池の中を長い竹の棒で何度も刺していた先生のお父さん、次郎が棒を手に近づいてきました。
「刑事さん、ご苦労様です」
「次郎じいさん。何か、気がついたことはないかね?」
「刑事さんの手がかりになりそうな物は見つけられないですね。十年前とまるで同じだ。やはり、この池の近くで女の子がいなくなった」
「今度こそは、解決をしてみせるさ」
そう言った刑事は池の反対側で手をあげている警察官と目を合わせると、そちらの方に行ってしまいました。
残された次郎は、刑事がいなくなったので、今度はカオルたちを相手に話し出してくれました。
「この地域には昔から突然、子供たちがいなくなることが起きているんじゃよ。十年ごとに、子供たちが数人行方不明になっている。地元の者たちが必死に探してきたがいつもみつからない。だから、山の神が連れ去って行った神隠しだと言われているんだよ」
カオルの背に鳥肌がたちました。邪悪な力の存在を感じたからです。
「私はまだ警察のお手伝いをしないとならん。ともかく、カオルちゃんたちは、気をつけて、はやく帰った方がいい」
「はい、もう帰ります」とカオルが言うと、次郎は池の方に戻っていきました。
「私、知世ちゃんを送っていくわ」と、カオルは知世に言いました。
「え、いいの? カオルちゃんは遠回りになってしまうわ」
「ううん。いいのよ」
「だって、私を送った後、カオルちゃんが一人になってしまうわ。今度は私が送っていこうかしら」
「馬鹿なことは、言わないで! 大丈夫なのよ。私は」
カオルは、その後、私は魔法使いだからと言いそうになりましたが、それは、やめました。そんなことをしたら、知世と友だちでいられなくなりそうな気がしたからです。
でも、知世を家に送り届けながら、カオルはこの事件を自分が解決しないといけないと思っていました。
不幸におちいっている人たちがいれば、それを救うために、カオルは魔法を学んでいたのですから。
校長先生から、岩崎珠代が行方不明になったことの報告が行われました。学校の行き帰りに知らない人について行かないことや、背後に不審な人がいた場合は近くの家に飛び込むことなどを注意してくれました。
教室に戻ると、先生からは、珠代の捜査の現状について話してくれました。
「捜査を行っている警察は、春香町に入ってきた外部の人間が珠代さんを連れ出したと考えているようです。だから、春香町へくる車道を中心に街のあちらこちらにある防犯カメラを調べているそうですよ」
放課後、カオルは、知世といっしょにおわん森に行ってみました。珠代を捜すことが目的でしたが、カオルには、確かめたいこともあったのです。それはおわん森の中にできていたマンホールのような大きさのへこみでした。
へこみは夜の月の光に照らされて白く見えていたのですが、昼間の明るさの下ではどのように見えるかです。
「知世ちゃん、白くしか見えないよね?」
「白いわ。雪とは違うけど、まるで土でないみたい」
カオルは大きくうなずきました。
そうなのです。白い見える部分は、土の精霊に守られているように見えません。
いえ、死んでいるとしか思えなかったのです。
カオルと知世は、ふたたび珠代の名前を呼びながら森の中をまわってみました。その後、おわん森を出て二本松のところに来て、その辺りの畑にも入ってみました。
でも、やはり珠代の姿を見つけることができせんでした。
そンなときに、もう一人別な女の子が行方不明になっていたのです。
それは朝のテレビニュースを見てカオルは知りました。
行方不明になった女の子は、石山良子という名前で、カオルより二歳年上の中学1年生でした。
「ため池の岸辺にリボンが落ちていましたので、事故で池に落ちたのかもしれません」とアナウンサーは言っていました。
ため池は春香町の畑や水田に水を入れるために作られた池で、さかのぼれば、江戸時代に作られた物でした。
カオルと知世は学校の帰りにため池に行ってみました。
ため池の水は濁って黒くしか見えません。
警察や地元の農協の人たちが池を囲んで捜索を続けていました。
ゴームボートを出してきて池のまん中を捜している人たちもいました。ゴームボートの側には潜水服をきた人が潜り込んで水の中を捜していました。
池の側に立っている人たちの中に灰色のコートをはおった刑事がいました。カオルと知世はこの刑事に話を聞かれて顔馴染みになっていたのです。
「こんにちは」と、カオルと知世は挨拶をしました。
「きみたちも来ていたのか」
「はい、やはり女の子がいなくなったんですね」と、カオルが答えていました。
「ここにリボンが落ちていたんだよ」と、岸辺のへこんだ砂地を刑事は指さしました。「前と同じだよ。昔を思い出してしまうんだ」
「昔?」
「十年前にも子供がいなくなった。あのときは三人の子供だったよ。二人は女の子で、もう一人は男の子だった」
「犯人は捕まったのですか?」
「いや、未解決だよ。子供たちは何の手がかりも残さずに消えてしまった。その事件を解決しなければ、警察人生の汚点になってしまうからね。それなのに、また同じような事件が起きてしまった」
岸から池の中を長い竹の棒で何度も刺していた先生のお父さん、次郎が棒を手に近づいてきました。
「刑事さん、ご苦労様です」
「次郎じいさん。何か、気がついたことはないかね?」
「刑事さんの手がかりになりそうな物は見つけられないですね。十年前とまるで同じだ。やはり、この池の近くで女の子がいなくなった」
「今度こそは、解決をしてみせるさ」
そう言った刑事は池の反対側で手をあげている警察官と目を合わせると、そちらの方に行ってしまいました。
残された次郎は、刑事がいなくなったので、今度はカオルたちを相手に話し出してくれました。
「この地域には昔から突然、子供たちがいなくなることが起きているんじゃよ。十年ごとに、子供たちが数人行方不明になっている。地元の者たちが必死に探してきたがいつもみつからない。だから、山の神が連れ去って行った神隠しだと言われているんだよ」
カオルの背に鳥肌がたちました。邪悪な力の存在を感じたからです。
「私はまだ警察のお手伝いをしないとならん。ともかく、カオルちゃんたちは、気をつけて、はやく帰った方がいい」
「はい、もう帰ります」とカオルが言うと、次郎は池の方に戻っていきました。
「私、知世ちゃんを送っていくわ」と、カオルは知世に言いました。
「え、いいの? カオルちゃんは遠回りになってしまうわ」
「ううん。いいのよ」
「だって、私を送った後、カオルちゃんが一人になってしまうわ。今度は私が送っていこうかしら」
「馬鹿なことは、言わないで! 大丈夫なのよ。私は」
カオルは、その後、私は魔法使いだからと言いそうになりましたが、それは、やめました。そんなことをしたら、知世と友だちでいられなくなりそうな気がしたからです。
でも、知世を家に送り届けながら、カオルはこの事件を自分が解決しないといけないと思っていました。
不幸におちいっている人たちがいれば、それを救うために、カオルは魔法を学んでいたのですから。
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