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3再捜査
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警察の判断に違和点を感じる者が出てきた。
望月薫が殺されたと妹の早苗は言っている。
それが事実とするならば、犯人は薫の部屋に入ったということになる。
プリンターから打ち出していた遺書は犯人が作った物であることになるし、その偽造遺書に記載した8月20日午後3時前後に殺したことになる。
近藤はいつもよりは少しスピードを上げて覆面パトカーを走らせ寿マンションに行った。
まず先に佐川だけが車からおりて管理人室に行った。
窓口から管理人が顔をのぞかせた。
「あれ、刑事さん、今度はなんですか? 望月薫さんは自殺だと別の警察の人から伺いましたけど」
「ちゃんとした調書を作成するためには、状況証拠を固めておく必要がありますからね」
「そうですか」
「また、こちらの駐車場に車を置かせてもらえませんか?」
「そりゃ、かまいませんよ」
管理人は前と同じように管理人室から出てきて、佐川とともに駐車場に行った。管理人は駐車場の入口近くで車をとめていた近藤に向かって指示を出した。すぐに近藤は車を動かして、管理人の指示通りの場所に車を置いていた。
車からおりた近藤は管理人に近づき、管理人は二人を前にしていた。
「いろいろお聞きしたいと思っております。できれば、監視カメラの映像も見させていただければと思っておりますが」と、佐川はすぐに要望を出した。
「別のお巡りさん、そう鑑識の人たちも見てはいかれたんですがね。それならば、管理人室に行きませんか?」
三人でマンション内に戻り、管理人はドアを開けて、二人を管理人室に入れてくれた。
管理人室には三台の監視カメラの映像が映るディスプレイが壁沿いに並び、それを動かせる機器と入力ができるキーボードが机の上に置かれていた。
部屋の中に置かれていた鉄パイプ椅子に佐川と近藤は管理人から勧められてすわった。管理人も自分用の椅子にすわっていた。その間に管理人の奥さんがお茶を入れてきて、部屋の中に置かれた小さなサイドテーブルにのせていた。
「さっそくですが、管理人が503号室に入ろうとした時には、鍵がかかっていたのですよね?」
「前にも言いましたよね。玄関ドアに鍵がかかっていたので、仕方なく管理人用の合鍵を使いましたからね。あの部屋の玄関ドアは私が開けるまで間違いなく閉まっていた」
「そうですか。部屋にある窓やベランダのガラス戸の錠はかかっていた。もちろん、開いていたのを鑑識係が閉めたりはしてはいないことの確認を取っていますから」
「捜査に関しては私は素人ですが、望月薫さんの部屋は密室だということになりますね」
「本当に密室であったかどうか、確認をしておくことが必要です」
「じゃ、どうされるのですか?」
「そうですな。マンションには監視カメラがついている。このカメラは、このマンションに出入りした人たちすべてを見ることができます。特に上に行くにはエレベーターを使わなければならない。誰が使ってどこで降りたか、エレベーターの中にある監視カメラを見れば、わかる。もし犯人がいれは五階に降りたはずです」
そこで、佐川は話すのをやめて、片眉をあげてみせた。
「これを確かめて、推理を進めるためには監視カメラの記録が残っていないとできません。どうですか?」
「大丈夫ですよ。ここのデータの更新は一月一回です。それまでの間保管していますので」
「じゃエレベーターの監視カメラで8月20日分を見せてください」
「ちょっとお待ちください」と言って管理人はキーボードをいじり、8月20日午前0時の画面を選びだしていた。
「今は、鍵のピッキングを行える道具がありますし、それをできる技術を持っている人たちがいる。だから、密室なんて、ありえない時代がきているかもしれませんよ」と、近藤が不安げな声をあげた。
すると「鍵を開ける技術を持っていても、開けるドアの前に来なくては、技術を使うことはできませんよ」と、佐川は笑っていた。
管理人はキーをたたくと、早送りにした画像が動き出した。
映像の中で、エレベーターを五階でおりた人がいた。だが、ピザの配達員だった。配達員はしばらくして再びエレベーターにのり下へおりていった。
「とめてくれ」と、佐川が声を出す。管理人はキーをたたくと、映像がとまった。
画面の右上の端に時間の表示がなされていた。
「下に降りた時間は11時35分。この時間の後、すぐに妹がスマホで薫と話をしている。この時間では望月薫は生きていた時間だ」と言って、佐川が首を傾げた。
その後、いくら監視カメラの映像を見ても、誰も五階に降りる者はいなかったのだ。
「昼間はマンションには人がこないものなのかね」
「刑事さん。古いマンションでは部屋に空きができています。五階も四戸ほど空いている状況です。それに、ここに住む人は共稼ぎも多くて遅い時間でもないと帰ってはこない。つまり、昼間の人の出入りがない」
「可能性だけを考えると、マンションの住民の誰かが、殺したことも考えられますね?」と、近藤は思いついたことを口にした。すると、佐川は「他の階の者が望月薫を殺そうと思ったら、やはりエレベーターにのって五階でおりなければならないはずだよ」と言っていた。
「いや、私がこのマンションで長く管理人をやっていますが、そんな人はいないはずですよ。それにこの時間にいたとすれば、井上さんの奥さんとお子さんだ。そうだ。おそらく、ピザを頼んだとすれば505号室にいた二人ですよ」と言って、管理人が手をたたいていた。
望月薫が殺されたと妹の早苗は言っている。
それが事実とするならば、犯人は薫の部屋に入ったということになる。
プリンターから打ち出していた遺書は犯人が作った物であることになるし、その偽造遺書に記載した8月20日午後3時前後に殺したことになる。
近藤はいつもよりは少しスピードを上げて覆面パトカーを走らせ寿マンションに行った。
まず先に佐川だけが車からおりて管理人室に行った。
窓口から管理人が顔をのぞかせた。
「あれ、刑事さん、今度はなんですか? 望月薫さんは自殺だと別の警察の人から伺いましたけど」
「ちゃんとした調書を作成するためには、状況証拠を固めておく必要がありますからね」
「そうですか」
「また、こちらの駐車場に車を置かせてもらえませんか?」
「そりゃ、かまいませんよ」
管理人は前と同じように管理人室から出てきて、佐川とともに駐車場に行った。管理人は駐車場の入口近くで車をとめていた近藤に向かって指示を出した。すぐに近藤は車を動かして、管理人の指示通りの場所に車を置いていた。
車からおりた近藤は管理人に近づき、管理人は二人を前にしていた。
「いろいろお聞きしたいと思っております。できれば、監視カメラの映像も見させていただければと思っておりますが」と、佐川はすぐに要望を出した。
「別のお巡りさん、そう鑑識の人たちも見てはいかれたんですがね。それならば、管理人室に行きませんか?」
三人でマンション内に戻り、管理人はドアを開けて、二人を管理人室に入れてくれた。
管理人室には三台の監視カメラの映像が映るディスプレイが壁沿いに並び、それを動かせる機器と入力ができるキーボードが机の上に置かれていた。
部屋の中に置かれていた鉄パイプ椅子に佐川と近藤は管理人から勧められてすわった。管理人も自分用の椅子にすわっていた。その間に管理人の奥さんがお茶を入れてきて、部屋の中に置かれた小さなサイドテーブルにのせていた。
「さっそくですが、管理人が503号室に入ろうとした時には、鍵がかかっていたのですよね?」
「前にも言いましたよね。玄関ドアに鍵がかかっていたので、仕方なく管理人用の合鍵を使いましたからね。あの部屋の玄関ドアは私が開けるまで間違いなく閉まっていた」
「そうですか。部屋にある窓やベランダのガラス戸の錠はかかっていた。もちろん、開いていたのを鑑識係が閉めたりはしてはいないことの確認を取っていますから」
「捜査に関しては私は素人ですが、望月薫さんの部屋は密室だということになりますね」
「本当に密室であったかどうか、確認をしておくことが必要です」
「じゃ、どうされるのですか?」
「そうですな。マンションには監視カメラがついている。このカメラは、このマンションに出入りした人たちすべてを見ることができます。特に上に行くにはエレベーターを使わなければならない。誰が使ってどこで降りたか、エレベーターの中にある監視カメラを見れば、わかる。もし犯人がいれは五階に降りたはずです」
そこで、佐川は話すのをやめて、片眉をあげてみせた。
「これを確かめて、推理を進めるためには監視カメラの記録が残っていないとできません。どうですか?」
「大丈夫ですよ。ここのデータの更新は一月一回です。それまでの間保管していますので」
「じゃエレベーターの監視カメラで8月20日分を見せてください」
「ちょっとお待ちください」と言って管理人はキーボードをいじり、8月20日午前0時の画面を選びだしていた。
「今は、鍵のピッキングを行える道具がありますし、それをできる技術を持っている人たちがいる。だから、密室なんて、ありえない時代がきているかもしれませんよ」と、近藤が不安げな声をあげた。
すると「鍵を開ける技術を持っていても、開けるドアの前に来なくては、技術を使うことはできませんよ」と、佐川は笑っていた。
管理人はキーをたたくと、早送りにした画像が動き出した。
映像の中で、エレベーターを五階でおりた人がいた。だが、ピザの配達員だった。配達員はしばらくして再びエレベーターにのり下へおりていった。
「とめてくれ」と、佐川が声を出す。管理人はキーをたたくと、映像がとまった。
画面の右上の端に時間の表示がなされていた。
「下に降りた時間は11時35分。この時間の後、すぐに妹がスマホで薫と話をしている。この時間では望月薫は生きていた時間だ」と言って、佐川が首を傾げた。
その後、いくら監視カメラの映像を見ても、誰も五階に降りる者はいなかったのだ。
「昼間はマンションには人がこないものなのかね」
「刑事さん。古いマンションでは部屋に空きができています。五階も四戸ほど空いている状況です。それに、ここに住む人は共稼ぎも多くて遅い時間でもないと帰ってはこない。つまり、昼間の人の出入りがない」
「可能性だけを考えると、マンションの住民の誰かが、殺したことも考えられますね?」と、近藤は思いついたことを口にした。すると、佐川は「他の階の者が望月薫を殺そうと思ったら、やはりエレベーターにのって五階でおりなければならないはずだよ」と言っていた。
「いや、私がこのマンションで長く管理人をやっていますが、そんな人はいないはずですよ。それにこの時間にいたとすれば、井上さんの奥さんとお子さんだ。そうだ。おそらく、ピザを頼んだとすれば505号室にいた二人ですよ」と言って、管理人が手をたたいていた。
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