4 / 6
4密室破壊
しおりを挟む
「やっぱり、薫は自殺をしたのでしょうか?」と、行き詰った話に近藤は不安気な声をあげた。
「そう思ったら、この捜査は終わりだね。まずは、殺されていると思って見ることだ。映像を見るだけでは見えない何かがあるかもしれない」
「刑事さん、じゃ、五階に行ってみますか?」と、管理人は言ってくれた。
「そうだな。現場百回だね」と、佐川はにやりと笑った。
管理人に連れられて、二人はエレベーターにのり込み五階でおりた。エレベーターの前にあるホールから真っすぐに通路が続いていて、左側は窓、右側は各戸に分けられた部屋が並んでいた。
佐川はエレベーターのある方を振り返っていた。エレベーターの中にある監視カメラがこの通路まで映していたならば、今度の場合も簡単に犯人がどのように犯行を行ったのか、すぐに明らかになっていたに違いない。
「刑事さん、503号室。もう一度入ってみますか?」
だが、管理人の声は佐川に聞こえていなかった。佐川の顔はエレベーターのある所と反対方向を見つめていたからだ。
「見えているのは非常階段につながっているドアですね」
「ええ、そうですよ。見に行きますか?」
管理人の後について、二人は非常階段に出ることができるドアの前に行った。
「ちゃんとノブがついているんですね」と、近藤はノブに触り、ゆっくりと引くとドアが開いた。
「外に出たら、ドアを閉めないでくださいよ。外からは、ドアが開かない。ここに戻れなくなります!」と、管理人が声を大きくした。
「ちょっと、ドアを押さえてくれよな」と佐川は近藤に言ってから、佐川は非常階段に出てみた。そちらの方からドアの外側を見ると、ノブはあるのだが鍵穴は塞がっていたのだ。
「外から入り込むことはできませんよ」と、管理人が自慢げに言った。
「ほんとうに、外から出入りは絶対にできないのか?」
佐川は、額に三本のしわを作りながら、しばらくの間、ドアのノブや塞がっている鍵穴見つめていた。
やがて、佐川は最後ににやりと笑った。
「管理人、セルロイドのサシありませんか? 15センチ程度の短い方がいいのですが。それとセロテープを持ってきてくれませんか?」
「管理人室にはある物ですな。サシは帳簿に赤線をひかなければならない時に使っていますからね」
「じゃ、お願いできますか?」
「ああ、いいですよ」と言って、管理人は走り出していき、エレベーターにのると一階におりていった。
「佐川さん、何を思いついたのですか?」
「ドアを閉めると、金属の板棒、デッドボルトが出てきて、ドアの枠に作られた穴に入り込んで、ドアを動けなくしてしまう。つまり鍵がかかった状態になる。だが、デッドボルトが穴に入り込まないようにできれば、ドアに鍵がかかっていない状態にして置くことができるよ」
「でも、それをどうやって?」
やがて、管理人が短いサシとセロテープを手に持って帰ってきた。
「お待たせをしました」
そう言って佐川にサシを渡した管理人は、荒い息を何度もついていた。本人はかなり急いで戻ってきてくれたのだ。
サシを受け取った佐川はデッドボルトの所にサシをあて、動かないようにセロテープで貼ってとめた。そして、佐川は非常階段の踊り場に出た。背後でドアが閉まる。
だが、すぐに佐川はドアを押して、マンションの中に入ってみせた。
「この仕掛けをすれば、非常階段から、入ることができる。これが分かれば、どうやって、望月薫を殺害できたのか、推理してみせることができる」
「どんな方法ですか?」と近藤が聞いていた。
「8月20日に、五階に来た者はピザ配達人しかいない。だから、彼が殺しをしたと仮定して考えるしかない。彼はピザの出前で来たのは、本当に仕事であったと思う。ピザの出前を届けた後に、非常階段に私が考えたようなサシを差し込む仕掛けをして、エレベーターを使って一階にいき、マンションを出ていく。つまり、彼は普通のピザ配達人で、届けた後普通に帰って行ったと思わすことができるためだ。これで管理人は彼を疑うことはない」
佐川は同意をとるように管理人の方に顔を向けた。
「この後、彼は人に見られないように木々の間を通って非常階段の所に行く。そして、非常階段をのぼり、五階に行ってドアを開ける。その後、彼は503号室に行き、ドアをピッキングで、もちろん前もって用意してきた物だが、それを使って入り込み、用意してきた腰ひもを使って望月薫の首を絞めて殺した。薫の死体を天井の梁に吊り下げ、その後、パソコンを打って、遺書を作成し、プリントアウトさせた。その時刻が午後3時だった。その後、犯人は503号室を出た。ドアが閉まると自動でロックされるタイプだから、ドアが閉まって密室が完成する。さらに非常階段の方についているドアからサシとセロテープをはがして、マンションから出ると、ここのドアも自動で閉まり外から開けることができなくなる。後は犯人は誰にも見られないように非常階段をおりて逃げ出すことができる」
佐川はまるで犯人の姿が見えるかのように、非常階段へ出られるドアを開けて階段を見つめていた。
「そう思ったら、この捜査は終わりだね。まずは、殺されていると思って見ることだ。映像を見るだけでは見えない何かがあるかもしれない」
「刑事さん、じゃ、五階に行ってみますか?」と、管理人は言ってくれた。
「そうだな。現場百回だね」と、佐川はにやりと笑った。
管理人に連れられて、二人はエレベーターにのり込み五階でおりた。エレベーターの前にあるホールから真っすぐに通路が続いていて、左側は窓、右側は各戸に分けられた部屋が並んでいた。
佐川はエレベーターのある方を振り返っていた。エレベーターの中にある監視カメラがこの通路まで映していたならば、今度の場合も簡単に犯人がどのように犯行を行ったのか、すぐに明らかになっていたに違いない。
「刑事さん、503号室。もう一度入ってみますか?」
だが、管理人の声は佐川に聞こえていなかった。佐川の顔はエレベーターのある所と反対方向を見つめていたからだ。
「見えているのは非常階段につながっているドアですね」
「ええ、そうですよ。見に行きますか?」
管理人の後について、二人は非常階段に出ることができるドアの前に行った。
「ちゃんとノブがついているんですね」と、近藤はノブに触り、ゆっくりと引くとドアが開いた。
「外に出たら、ドアを閉めないでくださいよ。外からは、ドアが開かない。ここに戻れなくなります!」と、管理人が声を大きくした。
「ちょっと、ドアを押さえてくれよな」と佐川は近藤に言ってから、佐川は非常階段に出てみた。そちらの方からドアの外側を見ると、ノブはあるのだが鍵穴は塞がっていたのだ。
「外から入り込むことはできませんよ」と、管理人が自慢げに言った。
「ほんとうに、外から出入りは絶対にできないのか?」
佐川は、額に三本のしわを作りながら、しばらくの間、ドアのノブや塞がっている鍵穴見つめていた。
やがて、佐川は最後ににやりと笑った。
「管理人、セルロイドのサシありませんか? 15センチ程度の短い方がいいのですが。それとセロテープを持ってきてくれませんか?」
「管理人室にはある物ですな。サシは帳簿に赤線をひかなければならない時に使っていますからね」
「じゃ、お願いできますか?」
「ああ、いいですよ」と言って、管理人は走り出していき、エレベーターにのると一階におりていった。
「佐川さん、何を思いついたのですか?」
「ドアを閉めると、金属の板棒、デッドボルトが出てきて、ドアの枠に作られた穴に入り込んで、ドアを動けなくしてしまう。つまり鍵がかかった状態になる。だが、デッドボルトが穴に入り込まないようにできれば、ドアに鍵がかかっていない状態にして置くことができるよ」
「でも、それをどうやって?」
やがて、管理人が短いサシとセロテープを手に持って帰ってきた。
「お待たせをしました」
そう言って佐川にサシを渡した管理人は、荒い息を何度もついていた。本人はかなり急いで戻ってきてくれたのだ。
サシを受け取った佐川はデッドボルトの所にサシをあて、動かないようにセロテープで貼ってとめた。そして、佐川は非常階段の踊り場に出た。背後でドアが閉まる。
だが、すぐに佐川はドアを押して、マンションの中に入ってみせた。
「この仕掛けをすれば、非常階段から、入ることができる。これが分かれば、どうやって、望月薫を殺害できたのか、推理してみせることができる」
「どんな方法ですか?」と近藤が聞いていた。
「8月20日に、五階に来た者はピザ配達人しかいない。だから、彼が殺しをしたと仮定して考えるしかない。彼はピザの出前で来たのは、本当に仕事であったと思う。ピザの出前を届けた後に、非常階段に私が考えたようなサシを差し込む仕掛けをして、エレベーターを使って一階にいき、マンションを出ていく。つまり、彼は普通のピザ配達人で、届けた後普通に帰って行ったと思わすことができるためだ。これで管理人は彼を疑うことはない」
佐川は同意をとるように管理人の方に顔を向けた。
「この後、彼は人に見られないように木々の間を通って非常階段の所に行く。そして、非常階段をのぼり、五階に行ってドアを開ける。その後、彼は503号室に行き、ドアをピッキングで、もちろん前もって用意してきた物だが、それを使って入り込み、用意してきた腰ひもを使って望月薫の首を絞めて殺した。薫の死体を天井の梁に吊り下げ、その後、パソコンを打って、遺書を作成し、プリントアウトさせた。その時刻が午後3時だった。その後、犯人は503号室を出た。ドアが閉まると自動でロックされるタイプだから、ドアが閉まって密室が完成する。さらに非常階段の方についているドアからサシとセロテープをはがして、マンションから出ると、ここのドアも自動で閉まり外から開けることができなくなる。後は犯人は誰にも見られないように非常階段をおりて逃げ出すことができる」
佐川はまるで犯人の姿が見えるかのように、非常階段へ出られるドアを開けて階段を見つめていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる