超ゲーム初心者の黒巫女召喚士〜動物嫌われ体質、VRにモフを求める〜

ネリムZ

文字の大きさ
20 / 101
黒巫女召喚士誕生

黒巫女本気を出す

しおりを挟む
 まずは1番邪魔な聖者を殺る事にする。
 それでも他の奴らに邪魔されるから1番速く倒せる方法を取ろうと思う。

「おりゃ!⋯⋯ッ!」

 わたしは後ろに下がった。

「は、はは、まさかこれが通ずるとはな!」
「ね、ねぇ、それって」
「ああ、特に意味無いがとあるクエストの途中で手に入ってたまたまインベントリに入っていた」
「それを、盾にすれば⋯⋯」
「て、てめぇら⋯⋯そ、そんな姑息な手を使いやがって!」

 聖者が今持っているのは⋯⋯クマのぬいぐるみだった。
 愛くるしいクリクリとした目で、わたしを見ている。
 反射的に攻撃してはいけないと体が動いたのだ。

「いや、でも、それでも、いや~でも?」

 あれは綿の塊綿の塊⋯⋯一目見るとどうしても攻撃するとゆう感覚が無くなってくる。

「ね、これ以上反抗したら、このぬいぐるみの首を斬る!」

 アサシンが短剣をぬいぐるみの首に当ててそう脅してくる。
 とても、シュールだ。

 さて、どうしたモノか?⋯⋯縮地のスキル使えるか?
 わたしのは歩行であり、スキルは瞬間移動的な動きで最大2メートルまで一瞬で移動出来るモノだ。
 縮地を連発して、一瞬で近づいてぬいぐるみを取って、聖者を倒す。丁度、短剣も近くにある事だしな。
 うん、そうしよう。それ以外に方法がない。
 本気を出して、集中しろ。
 絶対にミスは許されない。絶対にだ。

「その前に1つ質問を聞いてもらうよ?聞かなかったら⋯⋯分かるよね?」
「なんだよ」
「貴方は何者?さっきと今では全然違うけど?」
「わたし?わたしは私の本能的なあれだ。分かりやすく言えば防衛本能。自身を守り、大切を守る本能の人格。自分の弱さを補い強さを得る為に無意識で生み出した存在」
「なんだそ⋯⋯」
「【縮地】【縮地】【縮地】」
「ッ!」

 まずは短剣を蹴りによって上げる。
 喋りに集中していたようで簡単に手から短剣が抜けたのだ。
 そのままお祓い棒を持っていない左手でぬいぐるみを保護し、聖者の目を目掛けてお祓い棒を突き刺す。
 咄嗟の事で反応出来なかった聖者は抵抗する事も出来ずに片目を潰されお祓い棒に力を入れて地面に倒し、回し蹴りでアサシンを飛ばす。

「がァァ」
「ぐふ」
「【ファイヤーボール】」
「えい」

 火の玉を聖者をお祓い棒で起こして盾にして防ぎ、口の中に妖火の霊符の全て、5枚を突っ込ませる。

「解」
「ぼほ」

 口の中から煙を出して地面に倒れるがHPが0になってないので上に飛んでいた短剣をお祓い棒をインベントリに入れて回収して、その短剣を残りの目に向けて突き刺す。

「あ゛あ゛あ゛あ゛」

 ダメージエフェクトが目から涙のように大量に出て来る。
 そのまま短剣を抜いては再び突き刺してを繰り返し、HPを0にして首の方の肉をそのまま食らいつき喰らう。
 MP回復の為だ。

「⋯⋯に、逃げるわよ!」
「ど、どこに?」
「タイミングを合わせて!」
「わ、分かった!」

 お、ぬいぐるみをインベントリにしまえるぞ。
 しまっておこう。私に戻ったら完全に思考停止するだろうな。増えたスキルに減った霊符。インベントリにはぬいぐるみ。私の記憶はわたしにあるけど逆はないからな~ま、良いや。

「目を閉じて!【フラッシュ】!」

 ピカーンっと激しい光が辺りを照らす。
 そして、逃げる足音が2人分聞こえる。
 左と右である。左の方が速く遠さがって行くので、アレがアサシンだろうと予想する。
 わたしは目をつぶっているので光が収まったら開けるつもりだ。

 仮面をつけて視界を狭くしている相手に光が有効なのかね?それに、あんなに大きな声で教えてくれたら誰でも目を瞑るでしょうに。

 わたしはスキルでは無い方の縮地を使いアサシンを追い掛けて、その足を捕まえて、アサシンは転ぶ。

「わっ!」
「ど、どうしたの!」

 光が収まり魔法使いはアサシンの方を向くと、そこにはわたしが左手を伸ばして倒れていて、その左手には同じく倒れているアサシンの左足があった。

「つーかまえーた」
「ひ、ヒィ」
「そんな怯えんなって、どうせ直ぐに終わるから」

 わたしは馬乗りになってアサシンの足を切り落とし、手を切り落とす。
 ダメージエフェクトが大量に出て、徐々にHPを削っていき、今度は口の中に短剣を突っ込みゴリゴリ回す。

「あばぁはぁはあ」
「じゃあね」

 そして、HPが0になる。
 その頃には腰を抜かしてその場から動けない魔法使いしか残ってない。

「く、来るなぁ!あ、悪魔めぇ!」
「⋯⋯悪魔⋯⋯か」

 悪魔、悪魔、悪魔、か。悪魔ね。

「ふふ、はははははは!」
「え、えぇ?」
「お前も、あの野郎達みたいな事を言うのな。めっちゃ被さって見えて⋯⋯クッソ腹立つ」
「ヒィ!」

 悪魔、あの野郎も反抗したわたしを見て、そう言ってたな。

「でもな?わたしは思うんだよ。弱い者を襲うあいつらやお前ら、そしてそれを救い守るわたし⋯⋯どっちが悪魔だろうってね。弱い者を獲物にして楽しむお前ら、自分を守るために倒すわたし、わたしの方が悪なのか?」
「⋯⋯え」
「じゃあな。最後に最悪最低な思い出を思い出させてくれて⋯⋯お前はこのパーティーで2番目に最悪でクソだったよ」

 わたしは魔法使いにゆっくりと近づき、その首に短剣を刺してゴリゴリ削り斬って首を落とす。

「ぁ⋯⋯」

 そして、この虐殺は終わった。

「死体が消えるまでは戻れねぇな。私なら夢落ちで片付ける筈だし⋯⋯名前は⋯⋯ネマだったけ?召喚《サモン》ネマ」
「シャー」
「出て来てそうそう威嚇ですかそうですか泣くぞこらぁ」

 ネマを召喚したら直ぐに逃げられ、1メートル先ぐらいで毛を逆立てし、威嚇してくる。
 その瞳は怒りに染まり、雰囲気が悲しげに思える。

「ハク来い」

 ハクを呼び出す。
 毛玉だった。可愛い。
 ハクはコロコロ転がりながらネマの後ろに行く。コロコロ可愛い。
 そして、ハクは震えている。

「はは、私はセーフでわたしはダメっすか。そうすっか。君達にはわたしはどのように見えているのかな?⋯⋯悪魔に見えているのかな?」

 わたしは仮面を外した。
 あんまりいい笑顔では無いけどね。

 涙を少し流して悲しげに呟いた。

「わたしのせいで、私はコレを毎日味わっていたんだろうな⋯⋯わたしはメンタル強いと思ったけど、私程では無いな」

 私は大丈夫だろうか?こんな癒しを得て、支えを得て、現実を見せられたら⋯⋯私なら耐え抜きそうだな。

「先っぽだけでも良いから触って良い?記憶にはあるけどわたしも触りたいんだよ」
「シャー」

 指を伸ばすとそれを爪で引っ掻かれた。
 味方だからダメージは無いけど無いけどさ⋯⋯その精神的なダメージはあるんだよ。
 寧ろ足を斬られた時よりも痛いまであるぞ。
 やっべ、もっと涙出て来た。

「シャー」
「分かってるよ。せめて死体が消えるまでは待ってくれよ」

 ⋯⋯いくらなんでも仲間の君達に敵対されたって私にバレたら私、一生VRゲームしなくなるぞ。

「はぁ~戻るわ。じゃあね」
しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

処理中です...