超ゲーム初心者の黒巫女召喚士〜動物嫌われ体質、VRにモフを求める〜

ネリムZ

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化け物集団誕生の前触れ

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 ───────
 絆の召喚士
 召喚獣との絆が高い者に与えられる称号。今後、如何なる方法を持ちようとも契約の解除含め新たな契約も不可となる。
 絆は誰にも引き裂けない。
 ───────
 召喚士・創

 契約した召喚獣に信頼され絆の深い者がなる事の可能な職業。召喚獣が試験をミスなく熟す事で起こる
 本来有り得ない進化や特異な進化、職業に通づるクエスト或いはイベントが起きやすくなる

 召喚士は決して召喚獣のみで戦う訳では無い。己自身も戦うのである
 ───────

 と、こんな感じである。

 鳥居を潜り見えにくいエレベーターに乗り上る。
 登った先にはレイシアさんと師匠が⋯⋯戦っていた。ゲーム?違う。普通にだ。
 レイシアさんは刀を、師匠は私と同じように白い所が黒色のお祓い棒を構えていた。

「朧流抜刀術、神威の龍!」
「儀式二武式、蒼天龍!」

 レイシアさんが鞘から刀を高速で抜くとそれに合わせて斬撃⋯⋯では無く龍が現れ、師匠は形代を数個使って術式を構築しこちらも龍を作り出した。
 その力は互角だった。

「なかなかやるな!いつも通りだけど!」
「そっちこそ!いつもと一緒だけど!」

 再びレイシアさんは刀を鞘に入れて、レイシアさんの髪が伸びて銀色になり目を瞑る。

「フーー、朧流抜刀術奥義!青天神滅神奈之龍!」

 1つ1つの動作で衝撃波を広範囲に飛ばして、レイシアが目をバッと開く。目は青く光っていた。

「5重儀式術式構築」

 形代を数十枚、違う形の形代も数十枚出して術式を構築して行く。

「展開、夢乃龍桜」

 桜の花のようなエフェクトが飛ばしながら龍が現れてレイシアさんの龍とぶつかり合い、互いに消失する。

「お、お2人共喧嘩ですか?!そんな威力には見えませんが!」
「「モフリか?何を言っている?これはただの運動だぞ?」」
「見事なハモリ!まじですか!」
「「まじ」」

 それから私が状況を整理するのに数分を要した。
 本当にただの運動の様だった。

「それよりもモフリよ」
「はい」
「成長限界を突破していない様に感じるがしないのか?」
「進化の事ですね。そうですね。みんなが3回目の進化をしてからします」
「ふむ、そうなると黒巫女としての力が育たんな。仕方ない。少しやるかの。妖術等の習得はその後だ」
「え、はい」
「少し待っておれ」
「は、はい」

 師匠は神社の中に入って行く。
 そして、固定電話を操作している。

「何でもありなんだね」
「まぁ、あいつの空間だし」
「あー、もしもし。私だよ私」
「私私詐欺?」
「物騒だな」
「そうそうその私。あ?違うよ私だよ。そう、その私。えっとね。アレやりたいから来て。許可?あ~一時的に許可するから来れるでしょ?座標なんてあんたに関係ないし。んじゃよろ」

 軽い。
 刹那、虚空から妖術の術式では無い。魔法陣が現れてその中から声が聞こえて来た。

「く~~ろ~~ちゃ~~んが私を呼んでいる!」

 現れたのは猫耳のある魔女っ子のような帽子を被っている女の人だった。
 そして、師匠に抱き着く。

「会いたかったよ~黒ちゃん黒ちゃん」
「⋯⋯」

 師匠の目に光が無い。

「あ、あの~こちらの方は?」
「あぁん?誰だテメェ?私の黒ちゃんに馴れ馴れしくしてんじゃねぇよ?八つ裂きにすんぞ?あぁ?」

 こ、怖い。

「私の弟子に何言ってんねん。展開、筋力強化、筋力超強化、筋力極強化、打撃力強化、あと諸々」

 師匠が軽くパンチを入れる。

「ぐふ、黒ちゃんの愛を感じるよ」

 壁まで一瞬で吹き飛ばされた魔女っ子さんは立ち上がって一瞬で私の下に来る。

「全く、黒ちゃんの弟子なら速く言ってよ!てか、黒ちゃんに弟子が出来たんだね。ビックリだよ。あ、そうだ。弟子さん」
「はい」
黒ちゃんに色目使ったら50回程コロスからね♥」
「は、はい」
「は~だから私はお前の事が嫌いなんだよ」
「嫌いの反対は好き⋯⋯つまり黒ちゃんは私のことが!」
「は~~。モフリ、此奴は同じ超越者の1人で魔法を極めた奴でな。私よりも年上で今年で確か999歳だった筈だ」
「も~う黒ちゃんたったら、私の今年の誕生日はまだ来ていないから998歳よ!もう!」
「ケッ!それよりもやるからな。モフリ外のあの中央ら辺に立つてくれ」
「はい」

 私は神社から出て階段を降りて少し先に進んだ中央に立つ。

「さて」

 師匠はさっきの運動の時に見せなかった形代を数百枚くらい取り出して私の周りや地面に設置して行く。空中に設置すると言う意味が分からないが言葉のままだ。
 そしてそれを繋ぐように術式が構築されて行く。

「次は私だね!」

 魔女っ子さんの魔法陣が高速で大量に生産されて行く。

「愛の共同作業だね♥」
「黙れ」
「むーり」
「そろそろだな」
「そうだね!行くよ!」
「あ、はい」

『高めよ高めよ。この世の理に背き、輪廻を越えろ、ソナタは個人であり個である。縛られる事も無く、自由に気高く生きて、自分の高みを見つけ、見つめ、拒絶せよ。ソナタが望むならソナタの望みを写し出さんとす』
「団体構築術式展開!輪廻解放!」
「集団合成儀式魔法!【成長限界突破レベルフリー】!」

「久しぶりにこの魔法が見れるとは、心が踊るね」

『結合!合成妖術魔法!再転の黙示録!』

 私の中に何かが溶け込んで行く。

《今後の取得経験値が職業:黒巫女のレベルに使われます。黒巫女のレベル上限が無くなりました》

「え」
「ふへ~疲れた」

 師匠がその場で座り込む。

「私も疲れましたが黒ちゃんを抱き締めたら治る気がします!」
「私の体力が0になるから無理~」
「レイシアさんこれって?」
「ああ、特定の成長限界を突破する呪い的な妖術でもあり魔法でもある混合物質だよ。ただ世の理に背く禁忌の呪法だけどね。呪いって言っても良い効果しかないよ。昔はそのせいでこの2人が良く狙われたモノだね。漏れなく返り討ちに会って居たけど」
「そ、そうなんですか」

 なんかまた私の知らない世界が広がった気がするよ。

「モフリ、少し休ませてくれ」
「あ、勿論ですよ」
「レイシア、私の自己紹介を頼むよ」
「はいはい」

 私は師匠を、レイシアさんは魔女っ子さんを神社に置く。
 そしてレイシアさんと神社の中にあるちゃぶ台で対面に正座する。

「まず、この子は魔法使いでさっきも言っていた通り魔法を極めた子だよ。魔法では誰も勝てないんじゃない?そして、黒ちゃんって言っているのは黒色だから」

 黒巫女の服に髪も目も黒だしね⋯⋯更には武器まで。

「そして、超片思いしているね」
「は、はは」

 見てて分かってしまう。

「まぁ、普段はこの結界内も入れ無いんだけどモフリの黒巫女としての成長限界を無くしたかったんだろうね。弟子の成長が止まるのは嫌だったんだろう」
「そうなんですか」
「あ、黒ちゃん、私今日からここに住むからね?」
「なぜじゃ!嫌だぞ!」
「もうここの結界の術式方式解析終わったから何時でも来れるもん!」
「で、この魔法使いの名前はマーリンだ」
「マーリンさん」
「と、マーリン。ここの術式結界は1日置きに変わるぞ」
「なんですと!なら、今から動かない!」
「私が困る!」

 師匠のこんなコミカルな動きは⋯⋯よく見るかな?
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