16 / 179
物理系魔法少女、魔法少女と出会う
しおりを挟む
「気をつけて行ってきてね」
「はーい」
弁当を受け取り、持ってきたリュックに横になるようにきちんと詰め込む。
ダンジョンに入り、俺はアカツキモードで探索する。
スマホのカメラで撮影する事を考えながら、片手間でゴブリンを倒す。
オークのダンジョンも問題はなかったが、やはり安全をとってゴブリンの多いこのダンジョンの方が良いと思った。
今はすぐにお金が必要って訳じゃないので、安全に活動しようと思う。
「目先の目標は広告をつけれるようにしないとな。⋯⋯ゴブリンを素手で倒すってのも味気ないよな⋯⋯つーか、ワンパターン」
拳で倒すしか俺は撮ってない。
撮影用にステッキをドローンにしているため、素手じゃないと攻撃できないのだ。
「武器は高いし⋯⋯ん~考えものだ」
いっそゴブリンの持っている武器を奪って、それで倒すってのはどうだろうか?
それだとどっちがゴブリンか分からんな。
「ん~まじめにどうしよう。イレギュラーとかあれば、ネタになりそうだけど⋯⋯でもなぁ」
それだと普通に危険だ。
俺には綺麗に食べ終わった弁当箱を返却し、美味しい手作り晩御飯を食べるという、全てを捨ててでも遂行しないといけない義務が存在する。
紗奈ちゃんに彼氏が居ないのか疑問に思うけど。
「魔法を掴んでボウリングしてみた⋯⋯地面に当てると魔法って砕けるんだよな」
そう呟きながら、魔法の使えるゴブリンから飛ばされた風の斬撃を掴んで、ブーメランのように投げ飛ばして斬り裂いた。
「どうしたもんか」
俺って撮影の才能が無いのかもしれない。ネタが全く思いつかない。
前は『うっかり』と『脳筋的』が組み合わさって、良い感じのライブになった。
だが、そんな『天然ムーブ』は天然じゃないのでできない。
『脳筋的』ってのもワンパターンでマンネリ化するだろう。
「まだ二回しかやってないし、擦れるだけ擦るか」
そうなると、ゴブリンだとインパクトに欠けるよな。
「オークもインパクトに欠ける気がする。もうやっちゃったし。レベル1で一人で行けるような場所で他に何か、殴りがいのある魔物は居ないもんかね?」
そう呟いていると、背中から嫌な感じがした。
無意識に従って、身体が前に全力で進んでいた。
俺の元居た位置に降り注ぐ火炎。
「なるほど。良い反応だ」
「蒼い、炎。誰だいきなり攻撃しやがって!」
「プライベートでもそんな口調なんだね。もしかしてあれってネタじゃなくて素なのか?」
上からゆっくりと舞い降りて来ているせいで、スカートの中身が見えてしまっている青髪の女の子。
見た目は初期の俺⋯⋯魔法少女のような見た目だ。
「⋯⋯まさか、お前は魔法少女か!」
「その通り。君と一緒。自分は蒼炎の魔法少女、アオイ」
「安直すぎるだろ!」
「赤髪だからアカツキってのも安直だと思いますけどねぇ?」
うわ。
冷静クールな感じだったのに、少しだけ怒りをむき出しにして来た。
地雷踏んだわ。
「同じ魔法少女なのに、なんで攻撃する!」
「貴女のポテンシャルを確かめるためよ。魔法少女なんだから、特定の魔法が使えるでしょ? それを見せなさい」
⋯⋯は?
この俺が魔法使えると思ってんのか?
ライブ見てくれたんですよね? だったら分かるよね?
魔法使えるなら一回くらいは使って、普通に魔法少女路線でやってたわ!
使えねーだんよ!
俺の魔法少女は魔法がなぜか使えないんだよ!
「なるほど隠したいのね。そう言う人も居るわ」
魔法少女って複数人も居るの?
ユニーク⋯⋯。
紗奈ちゃん、【ユニーク】スキルに【魔法少女】は含まれないようですよ。
⋯⋯話の流れ的にもしかして俺にカマかけてしてたのかな? 今は関係ないか。
「さぁ無駄話は終わり。いや、後回し。貴女がその気なら、引き出すまでよ。蒼炎!」
伊吹のように魔法を放ってきやがる。
ああ言う決まった形の無い魔法を俺は掴む事ができない。
まじで厄介だ。
レザーとか一直線なら捕まるけど、跳ね返す事のできない魔法の方がよっぽどマシだ。
なんで攻撃して来るかぶっちゃけ分からんが、逃げるしかない。
こちとら逃げ足速いんじゃ!
良い感じの場所でリュックは置いておこう。
「え、逃げるの? 魔法少女なら戦いなさいよ! 正義の味方なのよ!」
「そんなん知るか! 勝手に魔法少女にされてるのに、正義だの云々しるかよ! 何より、何も知らない分からない相手にいきなり攻撃してくる奴が、正義語るな!」
「うっ」
探索者を相手する必要は無い。攻撃してくるなら、ダンジョン内でゲートを守ったり、探索者同士の争いなどを仲裁する為に居る自衛隊のところに行けば良いんだ。
攻撃した事が自衛隊にバレたら、相手は探索者のライセンスを剥奪される。
自衛隊が近くにいなくても、ゲートの外に出れば俺は冴えないおっさんだ。
気づかれるはずがねぇ。
「どこまで逃げる気よ! ⋯⋯まさか、蒼炎!」
「蒼炎!」だけで幅広い魔法が使えるんですね!
球体の魔法なら、俺にとってありがたいぜ。
「くらえ、サッカー選手になれる程の強い蹴りを!」
魔法を足で蹴飛ばして、羽返そうとする⋯⋯だが、魔法の威力が強すぎて蹴れない。
「うらっ!」
力を込めて蹴り抜くと、魔法は粉砕してしまった。
次元が違う。
レベル2以上か、相手は。
「魔法少女なのに魔法使いやがって」
「あたりまえじゃない⋯⋯貴女も使いなさいよ」
「はーい」
弁当を受け取り、持ってきたリュックに横になるようにきちんと詰め込む。
ダンジョンに入り、俺はアカツキモードで探索する。
スマホのカメラで撮影する事を考えながら、片手間でゴブリンを倒す。
オークのダンジョンも問題はなかったが、やはり安全をとってゴブリンの多いこのダンジョンの方が良いと思った。
今はすぐにお金が必要って訳じゃないので、安全に活動しようと思う。
「目先の目標は広告をつけれるようにしないとな。⋯⋯ゴブリンを素手で倒すってのも味気ないよな⋯⋯つーか、ワンパターン」
拳で倒すしか俺は撮ってない。
撮影用にステッキをドローンにしているため、素手じゃないと攻撃できないのだ。
「武器は高いし⋯⋯ん~考えものだ」
いっそゴブリンの持っている武器を奪って、それで倒すってのはどうだろうか?
それだとどっちがゴブリンか分からんな。
「ん~まじめにどうしよう。イレギュラーとかあれば、ネタになりそうだけど⋯⋯でもなぁ」
それだと普通に危険だ。
俺には綺麗に食べ終わった弁当箱を返却し、美味しい手作り晩御飯を食べるという、全てを捨ててでも遂行しないといけない義務が存在する。
紗奈ちゃんに彼氏が居ないのか疑問に思うけど。
「魔法を掴んでボウリングしてみた⋯⋯地面に当てると魔法って砕けるんだよな」
そう呟きながら、魔法の使えるゴブリンから飛ばされた風の斬撃を掴んで、ブーメランのように投げ飛ばして斬り裂いた。
「どうしたもんか」
俺って撮影の才能が無いのかもしれない。ネタが全く思いつかない。
前は『うっかり』と『脳筋的』が組み合わさって、良い感じのライブになった。
だが、そんな『天然ムーブ』は天然じゃないのでできない。
『脳筋的』ってのもワンパターンでマンネリ化するだろう。
「まだ二回しかやってないし、擦れるだけ擦るか」
そうなると、ゴブリンだとインパクトに欠けるよな。
「オークもインパクトに欠ける気がする。もうやっちゃったし。レベル1で一人で行けるような場所で他に何か、殴りがいのある魔物は居ないもんかね?」
そう呟いていると、背中から嫌な感じがした。
無意識に従って、身体が前に全力で進んでいた。
俺の元居た位置に降り注ぐ火炎。
「なるほど。良い反応だ」
「蒼い、炎。誰だいきなり攻撃しやがって!」
「プライベートでもそんな口調なんだね。もしかしてあれってネタじゃなくて素なのか?」
上からゆっくりと舞い降りて来ているせいで、スカートの中身が見えてしまっている青髪の女の子。
見た目は初期の俺⋯⋯魔法少女のような見た目だ。
「⋯⋯まさか、お前は魔法少女か!」
「その通り。君と一緒。自分は蒼炎の魔法少女、アオイ」
「安直すぎるだろ!」
「赤髪だからアカツキってのも安直だと思いますけどねぇ?」
うわ。
冷静クールな感じだったのに、少しだけ怒りをむき出しにして来た。
地雷踏んだわ。
「同じ魔法少女なのに、なんで攻撃する!」
「貴女のポテンシャルを確かめるためよ。魔法少女なんだから、特定の魔法が使えるでしょ? それを見せなさい」
⋯⋯は?
この俺が魔法使えると思ってんのか?
ライブ見てくれたんですよね? だったら分かるよね?
魔法使えるなら一回くらいは使って、普通に魔法少女路線でやってたわ!
使えねーだんよ!
俺の魔法少女は魔法がなぜか使えないんだよ!
「なるほど隠したいのね。そう言う人も居るわ」
魔法少女って複数人も居るの?
ユニーク⋯⋯。
紗奈ちゃん、【ユニーク】スキルに【魔法少女】は含まれないようですよ。
⋯⋯話の流れ的にもしかして俺にカマかけてしてたのかな? 今は関係ないか。
「さぁ無駄話は終わり。いや、後回し。貴女がその気なら、引き出すまでよ。蒼炎!」
伊吹のように魔法を放ってきやがる。
ああ言う決まった形の無い魔法を俺は掴む事ができない。
まじで厄介だ。
レザーとか一直線なら捕まるけど、跳ね返す事のできない魔法の方がよっぽどマシだ。
なんで攻撃して来るかぶっちゃけ分からんが、逃げるしかない。
こちとら逃げ足速いんじゃ!
良い感じの場所でリュックは置いておこう。
「え、逃げるの? 魔法少女なら戦いなさいよ! 正義の味方なのよ!」
「そんなん知るか! 勝手に魔法少女にされてるのに、正義だの云々しるかよ! 何より、何も知らない分からない相手にいきなり攻撃してくる奴が、正義語るな!」
「うっ」
探索者を相手する必要は無い。攻撃してくるなら、ダンジョン内でゲートを守ったり、探索者同士の争いなどを仲裁する為に居る自衛隊のところに行けば良いんだ。
攻撃した事が自衛隊にバレたら、相手は探索者のライセンスを剥奪される。
自衛隊が近くにいなくても、ゲートの外に出れば俺は冴えないおっさんだ。
気づかれるはずがねぇ。
「どこまで逃げる気よ! ⋯⋯まさか、蒼炎!」
「蒼炎!」だけで幅広い魔法が使えるんですね!
球体の魔法なら、俺にとってありがたいぜ。
「くらえ、サッカー選手になれる程の強い蹴りを!」
魔法を足で蹴飛ばして、羽返そうとする⋯⋯だが、魔法の威力が強すぎて蹴れない。
「うらっ!」
力を込めて蹴り抜くと、魔法は粉砕してしまった。
次元が違う。
レベル2以上か、相手は。
「魔法少女なのに魔法使いやがって」
「あたりまえじゃない⋯⋯貴女も使いなさいよ」
0
あなたにおすすめの小説
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』
チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。
その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。
「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」
そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!?
のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中
あ、まん。@田中子樹
ファンタジー
仕事一筋40年。
結婚もせずに会社に尽くしてきた二瓶豆丸。
定年を迎え、静かな余生を求めて山奥へ移住する。
だが、突如世界が“数値化”され、現実がゲームのように変貌。
唯一の趣味だった15年続けた積みゲー「モリモリ」が、 なぜか現実世界とリンクし始める。
化け物が徘徊する世界で出会ったひとりの少女、滝川歩茶。
彼女を守るため、豆丸は“積みゲー”スキルを駆使して立ち上がる。
現金化されるコイン、召喚されるゲームキャラたち、 そして迫りくる謎の敵――。
これは、還暦オジが挑む、〝人生最後の積みゲー〟であり〝世界最後の攻略戦〟である。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活
髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。
しかし神は彼を見捨てていなかった。
そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。
これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。
掘鑿王(くっさくおう)~ボクしか知らない隠しダンジョンでSSRアイテムばかり掘り出し大金持ち~
テツみン
ファンタジー
『掘削士』エリオットは、ダンジョンの鉱脈から鉱石を掘り出すのが仕事。
しかし、非戦闘職の彼は冒険者仲間から不遇な扱いを受けていた。
ある日、ダンジョンに入ると天災級モンスター、イフリートに遭遇。エリオットは仲間が逃げ出すための囮(おとり)にされてしまう。
「生きて帰るんだ――妹が待つ家へ!」
彼は岩の割れ目につるはしを打ち込み、崩落を誘発させ――
目が覚めると未知の洞窟にいた。
貴重な鉱脈ばかりに興奮するエリオットだったが、特に不思議な形をしたクリスタルが気になり、それを掘り出す。
その中から現れたモノは……
「えっ? 女の子???」
これは、不遇な扱いを受けていた少年が大陸一の大富豪へと成り上がっていく――そんな物語である。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる