物理系魔法少女は今日も魔物をステッキでぶん殴る〜会社をクビになった俺、初配信をうっかりライブにしてしまい、有名になったんだが?〜

ネリムZ

文字の大きさ
111 / 179

物理系魔法少女、本音を聞き惑う

しおりを挟む
 男達の荷物にあったロープで適当に縛って、固めて放置した。

 その後、牢屋から皆を出した。

 代わりに男達をその中にポイ捨てした。

 「牢屋少し壊しちゃったんだよなぁ」

 俺は木に近づいて、強めに蹴って破壊して大きさを調節するために破壊して、牢屋の出入口に立てた。

 「これで大丈夫だろう」

 俺の行動に子供達は目を輝かせていた。

 「すごい⋯⋯」

 「ふっ」

 あんまり目立つのは良くないかもしれんな⋯⋯アカツキ二号目になってしまう。

 待っていると、アオイさん達が順番に起き始めた。

 「アルファさん。⋯⋯そうですか、一人で。ごめんなさい。なんの、役にも立てませんでしたわ」

 「お気になさらず」

 「せめて、ギルドに報告しに行ってきます。申し訳ございませんが、見張りをお願いできますか?」

 「もちろんです」

 アオイさんは子供を連れてギルドに向かった。

 魔物を発見できなかったのも、この男達が犯罪を犯すために倒していたのだろう。

 なんとも迷惑な奴らだ。

 「アナタは⋯⋯」

 「アルファ。よろしくね」

 「ミドリともうします。助けてくれてありがとう、ございます」

 「敬語は大丈夫ですよ。一緒に見張ってますか」

 俺はミドリさんの横に座った。

 彼女は一人の男を睨んでいる。

 「アイツは魔封じの魔眼を使ってたんですよ⋯⋯厄介な事に魔法で刃を分断させたタイミングで使われて⋯⋯」

 彼女は風の魔法で刃を手繰り寄せ、持ち手しか残ってなかった剣にはめていく。

 ちゃんとした剣になった。不思議だな。

 「その後は子供達を囮にされて⋯⋯」

 「そうですか。何はともあれ、無事で良かったです」

 「不甲斐ない限りやわ」

 無言の時間の中、男達が目を覚ましていく。

 自分で言うのもなんだが、あの攻撃を受けて良く意識を回復できるモノだ。

 再生スキルでもあるのかな?

 「お、お前達は何者だ!」

 「関係ないやろ」

 「確かに」

 通りすがりの魔法少女です、と冗談を言えるミドリさんでは無いようだ。

 その後も「離せ」だの「解放しろ」だのと戯言をほざく男達。うるさい。

 犯罪をしようとした理由でも聞いてやろうか?

 「他の仲間がいる可能性があります」

 ミドリさんがそう言った。

 「仲間を助けるために近くに来ているかもしれまへん。ここはうちが見張ってますんで、捕まえていただけまへんか?」

 緑色の瞳をギロリと俺に向けて来たので、ゆっくりと立ち上がって歩き出した。

 あの目はちょっと怖かったな。

 少し歩いて距離を離してから、猛ダッシュで戻った。

 俺が戻ったタイミングでミドリさんは剣を牢屋の中に伸ばそうとしているところだった。

 「間に合え!」

 俺は剣を掴んだ。全力で掴んだので手に刃がくい込み、斬って血を流す。

 「アルファさんっ! なんでっ!」

 「目が、濁っている気がしたので⋯⋯気になって、戻ってきました。何してるんですか?」

 ミドリさんがバックステップした。

 なんだコレ⋯⋯ただのかすり傷のはずなのにすげぇ痛い。

 どのくらい痛いかと言うと、今すぐにでも叫んでのたうち回りたいくらいの激痛が全身に走っているくらいには痛い。

 彼女が不安の目をする。

 「なんで、どうして!」

 「それはこっちのセリフです! 人殺しになりたいんですか!」

 「構わない! そいつらはこの他にも沢山の女子供を売り払ったんだ! 沢山の人を殺しているんだ! 悪だ! 世界の害悪だ!」

 これほどまでにキレたミドリさんを俺は初めて見た。そもそも会ったのも二回しかないのだが。

 でもだからこそ分からない。

 あんなに子供想いの人が、こんな事を平然でできるなんて⋯⋯想像もできない。

 だけど今目の前の彼女の顔も紛れもなく、本心だろう。

 「悪はこの世に不要や! ソイツらは殺さなあかんねん!」

 「確かに、誰かに殺されてしまってもおかしくない事をしていたんだと思います。ですが、それを裁くのは国であって君じゃない!」

 「関係ない! 世界の悪が悲しみを呼ぶ前に、連鎖を広げる前に断ち切らないとあかんねん! うちがそれをやるんや!」

 「関係なくない! 君が殺人者になって良い理由が無い!」

 俺は全力でミドリさんを止める。

 彼女はゆっくりと刃を下ろした。ほっと胸を撫で下ろす。

 そのまま木に背中を預けてくれた。

 「ふぅ。良かった。怖いのでそう言うのは止めてください」

 「⋯⋯せやね」

 そんな短い会話をした数秒後にアオイさんがギルド職員を連れてやって来た。

 全国のギルドでゲートを見張っているので、ゲートを通過したら奴らはどこかのギルドで捕まるらしい。

 それを聞いて俺は安心して、一緒に帰った。

 ⋯⋯ん?

 つまりは俺が出たタイミングで捕縛用のギルド職員や警察がゲートの前に待機している訳か。

 そんな状態で出るの? なんか嫌だなぁ。

 時間の方は⋯⋯おっとギリギリだ。

 「しかたない。別にバレる訳じゃないし、普通に出るか」

 元々聞いていたドロップアイテムの買取価格を計算して、おおよその報酬額を思い浮かべる。

 ざっと三万円。

 もっと効率の良い場所に行けばより稼げるし、そこに配信の稼ぎも入る。

 人気の場所は人が多いから大変かもしれんけど、その時はアルファモードだ。

 どうやってダンジョンで子供を拉致監禁したのかは俺が知るところじゃない。

 子供達もアオイさんと同じギルドのゲートを通ってきているとは限らないし、どうやって対処したんだろ?

 まぁ、何事もなければそれで良いんだけどね。

 匂い消しの為に回復薬を頭から被って、ゲートを通った。他の人達は奇妙なモノを見る目を向けて来た。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中

あ、まん。@田中子樹
ファンタジー
仕事一筋40年。 結婚もせずに会社に尽くしてきた二瓶豆丸。 定年を迎え、静かな余生を求めて山奥へ移住する。 だが、突如世界が“数値化”され、現実がゲームのように変貌。 唯一の趣味だった15年続けた積みゲー「モリモリ」が、 なぜか現実世界とリンクし始める。 化け物が徘徊する世界で出会ったひとりの少女、滝川歩茶。 彼女を守るため、豆丸は“積みゲー”スキルを駆使して立ち上がる。 現金化されるコイン、召喚されるゲームキャラたち、 そして迫りくる謎の敵――。 これは、還暦オジが挑む、〝人生最後の積みゲー〟であり〝世界最後の攻略戦〟である。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

掘鑿王(くっさくおう)~ボクしか知らない隠しダンジョンでSSRアイテムばかり掘り出し大金持ち~

テツみン
ファンタジー
『掘削士』エリオットは、ダンジョンの鉱脈から鉱石を掘り出すのが仕事。 しかし、非戦闘職の彼は冒険者仲間から不遇な扱いを受けていた。 ある日、ダンジョンに入ると天災級モンスター、イフリートに遭遇。エリオットは仲間が逃げ出すための囮(おとり)にされてしまう。 「生きて帰るんだ――妹が待つ家へ!」 彼は岩の割れ目につるはしを打ち込み、崩落を誘発させ―― 目が覚めると未知の洞窟にいた。 貴重な鉱脈ばかりに興奮するエリオットだったが、特に不思議な形をしたクリスタルが気になり、それを掘り出す。 その中から現れたモノは…… 「えっ? 女の子???」 これは、不遇な扱いを受けていた少年が大陸一の大富豪へと成り上がっていく――そんな物語である。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

処理中です...