【完結】かわいい彼氏

  *  ゆるゆ

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しあわせのつづき

だいじなはなし

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「遥斗──! 大事な話がある──!」

 放課後になった瞬間、思い出の資料室に連れこまれた遥斗は、達也に壁ドンされてしまった。

 りょーくんの電車で扉ドンは、めちゃくちゃ、めちゃくちゃ、めちゃくちゃどきどきして、きゅんきゅんしたけど、ごめん、達也のは、微塵もときめかない!

 というより、どしたの? ってなるよ。

「いや、話って、ふつうにすれば……壁ドンいらなくない?」

 突っこむ遥斗に、達也は首をふる。

「逃げられないために、壁ドンが必須なんだよ!」

 達也の目が真剣すぎる。

 ……こわい。

「……なんの話をする気なの……」

 うろんな目になる遥斗に、達也は叫んだ。


「正直に言ってくれ!『るーくんの恋小説』を書いてるのは、遥斗だな!?」


 …………………………。

「…………え…………?」


 ぽかんと口を開ける遥斗に、鼻息荒く達也はまくしたてる。


「なんか、めちゃくちゃかわいー恋小説っていうか日記? 書いてる人がいるーって、お気にいりするなって書いてあるけど、他の人もお気に入りにしてるし、いいよね! ってお気に入りにして、毎日楽しみに読んでたんだけど、これってもしかしてってずっと思ってたけど、おそろいのぬいぐるみが決定打だよ!」

 達也は息を吸った。


「どう読んでも、遥斗と一条くんだろおぉおオ──!」

 叫ばれた瞬間

 バァン──!

 資料室の扉が、音を立てて開いた。


「……何、してる……?」

 涼真の秀麗な額に、青筋が浮きあがるのが見えた気がした。

「死にたいのか」

 激おこな涼真に、壁ドンの手を払われそうになって、あわてたように腕をひいた達也は、涼真を見あげる。
 眼鏡のフレームが夕陽のひかりを反射した。
 

「『りーくんの恋日記』書いてる?」


「………………っ」

 涼真が、固まった。


「やっぱり! 絶対そうだと思った! すんげえ両想いじゃん! おめでとう!」

 遥斗と涼真の手をつかんで、ぶんぶん振る達也に、涼真の目がまるくなる。

「……おめでとう……?」

 ぶんぶん達也はうなずいた。

「僕、BL小説が大すきなんだ! オンラインで小説が読めるって遥斗に紹介したのも僕なんだぞ! 一条くんは僕に感謝するがよい!」

 ふふんと達也は胸を張った。

「言いふらしたりしないから心配しないで。
 あ、でも、皆、なんとなくわかってるみたいだけど。一条くんと遥斗がつきあってるって」

 !?!???

「………………え………………」

 ぼうぜんとつぶやく遥斗に、達也は微笑んだ。

「だって、おそろいのぬいぐるみ鞄につけて、手ぇつないで登下校してるんだぞ? 毎日いっしょに。誰の誘いにも一条くんはなびかないし、ずうっと遥斗だけを見てる。幼なじみ超えてるだろ」

「…………う…………」

 う、うれしいけど……!


「最初は一条くんを狙ってた女の子たちが『ショックー!』『絶望ー!』って騒いでたけど、男子はさ、感謝してるぞ。『あの顔と身体と頭で佐倉がすきとか、なんてやさしい男なんだ!』って。ほら、女の子たちが、自分たちに回ってくるかもしれないから」

 達也が、にやにやしてる。






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