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しあわせのつづき
だいじなはなし
しおりを挟む「遥斗──! 大事な話がある──!」
放課後になった瞬間、思い出の資料室に連れこまれた遥斗は、達也に壁ドンされてしまった。
りょーくんの電車で扉ドンは、めちゃくちゃ、めちゃくちゃ、めちゃくちゃどきどきして、きゅんきゅんしたけど、ごめん、達也のは、微塵もときめかない!
というより、どしたの? ってなるよ。
「いや、話って、ふつうにすれば……壁ドンいらなくない?」
突っこむ遥斗に、達也は首をふる。
「逃げられないために、壁ドンが必須なんだよ!」
達也の目が真剣すぎる。
……こわい。
「……なんの話をする気なの……」
うろんな目になる遥斗に、達也は叫んだ。
「正直に言ってくれ!『るーくんの恋小説』を書いてるのは、遥斗だな!?」
…………………………。
「…………え…………?」
ぽかんと口を開ける遥斗に、鼻息荒く達也はまくしたてる。
「なんか、めちゃくちゃかわいー恋小説っていうか日記? 書いてる人がいるーって、お気にいりするなって書いてあるけど、他の人もお気に入りにしてるし、いいよね! ってお気に入りにして、毎日楽しみに読んでたんだけど、これってもしかしてってずっと思ってたけど、おそろいのぬいぐるみが決定打だよ!」
達也は息を吸った。
「どう読んでも、遥斗と一条くんだろおぉおオ──!」
叫ばれた瞬間
バァン──!
資料室の扉が、音を立てて開いた。
「……何、してる……?」
涼真の秀麗な額に、青筋が浮きあがるのが見えた気がした。
「死にたいのか」
激おこな涼真に、壁ドンの手を払われそうになって、あわてたように腕をひいた達也は、涼真を見あげる。
眼鏡のフレームが夕陽のひかりを反射した。
「『りーくんの恋日記』書いてる?」
「………………っ」
涼真が、固まった。
「やっぱり! 絶対そうだと思った! すんげえ両想いじゃん! おめでとう!」
遥斗と涼真の手をつかんで、ぶんぶん振る達也に、涼真の目がまるくなる。
「……おめでとう……?」
ぶんぶん達也はうなずいた。
「僕、BL小説が大すきなんだ! オンラインで小説が読めるって遥斗に紹介したのも僕なんだぞ! 一条くんは僕に感謝するがよい!」
ふふんと達也は胸を張った。
「言いふらしたりしないから心配しないで。
あ、でも、皆、なんとなくわかってるみたいだけど。一条くんと遥斗がつきあってるって」
!?!???
「………………え………………」
ぼうぜんとつぶやく遥斗に、達也は微笑んだ。
「だって、おそろいのぬいぐるみ鞄につけて、手ぇつないで登下校してるんだぞ? 毎日いっしょに。誰の誘いにも一条くんはなびかないし、ずうっと遥斗だけを見てる。幼なじみ超えてるだろ」
「…………う…………」
う、うれしいけど……!
「最初は一条くんを狙ってた女の子たちが『ショックー!』『絶望ー!』って騒いでたけど、男子はさ、感謝してるぞ。『あの顔と身体と頭で佐倉がすきとか、なんてやさしい男なんだ!』って。ほら、女の子たちが、自分たちに回ってくるかもしれないから」
達也が、にやにやしてる。
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