【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ

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びじんではない

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「精霊さま皆さまで仲良く行きましょうね」

 キーアは、ちっちゃな精霊さんたちの頭をなでなでする。

「応援してくださったら、めちゃくちゃ心強いです。ありがとうございます!」

 虚空に向かって丁寧に頭をさげるように見えるだろうキーアに、ルゥイもレォもネィトも微笑んで、ガダ先輩と主人公マェラはぽかんとして、ゼァル将軍は目を瞠る。

「……まさか、きみは……」

「精霊さまが、見えるのか。常に?」

 茫然と呟くハゥザに、キーアは首をかしげる。

「いえ、あの、出てきてくださったときだけですが。ハゥザ学園長も、見えるのでは?」

「……いや、僕も、大魔法使いのフィリでさえ、一度お目にかかったことがあるだけだ。それだけでも滅多とないことで、祝福をたまわったに等しい。尋常ではない精度で魔法を操れる」

 ハゥザの指先で、光がひるがえる。

 呪文の詠唱も、魔法陣を描く動作も何もない。
 こぼれる光魔法に、誰もが息をのむ。


「……ということは、キーアは──」

 ハゥザが凛々しい眉をひそめ、将軍ゼァルは吐息した。

「精霊さまが見えるだの、話せるだの、言わないほうがいい。そぶりもやめて、もっとひっそりしなさい。でないと監禁されて実験体にされる」

 いかめしい声に、跳びあがる。

「は、はい! 申し訳ありませんでした!」

 あわあわキーアは頭をさげる。

「ルゥイもレォも注意してくれたのに、ごめんね」

 ふたりは首を振った。

「キーアを心配しただけだから」

 ルゥイの手が、慰めるように頭をなでてくれる。

「話すときは、こっそり」

『しー』

 唇に指をあててくれるレォが、かわいーです!


「わ、わかった。気をつける!」

 深くうなずいたキーアの後ろ髪が、もしょもしょする。

『きー、しかられた?』

 顔を覗かせた闇さまに、こくこくキーアは、うなずいた。

「精霊さまとお話してるのがバレると、いろいろあるみたいです」

 ぽそぽそ、ひとりごとに聞こえるくらいのちいさな声で話してみる。

『……僕の、せー?』

 闇さまの目が、うりゅうりゅしてる!

「ち、違います! 俺の配慮が足りなかっただけで……あぁ、反応したらだめだった! えーと、ひっそり、こっそりお話するとだいじょぶです!」

 ひとり演劇の練習みたいに、ふふって胸を叩いてみました。

 ルゥイもレォも、ネィトもハゥザ学園長も、ガダ先輩まで、ぷるぷるして笑うのをこらえてる。
 ゼァル将軍までちょこっと唇の端が動いてるよ!
 マェラはふつうに笑ってる。さすが主人公!

『……きー、ごめんね』

 ちっちゃな闇さまが、しょんぼりしてる……!

「闇さまが謝ることなんて、何にもないですから!
 出てきてくださったら、めちゃくちゃうれしーです!」

 小声でぽそぽそがんばってみたよ!

『……ほんと?』

「きーちゃん、嘘つかない」

 たぶん!

 胸を叩いてみたよ。

 きゅう、と抱きついてくる闇さまが、めちゃくちゃ、めちゃくちゃかわいーです!



「え、ええと、こんな感じならだいじょうぶでしょうか?」

 おそるおそる聞いたキーアに、ぷるぷるしてたルゥイが、はちみつの髪を揺らして笑ってくれる。

「楽しかった。じゃなくて、よくできました。
 これからは、もうちょっとひと目のないところに行って、ちいさな声でお話するといいと思うよ」

 ルゥイが頭をなでなでしてくれる。

「褒めるのは学園長たる僕の役目じゃないかな、ルゥイ。同級生がするのはおかしいと思うけど?」

 ぺいとルゥイの手をのけたハゥザ学園長が、頭をなでなでしてくれました。

「よくできたね、キーア♡」

 ロデア大公国でいちばんのハゥザのご尊顔がとろけて、ルゥイの頬が、ぶっすりしてる。

「あ、あの、ルゥイのも、ハゥザ学園長のも、うれしいです!」

 にこにこしてみました。


「あー、そーゆーの八方美人って言うんだぜ」

 ガダ先輩が鼻を鳴らした。
 ネィトが隣で指を折る。


「伴侶の僕でしょ、ルゥイ、レォさま、ハゥザ伯父上、大公殿下も? 闇さま、光さま、風さま、地さま、水さま、炎さま、十一方美人だね!」

 あんぐり口を開けたガダが、引きつってる。

「……いーなー……」

 主人公マェラが指をくわえてる。


 いや、主人公だから、これからだから!

 あたりまえだけど、びじんじゃないよ!







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