【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ

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 ゼァル将軍が、ハゥザ学園長を振りかえる。

 最愛の推しの一挙手一投足を目に焼きつけてしまうキーアは、常に拝み体勢が万全です。

「学生の班は、俺を召喚する魔道具をハゥザに渡しておこう。ハゥザ並の魔物が出たら呼んでくれ」

 ……学園長並みの魔物……?

「それ世界の終わりじゃない?」

 フィリが笑って

「失礼な。僕はそんなに強くないよ」

 ハゥザも笑う。

「……顔面は世界最強級だと思います」

 ルゥイの目が遠くなってる。
 





「僕は保護者だから、班の統率者を決めて、皆で魔物の探索を行ってね。実戦だから気を抜かず、がんばって」

 にこにこするハゥザ学園長が、スパルタすぎる。


「え、こんな風に探索するんですよとか、魔物を討伐するんですよとか、何にもなしですか!?」

 のけぞるキーアと一緒に、ネィトもマェラも引きつってる。


「魔物がいるか確認、弱そうだとぽこる、強そうだと逃げる、だろ? 何か難しいことあるか?」

 ガダ先輩の言う通り、なのか、な……?

 さすが脳筋?


「キーアは僕が守るから」

「キーアは俺が守るから」

 ルゥイとレォが微笑んでくれるのに、うれしくてふわふわ熱い頬でキーアも笑う。


「俺も、ルゥイとレォを守るから! 勿論、ネィトも、マェラも、ガダ先輩も!」

 どんと胸を叩いてみました!


「おお、勇ましいな!」

 ガダ先輩が、頭をぽふぽふしてくれる。

「ちっちゃいのに」

 ひとこと、余計です、ガダ先輩。




「統率者は、ルゥイが、やじゃなけれは、ルゥイがいいと思います!」

 手を挙げてみたキーアに、皆がうむうむしてくれる。

「だな」

「うん!」

「さんせーい!」

 よかった。

 BLゲームでは、一番親密度が高い攻略対象が統率者になってくれるのだけれど、ガダ先輩になると、ガダ先輩ルートでない限り、魔物討伐に失敗する。

 ガダルートでない限り、統率者にしてはいけない、ガダ先輩。

 そして、もっとも魔物討伐が成功する確率が高いのは、ルゥイなのです!

 攻略サイトに書いてあったよ。
 ゲームをやりこみにやりこみまくった紀太の実感としても、ルゥイが引率してくれると魔物討伐は成功する。

 なのでここは、ルゥイ推し! ルゥイ一択です!

 秋のイベントじゃなくて春だし、何が起こるかわからないし、一番確率の高いルゥイでお願いしますよ、皆さん!


「いいと思う」

 レォの言葉に、ルゥイが振りかえる。

「いいのか」

 意外そうに聞くルゥイに、レォがうなずく。

「俺は将にあまり向いていない。キーアと模擬戦をして、実感した」

「そんなことないよ! 皆、レォに俺を近づけないようにって、必死で闘ってくれてたよ!」

 キーアの叫びに青磁の瞳が瞬いて、レォは首を振る。


「それは授業だから。キーアみたいな求心力はない」

 前に出たネィトが、ちょこんとひとさし指をたてる。


「きーちゃんと戦ったら負けるところで、闘わない。
 レォさまは、ちゃんと将をやれます。ゼァル伯父上だってやってるんだから!」

「…………今、とても自然に、けなされたか……?」

 皆に魔道具を渡していたゼァル将軍が、切ない目になってる。


「キーアとネィトの気もちはうれしいが、将にはルゥイの方が向いてる。いやじゃなければ、ルゥイが」

 レォの言葉に、ルゥイはレォの目をのぞきこむ。

「二言はない?」

「ああ」

 レォがうなずくのをしっかり確認したルゥイは、微笑んだ。


「ではロデア大公立学園学生は僕、ルゥイ・トゥナ・ロデアが統率する。6人であまりに固まって行軍すると効率がわるい。よって、騎士科、魔法科でひとりずつ組みになって、すぐに助けにゆける距離で探索を行うこととする」

 レォが、とてつもなく厭な予感を感じたように、涼やかなかんばせを歪めて、ルゥイがはちみつのように笑う。


「僕とキーア、ネィトとレォ、マェラとガダ先輩で組になるのが最も効率がよいと思う。なお、緊急事態につき異議は受けつけない。以上だ」

「く──!」

 とっても悔しそうなレォの隣で、ネィトがぷっくりふくれてる。

 かわいい。






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