【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ

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ゼァル

伴侶(予定)

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 伴侶(予定)のキーアのお仕事は、最愛のゼァルが今までしたくても、できなかったことをさせてあげること、ゼァルをあまやかすことだ。

 ものすごく頭のいいゼァルは、スーパー執事ヨニからキピア家の現状、領地経営を学ぶと、すぐにヨニの補佐をしてくれるようになった。

「今日もゼァルさまは、大変がんばってくださいました」

 ヨニがにこにこして、ゼァルをほめる。

 ほめてのばすんだよ!


「キーア」

 ゼァルがキーアの前に、おっきな身体でちょこんと座る。


「よくがんばりました」

 鋼色の髪をなでなでして、ちいさな頭を抱きしめる。


「キピア家のために、ありがとう、ゼァル」
 
 熱い頬で笑ったら

「ごほうびは?」

 すねたみたいにとがる唇が、かわいい。


「なでなでは、いや?」

 首をかしげるのは、キーアのちょこっとした、いじわるだ。


「……キーア」

 ゼァルが、腕をのばしてくれる。


「……して」

 あまい声で、ねだってくれる。


 恥ずかしそうな頬が、すがる声が、求めてくれるあなたがほしくて、いじわるして、ごめんね。


「してあげる」

 熱い頬で笑って、口づける。


 ちゅ

 あまい音が響くたび

 あなたと唇を重ねるたび、あなたを想う気もちが、降りつもる。


「キーア」

 あなたが名を呼んでくれるたび

 抱きしめてくれるたび


 ちゅ

 口づけてくれるたび


 あなたへの愛が、あふれてく。







 ゼァルを犯罪者にしないために、キーアと寝室は別で、夜は一緒に眠れないから。

 トマとヨニとみーがうろうろする、キピア家のダイニングで、ゼァルといっしょにお昼寝です。


 抱きしめてくれるゼァルの腕のなかで、眠る。

 最愛にすっぽり包まれるのは、至福の時だ。


 こんなに密着しているのに、えちえちな空気がちっともないのは、ほんとうは、ちょっとしょんぼりなのだけれど。


「キーアおぼっちゃま、肌掛けをどうぞ」

「あまりお昼寝しすぎると、夜眠れなくなりますからね」

『きー、ねむねむ?』

 ヨニが、トマが、みーが、気軽に声をかけてくれる清らかさが、うれしかったりもするのです。



「ゼァルは、あの、俺としたい、とか……その……」

 たくましい腕に包まれたまま、分厚い胸に聞かせるみたいに、もごもごつぶやくキーアに、ゼァルは笑った。


「したいに決まってる。絶対だめだと思ってるから、自制してるだけだ」

「ほ、ほんとに?」

 あんまりにもいつもどおりなゼァルに、ちょっと疑いの目を向けてしまうキーアに、凛々しい喉が鳴る。


「伴侶になる日を、楽しみにしてて」

 ほんのり熱いゼァルの腕が、腰を抱いてくれる。

 ほんのり、うるんでしまう瞳で、キーアはゼァルを見あげる。


「……うん」


 ぎゅう

 抱きついたら


 ぎゅぅう

 抱きしめてくれる。


 はずかしくて、うれしくて、ちょっとだけ、こわい。



 ほんとうの伴侶になるまで、あと2年。


 はやく、はやくなりたいけれど、でも伴侶になってからの日々のほうが、きっと長くて。

 伴侶(予定)の日々は、あと2年で終わってしまう。


 そう思うと、ただぬくぬくと、やさしくゼァルと抱きしめあって、お昼寝できる伴侶(予定)な毎日が、とてもかけがえのないものとして、輝きはじめるのです。







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