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両親にあいさつにゆくのです
あいさつにゆくのです
しおりを挟む真面目な顔をしたトトに、ルティは両肩を両の手でつかまれた。
この真剣なまなざしは…………ちゅう……?
もしかして、ちゅうなの、トト──!
うっとりして目を閉じようとしたルティに、トトは告げる。
「俺、ルティのご両親に、ごあいさつしたい」
……………………。
「……え、あ、そう……?」
気のない返事をしちゃったのは仕方のないことだと納得してください。
「……いや、あいさつも大事かもしれないけど、伴侶(予定)とのちゅうだって……」
もごもごするルティの声が聞こえなかったらしい、トトは微笑んだ。
「『ルティの伴侶になりたいです』って、ちゃんと言いたいんだ」
──……っ!
「うわあん! トト、あいしてる──!」
ぎゅむぎゅむトトを抱っこしたルティは気づく。
「俺の両親、今、トロテ王国にいるよ。カティといっしょに」
庇護してもらうために、送りこんでしまったのでした。
「じゃあカティにも、ちゃんとあいさつするよ。『弟さんと伴侶になりたい』って」
いつもやさしい闇の瞳を真剣な色に染めて微笑んでくれるトトに、きゅんきゅんする──♡
「トト、だいすき」
はずかしく、うれしく、燃える頬で、トトを抱きしめる。
「あいしてる、ルティ」
抱っこしてくれたら、指先までしあわせが満ちてきて、うっとりしてしまうのです。
「……はやく、一刻もはやくトトと伴侶になりたい……! トト国では16歳で伴侶になれるようにしよう!」
ルティの懇願に、トトは首をかしげる。
「荒れ地を開墾するだけで国って認められるのかな? ドディア帝国の属国になるにしても、建国のこと、ちょっと勉強したいよね。法律もちゃんと作らなきゃだし、国としての制度をどうするかとか、民を呼びこまないととか、頑張ってたら18歳になっちゃうんじゃないかな」
……トトのほうが、オトナでした……
しょんぼりするルティを、トトが抱っこしてくれる。
「ルティが国をつくろうって言ってくれて、そんなことできるんだって、びっくりしたんだ」
ぴんくの髪に顔をうずめて、トトが笑う。
「ルティが隣にいてくれたら、何だってできる気がする。ルティのためなら、何にだって、なれる気がする」
微笑んでくれるトトの手をにぎる。
「俺も、いっしょだよ。
トトとなら、どんなことだって、できる。だから国をつくろうって思ったんだ。
どんなトトだって、かっこいーけど。俺がトトを国主にしてあげる!」
熱い頬で笑ったら、トトは首をふる。
「ルティが国主じゃなきゃ、やだ」
トトの言葉に、ぷっくりふくれたルティも、首をふる。
「『伴侶が国主です』って胸を張るのがいーの! トトは、俺の自慢なんだから!」
きゅうっとトトを抱きしめたら、赤い頬で笑ってくれる。
「ルティは、俺の自慢だよ」
ちゅ
あまいくちびるが、おでこに降る。
「一生、ルティについてく」
このうえなくしあわせそうに、笑ってくれるから。
トトの服のすそを引っ張った。
「ちゅうは、口にして」
耳まで真っ赤になったトトが、照れくさそうに笑う。
「目をとじて、ルティ」
そっと、そっと、目を閉じる。
やわらかなくちびるが、ルティのくちびるに、降ってくる。
────────────────
ずっと読んでくださって、ありがとうございます!
感謝のきもちでいっぱいなのですが、ちょっとさみしいお話をするので、苦手な方は飛ばしてください! というわけで、下げます!
ご感想をいただくのは、いつもとてもうれしいと思っていたのですが、ルティとカティのお話は、びっくりするくらいご批判をいただいて、このみは勿論あると思うのですが、皆を書くのが楽しかった気もちが『もうこのお話を書きたくない』になってしまいました。
感想欄を閉じたくなったのは、初めてです。感想を受け付けないボタンを3回? もっと? 本気で押しかけました(笑)
いつもおまけのお話を更新したりするのですが、それも、もういいやと、思ってしまったのです。
でも、いいねしてくださった方、エールを送ってくださった方、おやさしいご感想を送ってくださった方にとても勇気づけられました。
たくさんの方が、苦手だと、きらいだと仰っても、書いている人まで、大すきだった子たちを、ルティやトトまできらいになってしまうのは、違うと思ったのです。
お気に入りに入れてくださった方が0にならず(笑)ありがたくも、増えているということは、楽しんでくださっている方もいらっしゃるのかなと思って、楽しく思ってくださる方のために、おまけのお話を、お書きできたらいいなと思うようになりました!
おまけのお話、ちょこちょこ更新できたらなと思います!(笑)
アンチな感想は非承認、もしくは承認して通報(笑)で即行ブロックしそうな人には言えないことも(笑)気軽に言ってくださるのだと思うと、ありがたいなと思います! が、反論して喧嘩みたいになっちゃうのもいやだなとか、返信したくないな、という気もちのときは、返信しないことがあります、あと、あんまりな場合はブロック(感想が自動的に非承認になるだけで、ブロックされています、とかの通知はなく、お話は読めるみたいです)することがあります、ごめんなさい! というスタンスで、あまりめげずに、お話を書いてゆけたらいいなと思います!
カティとルティのお話は、メンタルも鍛えられて(笑)とってもよい機会になりました!
ずっと読んでくださったあなたさま、応援してくださった方には、感謝のきもちでいっぱいです。
心から、ありがとうございます!
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