【完結】残念な悪役の元王子に転生したので、何とかざまぁを回避したい!

  *  ゆるゆ

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春のイベント来ました!

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「……リユィ、ありがとうね」

 ちいさな声が降ってきて、俺はアルフォリアを見あげる。


「アルフォリアは、もう充分過ぎるくらい、がんばってる」

 ちいさな声で応えたら、アルフォリアは目を伏せた。


「…………転生者、か」

 さみしげなアルフォリアを断ち切るように、テチが手を挙げる。


「みんな5点以上あったから、お疲れさまの遠足に行けるぞ──!
 明日は、さくら公園でお花見だ。
 各自、弁当をつくって持ってゆくように!」

 テチの元気な声に、歓声があがる。


「おお! お弁当!」

 前世の俺の料理は『カップラーメンにお湯を注ぐ』だったけど、ディゼのためなら、がんばるよ!





 3年の魔力最高クラスの教室へと駆けたら、周りがざわざわした。

「ちっちゃいの来た!」

「ちっちゃい言うな!」

 ぷりぷり拳を掲げると、周りの皆が顔を覆ってうずくまる。


「黒リボンが可愛いとか、目がおかしくなった!」

「お大事に!」

 ??
 なんか間違った?

 首を傾げつつ、メファを見つけた俺は、手を挙げた。


「おべんと作るので、今日のバイトはお休みさせてください!」

 ちっちゃな手をふりふりしたら、メファの瞳が輝いた。


「僕に!?」

 ♡の目のメファに、全力でごめんなさい……!!


「え、えとえとえと……じ、自分と……あの……」


「………………あ──…………」

 はちみつの目が刺さる。

 痛い。


「ごごごごめんなさい!
 あのあの、メファにもつくる?」

「うん♡♡♡」

 こくこく頷いてくれるメファがかわいー!


「じゃあ、俺、がんばるね!」

「楽しみにしてるね!」

 はちみつの髪をふわふわ揺らして、紅い頬ではにかむように笑ってくれるメファは、すきすきメーターMax、溺愛ルートのスチルにそっくりな気がした。

 3次元の方が、輝きましまし!!


 ???

 俺、最下位だったのに、すきすきメーター爆下がりしてない?


 もしかして、主人公のレイトも最下位だったから、369位じゃなくなって、爆下がりが発生しなかった、のかも??

 メファ、めちゃくちゃかわいー♡ し、ディゼのすきすきメーター爆下がりは泣いちゃうので、喜んでおこう!







 スキップでおんぼろ寮に帰った俺は、寮の裏で布団をぱんぱんしている寮監のゾイを見つけた。

 ぱんぱんすると、埃が余計に立つんだよ!
 掃除機で吸うと、ダニが獲れるらしいよ。

 と思ったけど、この世界に掃除機ない。

 しかも、布団をぱんぱんしているゾイの上腕二頭筋がもりもり輝いてるので、ゾイもめちゃくちゃ楽しそうなので、そっとしておこう!


「おう、リユィ、おかえり!」

 笑ってくれるゾイに、ちょっと泣きそうになる。


『おかえり』

 誰も言ってくれない、ひとりぽっちの前世の夜が、胸に迫る。


「た、ただいま」

 言えるよろこびを、噛み締める。


 ちょっとうるうるの目で、ふにゃりと笑ったら、ゾイは掌に顔をうずめた。


 この仕草、流行ってるなあ!








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