86 / 142
つくるー?
しおりを挟む「ゾイ、俺、お弁当つくりたい!」
手を挙げた俺を見おろしたゾイが、凛々しい眉を吊りあげる。
「学園の遠足に、部外者を連れて行ってはならん!」
ぷくりとふくれる俺に、ゾイはいかめしく首を振った。
「そんなかわいー顔してもだめだ!!」
「おべんとーつくる!」
ちっちゃな拳を掲げる俺に、ゾイはため息をついた。
「だめって言っても、連れてく気満々だろう」
「だって、お花見だよ!
一緒に見る!」
むん、とちっちゃな胸を張る俺に、ゾイは長々ため息をついた。
「じゃあ、弁当作っていいから、夜に寮を激しく揺らすのを止めてくれ。
毎晩地震だぞ!?
落ち着いて寝られん!」
叫ばれた俺は、しおしお悄気る。
「ご、ごめん。かあちゃんに聞いてみる」
困った時の、かあちゃん頼み!
管轄外ってディゼは聞いたみたいだけど、えろ魔法特化な淫魔仲間が、何か知ってるかも!
親父も知ってるかもだしな。
かあちゃんに聞いたら、親父ついてくるからな。
改善に全力を尽くしますな俺の目を覗き込んだゾイは、うむうむ頷いた。
「よし! 尽力するように!
では、調理場の使用を許可する。
材料は自分で買ってくること!」
「え──!」
今から買いに行ってたら、夜になっちゃう!
夜はディーといちゃいちゃして、えっちする時間だよ♡
早起きしてお弁当つくるとか、無理だから。
朝は俺、生まれたての小鹿だから!
夕方の今つくって、氷魔法で保存したい。
魔力ちょっぴしな俺でも、おべんと保存くらいはできるはずだ!
から、今食材が必要です!
「食材分けてくれないの?」
「だめ!
制服などは支給するが、お金のことは、ちゃんとする!」
そうでした!
「お金払うので恵んでください!」
ちょっと眉をあげたゾイは、頷いた。
「輸送費として、1割上乗せした金額でいいなら」
「おお! ゾイ、やさしー!
お願いします!」
頭をさげて、お財布をにぎる。
メファがちゃんと日払いでバイト料を恵んでくれるので、お金あるよ!
ゾイが分けてくれたのは、フランスパンみたいなパンと、レタスとハムとチーズだった。
俺の料理スキルを理解してるとしか思えない食材の選択!
切ってサンドウィッチ作るほうが、絶対ましなのができるのは解ってる!
でも!
「ちゃんとお弁当がいい。
ごはんと、卵焼きと、ウインナーと入ってるの!」
眉をあげたゾイは、米と卵とウインナーとほうれん草を恵んでくれる。
全部あるんだよ、さすが日本のBLゲーム!
「野菜も食え」
「はい! ありがとう、ゾイ!」
むきむきの筋肉の手を握ったら、ちょっと赤くなったゾイは頷いた。
「…………しかし、こんなちっさい尻で、寮全体を揺らすえろ…………」
「か、考えたらだめ────!!」
あわあわした俺が手を振って、赤くなったままのゾイは頷いた。
「火事を起こさないよう、火にはよく気をつけるんだぞ!」
「はい!」
食材を受け取った俺は、腕まくりしてみた!
目の前には、鍋と食材が鎮座した。
うん。
どうやって、米を炊いたらいいのかな??
554
あなたにおすすめの小説
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼2025年9月17日(水)より投稿再開
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
【完結】悪役に転生したので、皇太子を推して生き延びる
ざっしゅ
BL
気づけば、男の婚約者がいる悪役として転生してしまったソウタ。
この小説は、主人公である皇太子ルースが、悪役たちの陰謀によって記憶を失い、最終的に復讐を遂げるという残酷な物語だった。ソウタは、自分の命を守るため、原作の悪役としての行動を改め、記憶を失ったルースを友人として大切にする。
ソウタの献身的な行動は周囲に「ルースへの深い愛」だと噂され、ルース自身もその噂に満更でもない様子を見せ始める。
妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。
藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。
妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、
彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。
だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、
なぜかアラン本人に興味を持ち始める。
「君は、なぜそこまで必死なんだ?」
「妹のためです!」
……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。
妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。
ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。
そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。
断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。
誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
〈完結〉【書籍化・取り下げ予定】「他に愛するひとがいる」と言った旦那様が溺愛してくるのですが、そういうのは不要です
ごろごろみかん。
恋愛
「私には、他に愛するひとがいます」
「では、契約結婚といたしましょう」
そうして今の夫と結婚したシドローネ。
夫は、シドローネより四つも年下の若き騎士だ。
彼には愛するひとがいる。
それを理解した上で政略結婚を結んだはずだったのだが、だんだん夫の様子が変わり始めて……?
悪役令息(Ω)に転生したので、破滅を避けてスローライフを目指します。だけどなぜか最強騎士団長(α)の運命の番に認定され、溺愛ルートに突入!
水凪しおん
BL
貧乏男爵家の三男リヒトには秘密があった。
それは、自分が乙女ゲームの「悪役令息」であり、現代日本から転生してきたという記憶だ。
家は没落寸前、自身の立場は断罪エンドへまっしぐら。
そんな破滅フラグを回避するため、前世の知識を活かして領地改革に奮闘するリヒトだったが、彼が生まれ持った「Ω」という性は、否応なく運命の渦へと彼を巻き込んでいく。
ある夜会で出会ったのは、氷のように冷徹で、王国最強と謳われる騎士団長のカイ。
誰もが恐れるαの彼に、なぜかリヒトは興味を持たれてしまう。
「関わってはいけない」――そう思えば思うほど、抗いがたいフェロモンと、カイの不器用な優しさがリヒトの心を揺さぶる。
これは、運命に翻弄される悪役令息が、最強騎士団長の激重な愛に包まれ、やがて国をも動かす存在へと成り上がっていく、甘くて刺激的な溺愛ラブストーリー。
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる