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イベントだよ!
しおりを挟む遠足だよ────!!
「わあぁあい!」
はしゃいで跳ねたら、お弁当の入ったリュックも一緒に揺れる。
ゾイもディゼも、目を丸くして笑った。
「遠足でそんなに喜ぶ子を、初めて見たぞ!」
ゾイに叫ばれた。
え、うそ。
遠足だよ?
お弁当持って、遠足だよ?
めちゃくちゃ上がらない??
首を傾げる俺に、ディゼも、お腹を抱えて笑ってる。
うぷぷぷ肩を揺らしたゾイは、筋肉を盛りあげて見送ってくれた。
「気をつけてな!」
「いってきま──す!」
「いってこい!」
笑って、いってきますを言える相手がいる。
送り出してくれる人がいる。
ひとりぽっちの前世の記憶がある俺は、どれだけありがたいことなのか、知ってる。
ぶんぶん手を振ったら、お弁当の入ったリュックが、カタカタ揺れる。
ゾイが笑って、手を挙げてくれた。
手を繋いだディゼと一緒に、集合場所の校庭に向かう。
点呼をしていた教師のテチが仰け反って、遠い目になった。
「リユィ。おやつに、恋人は入らないぞ!」
「どっちかというと、リユィがおやつ」
ディゼの突っ込みに、魔力最低クラスの皆が真っ赤になった。
「うわぁああ!
リユィの恋人が、半端ない──!!」
「うそ、ショック!!
リユィ、狙ってたのに!」
「あれに勝てるのいるの?」
「無理すぎる!!」
皆の絶望の顔に、ふふんとディゼが胸を張って、トエはお腹を抱えて笑った。
角と翼は魔法で隠れてるから、今日のディーは超絶かっこいーお兄さんだよ!
「わぁああ──!
ディゼさんだ──♡ はじめまして──! レイトです──♡♡」
♡を振り撒きながら駆けてくるぴんくの髪の主人公レイトを見た瞬間、ディゼの姿が掻き消える。
「……え、うそ…………何、今の。
出会いイベント、攻略対象からスキップされるとか、あ、ありえないんだけど────!!」
ぴんくの髪が天を衝いて、トエは肩を揺らして笑った。
「ららん、らん、らん──♪」
『愛のラビリンス』の春遠足のBGMを歌いながら歩いてたら、レイトも向こうで歌ってた。
トエが瓶底眼鏡を揺らして笑ってる。
キォタナ魔法学園の春のご褒美イベント、春遠足は、全学年生徒+イォもなぜか護衛として参加してくれて、ディゼは俺のお守りで来てくれるので、全攻略キャラが揃う。
お弁当をつくるミニゲームがあって、上手に作れたのを渡すとすきすきメーター爆上がり、下手に作ったのを渡すと、すきすきメーターが下がるという、え、ほんとにご褒美? と首を傾げたくなるイベントだった。
…………ディゼのすきすきメーターが下がりそうで、今から恐ろしいよ!
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