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輝く眼鏡
しおりを挟む「さくら公園まで、結構距離があるからな、皆、離れるなよ!
きちんと並んで歩く! 広がらない!
他の方のために、道の半分は必ず空けるように!」
「は──い!」
白い歯きらんなテチの指導に、皆でいい子のお返事をして歩く。
春の風が、皆の髪をやさしく揺らした。
ぽかぽかのあたたかな陽射しが、指を照らす。
遠足日和だ!
「遠足、楽しいね!」
隣でリュックを背負ったメファが跳ねて、俺も一緒に跳ねる。
「ね!」
「……な、んだこの、ちっちゃかわいーのは……!!」
掌に顔をうずめたイォの尻尾がぱたぱたして、
「ちっちゃい言うな!」
ぷりぷり拳を掲げる俺に、アルフォリアは遠い目になる。
「……破壊力がすごい……♡」
「メファの笑顔、初めて見た!
映像の魔道具、誰か持ってないか!」
美少年大すきなキーザの目の色が変わって、
「ちいさきものは、皆尊い」
ジェミに拝まれた。
「ちいさきもの言うな!」
ぷんぷんする俺を、後ろからだっこする、あったかい腕が降ってくる。
「尊い」
頷くディゼの手を、つかまえる。
「わあい! 一緒に遠足!」
すかさず手を繋いだら、隣のメファがちょっとふくれて、アルフォリアは目を伏せた。
ご、ごめんなさい……!
凛々しい眉をあげたディゼが、ちいさく笑って、俺の手を握り返してくれる。
絡まる指が、あったかい。
えへへへへ♡
きゅうっとディゼの手を握って、とろけた顔で笑ったら、ディゼもトエも、掌に顔をうずめた。
「なんだこのかわいー生き物は……!」
あちこちで囁かれた気がしたけど、気のせいかな?
「ディー、さっき、どうしたの?」
ぎゅう、と繋がる手を握ったら、ぎゅう、とディゼが握り返してくれる。
「なんか、すげーやなの来たと思って」
………………。
皆に愛される主人公が、すげーやなの来たと思われて、出会いイベントさえスキップされちゃうのは、おかしくない……?
あ、そっか、ディゼはラスボス扱いで、王子のアルフォリア、宰相の息子キーザ、騎士団長の息子ジェミ、隠しキャラのエルフの王子メファ、ほんとは公爵令息な獣人イォ、5人を攻略して初めて攻略可能になるキャラだ。
今の感じだとレイトはまだ1巡目なので、ディゼとの出会いイベントは起こらない、ということなんだと思う!
うんうん頷く俺の隣で、トエが微笑む。
「気をつけてね」
「…………え?」
瓶底眼鏡が、輝いた。
「いじわるメーターMax。
3人のすきすきメーターMax。
次に来るのは?」
…………………………
やっぱり、トエ、転生者だ!
……え、いや、今なんか、重要な助言が……!
………………
いじわるメーターMax。
すきすきメーター、3人でMax。
起こるイベントは…………たしか…………
………………俺の、モブレだ──────!!!
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