【完結】残念な悪役の元王子に転生したので、何とかざまぁを回避したい!

  *  ゆるゆ

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輝く眼鏡

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「さくら公園まで、結構距離があるからな、皆、離れるなよ!
 きちんと並んで歩く! 広がらない!
 他の方のために、道の半分は必ず空けるように!」

「は──い!」

 白い歯きらんなテチの指導に、皆でいい子のお返事をして歩く。

 春の風が、皆の髪をやさしく揺らした。
 ぽかぽかのあたたかな陽射しが、指を照らす。

 遠足日和だ!


「遠足、楽しいね!」

 隣でリュックを背負ったメファが跳ねて、俺も一緒に跳ねる。

「ね!」

「……な、んだこの、ちっちゃかわいーのは……!!」

 掌に顔をうずめたイォの尻尾がぱたぱたして、

「ちっちゃい言うな!」

 ぷりぷり拳を掲げる俺に、アルフォリアは遠い目になる。


「……破壊力がすごい……♡」

「メファの笑顔、初めて見た!
 映像の魔道具、誰か持ってないか!」

 美少年大すきなキーザの目の色が変わって、

「ちいさきものは、皆尊い」

 ジェミに拝まれた。


「ちいさきもの言うな!」

 ぷんぷんする俺を、後ろからだっこする、あったかい腕が降ってくる。


「尊い」

 頷くディゼの手を、つかまえる。


「わあい! 一緒に遠足!」

 すかさず手を繋いだら、隣のメファがちょっとふくれて、アルフォリアは目を伏せた。

 ご、ごめんなさい……!


 凛々しい眉をあげたディゼが、ちいさく笑って、俺の手を握り返してくれる。


 絡まる指が、あったかい。

 えへへへへ♡

 きゅうっとディゼの手を握って、とろけた顔で笑ったら、ディゼもトエも、掌に顔をうずめた。


「なんだこのかわいー生き物は……!」

 あちこちで囁かれた気がしたけど、気のせいかな?


「ディー、さっき、どうしたの?」

 ぎゅう、と繋がる手を握ったら、ぎゅう、とディゼが握り返してくれる。


「なんか、すげーやなの来たと思って」


 ………………。

 皆に愛される主人公が、すげーやなの来たと思われて、出会いイベントさえスキップされちゃうのは、おかしくない……?

 あ、そっか、ディゼはラスボス扱いで、王子のアルフォリア、宰相の息子キーザ、騎士団長の息子ジェミ、隠しキャラのエルフの王子メファ、ほんとは公爵令息な獣人イォ、5人を攻略して初めて攻略可能になるキャラだ。

 今の感じだとレイトはまだ1巡目なので、ディゼとの出会いイベントは起こらない、ということなんだと思う!


 うんうん頷く俺の隣で、トエが微笑む。


「気をつけてね」


「…………え?」


 瓶底眼鏡が、輝いた。


「いじわるメーターMax。
 3人のすきすきメーターMax。
 次に来るのは?」


 …………………………

 やっぱり、トエ、転生者だ!

 ……え、いや、今なんか、重要な助言が……!


 ………………

 いじわるメーターMax。
 すきすきメーター、3人でMax。


 起こるイベントは…………たしか…………



 ………………俺の、モブレだ──────!!!









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