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おまけのお話 キーザの初恋
キーザの初恋
しおりを挟む初めて父に連れられて行った王宮は金々ギラギラで、どこからこの金は出て来たんだろうと思うと、切なくなった。
謁見した王は、頷くだけの首振り人形みたいで、隣にいる宰相の父が僕のことや皆のことを紹介していた。
王を見あげるちいさな王子は、さみしげな目をしてた。
3歳にしては、僕は考える子どもだと思う。
僕と一緒に王に謁見したのは、榛の髪に藍の瞳の、めちゃくちゃ可愛い子だった。
ちょっと緊張した謁見が終わると、その子と一緒に控室に通される。
控室も、まあまあ金々ギラギラだったが、僕の目はちいさな子に釘付けだった。
わくわくの目で見あげた父が、僕の頭を撫でて笑ってくれる。
「騎士団長の息子さんだ。仲良くしてもらいなさい」
お父さんの騎士団長の逞しい太ももの後ろに、ちょこんと隠れた、さらさらの榛の髪が、ぴょこりと覗いた。
ふわふわの白いシャツとリボンに彩られた大きな藍の瞳が、不安そうに揺れる。
めちゃくちゃ、可愛かった。
鼓動が、跳ねる。
僕の理想を詰め込んだような少年が、僕を見た。
「かわいー!」
跳びあがった僕に、ちいさな子も一緒に跳びあがった。
ますますお父さんの足を握り締めて、後ろに隠れてしまう子の、ちいさな顔を覗き込む。
「はじめまして。ぼく、キーザ。
きみは?」
薄紅の唇が、もごもご動いた。
藍の瞳が彷徨って、榛のつむじが、うつむいた。
「……じみ」
「ジミくん?」
騎士団長の大きな手が、榛の髪を、わしゃわしゃ撫でる。
「ジェミって、まだ上手く発音できないんだ。
ちょっと引っ込み思案なんだが、キーザくん、親同士が親友のよしみで、ジェミと仲良くしてやって欲しい」
やさしく微笑む騎士団長は、いつもどおり、めちゃくちゃかっこよかった。
その逞しい太ももに、ちっちゃいジェミをくっつけていても尚、輝くようにかっこよかった。
こんなにかわいいお人形みたいなジェミと仲良くしろって言ってくれるなんて、最高だ!
こくこく頷いた僕は、両手を差し出した。
「僕となかよくしてね、ジェミくん!」
満面の笑顔で差し出した手は、ジェミに握られることはなかった。
お父さんの後ろにくっついたジェミは、ぎゅう、とお父さんの太ももを握ってふるえてた。
…………僕、愛想よくて、すぐともだちができるって、言われてたけど。
そうでも、ないみたい。
手を下ろした僕は、しょんぼりする。
「す、すまない、キーザくん、ジェミはちょっと人見知りで。
まだ早かったかな」
騎士団長の大きなごつごつの掌の下のジェミは、泣きだしそうだ。
ふわふわの榛の髪の向こうで、大きな藍の瞳が、ゆらゆらしてる。
はぁああう!
めちゃくちゃかわい────!!
初対面はうまくいかなかったけど、時間はたっぷりあるから、きっと、きみを僕のものにするから、待っててね♡♡♡♡♡
3歳の僕は、拳を握った。
憶えてる。
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