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おまけのお話
う──み──!
しおりを挟むディゼを引っ張って、水着屋さんにやって来ました!
やっぱり見てもらうのが一番だからね。
俺が変態じゃないってことを証明しないとだからね!
スポーツショップで大きく取られた水着コーナーには色とりどりの水着が並んでいる。
競泳用ビキニからサーフパンツまで、めちゃくちゃ派手で溺れたら助けてくれそうなのから海に溶け込みそうな水着まで様々だ。
「ほら、これが水着だよ!」
「下着だろう──!」
激おこ継続中だよ。おかしい。
「ディーは、この白いふりるの水着がいいと思う!」
『誰が着るかぁアァあ──!』
叫んで水着を叩きつけそうになったっぽいディーが、お店の人の怯えた視線に止まり、手元の水着と俺を見比べる。
「……これ、乳首、丸見えじゃね?」
「男は乳首を見せるんだよ!」
「はァア──!?」
ディーが更に激おこに!
「あ、あの、お、お客様、こちらの水着でしたら、乳首は見えません!」
果敢に水着を持ってきてくれた店員さんの心臓が強い!
「……あー、うん、これなら、いんじゃね?」
激おこ、おさまった!
しかし、差し出された水着に、俺は果てしなく引き攣った。
「……あの、ディー、これ、ふりっふりのワンピースの水着で、男が着るにはちょっと……」
「こら! 差別する気か!」
「うわあん! ごめんなさい! え、でも、俺が着るの!? そ、それは恥ずかしいっていうか、いや、ふりる大すきな男の人はかわいーと思うよ! で、でも俺が着るのは、え、えぇえぇエエ──!?」
猛抗議する俺をよそに、ディーがレジで財布を出してる。
なぜ!?
「お買い上げ、ありがとうございますー! お客様には、こちらの水着が大変よくお似合いになられるかと!」
店員さんがディーに差し出したのは、黒ビキニだった。
ちっちゃ!
こ、こんなにぴっちりしたビキニ──!
み、見たすぎる──!
涎を垂らしそうな俺に、ディーがぼそりと告げる。
「……はみ出る」
真っ赤になった店員さんが、轟沈してた。
大変、大変、誠に遺憾ながら、ディーのマグナムはこのお店のビキニでは無理みたい。
「伸縮性とかいう問題じゃない」
そうとうだめみたいだよ!
「見た過ぎる──!」
ジャストフィットな腰に抱きついたら、べりべり引き剥がされた。
ひどい。
「反応するから!」
ぴょこんと跳びあがった俺は、ぎゅうぎゅうディーの腰に抱きついた。
「はやくはやくはやくはやくはやく、寮に帰ろう!」
「あ、あの、お客様、水着は……」
このお店の店員さん、勇者過ぎる!
「あー、これでいーや」
ぞんざいにディーが選んだのは、黒のサーフパンツだった。
黒い短パンとの違いが解らない──!
「えェえぇエェエえぇえ──!」
絶望を全身で表す俺の頭を、ディーのおっきい掌がなでなでしてくれる。
「俺のえろいかっこは、リユィにしか見せねえから」
「はぅあ──!」
燃える頬でディーの腰に縋る俺の後ろで、定員さんが轟沈してた。
夏です! 海です! 水着です!
「わぁああい! 皆で、う──み──!」
白いふりるなワンピの水着を着ていることは頭の彼方にうっちゃった俺は、燃える砂を白いビーチサンダルで踏みしめ、燃える熱気のなかを青い海へと駆けてゆこうとしたら、がっしりディーに腰を抱かれた。
「え?」
あ、あのあの、う、うれしいけど、海だし、皆いるし、え?
びっくりして止まった俺を見おろすディーの顔が、激おこだ。
「乳首、透けてる」
「……は!?!??」
「帰るぞ、リユィ!!」
「えぇエェエぇえぇゑえ──!?」
仰け反る俺の腰を抱きかかえたディーの闇の翼が広がった。
「……うわー」
折角一緒に来てくれた皆が、ドン引いてた。
きらきらの青い海が、眼下に遠ざかってゆく──!
……今年の皆で一緒の夏の海は、失敗したみたいです……
ら、来年は絶対、皆と海で遊ぶんだからぁア──!
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