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セィムとシァルのしあわせ家族計画
かわいすぎる
今まで何のご縁もなくて、たまりにたまりにたまっていたからなのか、セィムは34歳と思えないほど、というより、ふつうの人には無理じゃないか? と思うほど、シァルを可愛がることができていると思う。
勿論ちゃんと出勤する。
遅刻も早退もしない。欠勤はときどきある。シァルが可愛すぎるから。
シァルのことを思いだしにやけることが増えたくらいで、セィムの勤務態度は16年勤続のたまものなのか、真面目そのものだ。たぶん。
「定時退勤に命かけてるから仕事は前より速いくらいだし、セィム、最近ほんとに、つやっつやだなあ」
ぽかんとする同期な上司ロイに肩を叩かれたので、思わず口をすべらせた。
「毎晩シァルが可愛すぎて」
…………………………。
頭のなかがシァルでいっぱいで、失敗した──!
ロイの口が縦長に開かれる。
両手を両頬に添えるほど、衝撃らしい。
「え、毎日してるの!? ふつう死ぬだろ──!」
絶叫された。
……そうなの……?
「さっすがシァルさま、救国の英傑は、そっちも超絶絶倫だな……待て、セィム、なんでそんなに、つやっつやなんだ! なんでげっそりしないんだよ、身体、だいじょうぶか! 腰、死んでるだろう! いい治癒院を教えてやるぞ!」
めちゃくちゃ心配された。
ロイがセィムを心配してくれるあまり大声になってしまったため、国務院に響き渡ったらしい。
「え、毎日……!」
「すご……!」
「さ、すがシァルさま……!」
「う、うらやましい……!」
国務院の皆が、鼻血を噴いてた。
迎えにきてくれたシァルに、羨望の視線が刺さってた。
ごめん、シァル。
皆の反応を見るに、セィムとシァルは相性がめちゃくちゃいいらしい。
ちょっと自信出た。
ありがとう、皆。
ごめん、シァル。
というわけで、いつものように市場でなかよく食材を買い、ふたりで夕飯をつくり、ふたりで食べて、最近はいっしょにお風呂に入るようになったよ!
もちろん、お風呂で、とろけるようにあまい夜がはじまるときもあるし、寝台でゆっくりのときもある。
シァルのつやつや、さらさらの髪を洗ってあげるのが、最近のセィムのお気に入りだ。
「シァル、髪、きれい」
洗い髪に口づけたら、ふうわりシァルが朱くなる。
「……眼鏡のないセィムも、かっこいー♡」
赤い頬で見あげてくれて、ちゅうをねだるみたいに唇をとがらせて目を閉じるとか、かわいいか──!
ちゅ
もちろん、ちゅうした。
空の瞳をほそめて、うれしそうに笑うシァルが、とびきりかわいい……!
うん、最近、いやずっと、シァルが可愛すぎてつらい。
このままでは国務院でも『本日のご用件を伺います』じゃなくて『シァルかわいー♡』が口から出ちゃうよ!
心配なセィムだけれど、シァルを毎日毎日可愛がっていたら、だいぶ筋力がついてきた。
『ふぬぬぬぬぬぬ!』全筋肉をうならせ、お風呂から寝台まで(とても近い)シァルをおひめさま抱っこできるようになった!
よくがんばった、セィム!
寝台まで、あとちょっとだ……! ふんばれ、筋肉! うなれ、腕力!
「……セィム……♡」
シァルがうっとり見あげてくれたら、ちょっともりっとしてきた腕と腹も報われる。うれしい。
「今日もいっぱい可愛がってあげる」
とろけて笑ったら、朱い耳で、シァルがぽそぽそささやいた。
「……あ、あの……セィムの赤ちゃん、ほしぃ……」
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