【完結】国で一番かっこいい騎士の伴侶に選ばれてしまいました

  *  ゆるゆ

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いい子

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「セィム!」

 国でいちばんの輝かしいかんばせが、やわらかに紅く染まり、うれしそうに手を振ってくれるシァルが、夕陽にとけるようにきらめいた。

 国務院まで迎えにきてくれるシァルに、セィムは毎日、息をのむ。


 ──絶対、夢だと思ってた。

 今は、夢だと、絶対いやだ。


「もうちょっとで終わるから、いい子で待ってて」

 ふわふわの月の髪をなでたセィムの指が、シァルの頬をすべる。

 それだけで真っ赤になったシァルが、こくんとうなずいた。


「……いい子にしてたら、ごほうびは……?」

 そうっとセィムを見あげるような上目遣いのシァルが、きょうあくに可愛い──!

 くらくらしながら、セィムは微笑む。


「シァルのお願い、なんでもひとつ、聞いてあげる」

 ぴょこんと、ちいさく跳ねたシァルが、赤い頬でうなずいた。

「いい子になる!」

 かわいすぎるシァルの頭をなでなでした。

 いつもシァルはいい子だから、ごほうびをあげたいなら、最初に言うに限る。


「……いや、うん、セィム、公衆の面前で救国の英傑と堂々といちゃいちゃできる鋼鉄の心の臓には感心するが、もうちょっと人目をはばかったほうが……」

 同期で部長のロイが、もごもごしてる。


「伴侶ですので」

 ふんとセィムは鼻を鳴らした。


 堂々と、シァルをかわいがる権利と責任が、俺にはある──!


 シァルには『油断すると鼻血を噴いちゃうくらい、とてつもなく可愛い』という自覚がなく、『皆の前で可愛がってもらえないのは、自分が可愛くないから』『きもちわるいから』というありえない解釈をしようとするので、公衆の面前で、積極的に可愛がらなくてはならないのです!


 伴侶になったセィムの、うれしすぎる責任と権利に、顔はいつも、とろけてる。
 そろそろ本気で溶解すると思う。眼鏡を掛けられなくなりそうで心配だ。いや、真剣に。


 リ──ン ゴ──ン

 国務院、終業の鐘が鳴る。

 待合席で、カィザ選王国の民に拝まれながら、いい子で座っていたシァルが、ぴょこんと跳びあがる。

 しゃっと光速で、退勤を魔道具で記録したセィムは、やさしくシァルの腰に腕をまわした。


「待たせたね。帰ろうか、シァル」

 ここは伴侶っぽく、かっこよく!
 がんばると、シァルがきゅんきゅん♡ してくれるらしい。

 ……ほんとかなあ……

 いつもあんまり自信のないセィムなのだけれど、シァルがうっとり上気した頬で見つめてくれると、微塵に叩き潰されていたセィムの自信が、すこしずつ、すこしずつ、よみがえってゆく。


「はい、セィム」

 きゅっと抱きついてくるシァルが可愛くてたまらないので、ふわふわの月の髪を、ちょっと背伸びして、なでなでする。

「いい子いい子」

 ちゅ

 まなじりに口づけたら

「ぅれしい」

 ふうわり頬を朱くして笑うシァルが、とびきり可愛い。



「きゃ──あ──あ──!」

 国務院で叫喚が沸き起こるのは、毎日だ。

 こんなことでひるんでいては、シァルを可愛がれないので!

 むんと胸を張ったセィムは、シァルの腰をやさしく抱いてうながして、国務院を出た。
 外に出ると、腰を抱いていると歩きにくいので、手をつなぐ。

 指をからめる、恋人つなぎだ。


「……セィム、だいすき」

 ぎゅ、と指をからめてにぎってくれるシァルが、かわいすぎる……!

「だいすきだよ、シァル」

 つながる指を、きゅ、と握って、国務院をシァルといっしょに出たら、すぐ近くに露店がたくさん広がる夕市でお買い物だ。


「今日の夜は、何を食べたい?」

 聞いたセィムに、シァルは空の瞳を輝かせた。


「この間買った、鳥まん!」

「ああ、あれ。5000カイの」

 味はちっともわからなかったが、価格と触感と食材は何となく覚えている。

 たしか小麦の皮に、鳥のあんが包んであって、蒸してた?
 皮は、もっちり、ふわっと、あんは、じゅわっと肉汁があふれてた、とおもう。

 シァルが近すぎて、どきどきしすぎて、味がしなかった。よくおぼえてる。

 今もどきどきするし、たまに味覚が吹っ飛ぶけれど、いっしょにご飯を楽しめるようになったことが、とてもうれしい。


「鳥まんを作るのか。なら、細かくひいた小麦の粉と、鳥と……たまねぎと、茸かな、あと野菜は何にしよう?」

「……うぅ、やさい……」

 こんなにかっこいーシァルが、野菜が苦手だなんて、ちっちゃな子どもみたいで可愛すぎて、もだもだする。


「シァルは、いい子?」

 ぴょこんと跳んだシァルが、こくりとうなずいた。


「た、たべ、る……!」

 ちょっと涙目なシァルが、かわいすぎる──!



 こんなに愛らしいシァルを前に、今日もセィムの鼻の血管は踏ん張っています。

 えらい!

 自分で自分をほめられるようになったよ、シァル!










────────────────

 ずっと読んでくださって、ありがとうございます!

 美香月さまのリクエストで、仕事(お迎え)後のお買い物デート、日常生活の様子です。

 いちゃらぶあまあまな(笑)セィムとシァルのいつもの日を楽しんでくださったら、とてもうれしいです。

 今日のインスタは、ねこみみシァル動画ですー!(笑)@siro0088

 インスタのアカウントをお持ちじゃない方のために、どなたでも見ることができるyoutubeも登録してみようと思うのですが(笑)そんなとこにまで進出するのかとびっくりですが(笑)まさかのyoutuber?(笑)でもせっかく作ったので(笑)気軽に見ていただけるようになったらいいなと思っています。


  シァルとセィムのお話をずっと読んでくださって、ほんとうにありがとうございます!





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