おひめさまな俺、帝王に溺愛される

  *  ゆるゆ

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 ……ほ、ほんとに、陛下に逢うの……?

 最小国レィゼの俺が……?

 ばくばく鳴る心の臓と流れ落ちる冷や汗で、冷たくなった指先を、ラザの手につかまれる。

「兄貴に、紹介する。朝餉を、ともに喰おうと連絡した」

「は、はい……!」


 ……あ、あさごはん……!

 へ、陛下、と……!?

 そ、そんなことある!?


「それほど緊張せずともよい」

「は、はい……!」

 右手と右足を一緒に出す俺に、ラザが笑う。

「たのしい。かわいい。こんな生きものも、いるんだな」

 ぽふぽふ、ラザの大きな手が俺の頭をなでてくれる。

 ………………。

 おひめさまとか、男ですとかの前に、生きものって言われた……!

 人間の範囲から、はみ出てる気がする、俺──!


「世界には、いろんな生き物がいますから」

 微笑んだヤヤが、うむうむしてる。

 ヤヤさんにも、生きもの枠な俺──!

 …………え、やばくない……?

 ──いや、もしかして、これは、ひめ枠じゃなくて『生きもの枠で、気に入ってくれた』ということなのかな……?

 もしかして、それって、最高なんじゃない!?

 俺と国が飛ばないために──!


「あ、あの、すこしでもお気に召してくださったなら、わたくしとレィゼ王国を飛ばさぬように、切にお願い申しあげます……!」

 懇願してしまいました……!

 目をまるくしたラザが、吹きだして笑う。

「考えておこう」

 揺れるラザの肩の向こうで、ヤヤの肩も揺れている。


 ……いや、あの、めちゃくちゃ真剣な哀願なんですけど……?

 ちょっと涙目の上目遣いで、にらんでしまった俺、ふたたび──!


 あわあわ微笑もうとした俺を止めるように、くしゃりと大きな手が俺の髪をかきまぜる。

 わしゃわしゃ、わしゃわしゃ、わしゃわしゃ、俺の頭をかきまぜる手が、止まらない……!

「……あ、あの、ラザさま……?」

 これから陛下にお逢いするのに、頭が、もっしゃ、もっしゃに、なったようなのですが……?

「……ぷ……!」

 ちょ……!

 自分でやっておいて、吹いたよ、この人──!

 ぷりぷりしちゃいそうな俺の隣で

「ぶ──!」

 ヤヤも吹いてる。

 よく似た主従らしいです。

 俺の頭は、もっしゃもしゃです。

 これで謁見とか、ないよね……?


「いや、これはこれで、かわいいんじゃ……?」

 ラザが、ぷるぷるしてる!

「ちょっとだけ、とかしましょうか」

 ヤヤの肩も、ぷるぷるしてる!




 兄上、帝王陛下の宮は、ラザの宮のほど近くにあるらしい。

 いくつかの隠し扉を抜けて、いくつかの隠し通路を抜けた先で、なんの装飾もない真白な扉がたたずんだ。





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