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しっかり
ヤヤさんが、ひきつっちゃうくらい、そんなにラザさま、こわいかな??
俺には、やさしい気がするけれど……
一緒にお風呂に入るのも、夜のおつとめも、しないでいいって言ってくれたよ。
今は──!
……そう、今は、でした……
あと2年……? 2年なの、俺……? 国……?
いや、その前に『我慢がきかなくなる』とか、おそろしい言葉を言ってなかった……?
ヤヤさんと一緒に、カタカタしちゃう!
「で、では、北の端の宮を、見てみましょうか。よさそうな宮があれば、どうぞ、おっしゃってください」
気もちを切り替えるように微笑んだヤヤが、北の端の宮へと続く道を先に立って歩いてくれる。
訳がわからなくなるほど、入り組んだ道を長々と歩くヤヤに、ちょっと疲れてきた俺は首をかしげた。
「……あ、あの、魔法の、ビカー! っていうのは、使わないんですか?」
「お使いになることができるのは、ラザさまだけです」
言い切ったヤヤは、ちょっと眉をあげてから、にこりと笑う。
「失礼しました、陛下も、もちろん、お使いになれます」
とってつけたよ!
……やっぱり、陛下、あやしいな~。
やっぱり、身代わりなんじゃないかな~。
ラザさまと、ヤヤさんに、にらまれて、胃が痛くなってそうだなー! 心配!
「思ったことは、口になさらないようにお願いします」
ヤヤさんの目が、真剣だ。
俺も国も飛んじゃう件ですね!
「了解です!」
こぶしをにぎって、うなずいてみた。
ヤヤさんの肩が、ぷるぷるしてる。
あわてて、そっと、こぶしを仕舞った。
こぶしの可愛い、おひめさまということで、お願いします……!
ヤヤさんの肩が、ぷるぷるしてる。
えぇえ……!
こ、こんなに遠かったの……!?
というくらい歩いて、よれよれしてきた俺。
そう、春が夏になるくらい移動続きだったので、鍛錬が、あんまりできなかったのでした……
いちおう剣の素振りとかは、してたんだけど、歩くとか走るとか、基礎体力をつけてなかった!
宿の周りとか、走っておけばよかったね。
ちょっと眠くて疲れてお尻が痛かったから、さぼっちゃった!
よれよれする俺に、ヤヤさんが、やさしい目になってる。
おお、ここは、ちょこっと、おひめさまっぽい……?
おさぼり、大成功……?
とか言ったら、ガチムチひめに、しかれらるね。ごめんなさい!
ヤヤさんに引っ張られるように連れてきてもらって、ようやくたどりついた北の端の宮は、明るいところで見ても、ボッロボロでした!
夜は、もう、めちゃくちゃ怖かったけど。
昼は、そうでもないかなと思ったら、茂る森で日かげになってて、薄暗くて、ふしぎに冷たい風が吹きぬけたりして……!
「こ、こわい……!」
ごめんなさい、朝でも、泣きそうです!
「よさそうな宮は、ございますか?」
ヤヤさんが、にこにこしてる!
……え、もしかして、ヤヤさん、仕事のできる、誠実な、やさしい人、兼、いじわるさんなの……?
きゃ──!
そうっと俺は、唇を開いた。
「……あると思いますか……?」
「思いませんね」
にっこり笑顔のヤヤさんが、こわい!
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