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きびしく
しおりを挟むふわふわの、くーちゃんは、とっても、とっても、とっても、かわいいのですが!
僕は、キリっとお顔を引きしめた。
ここであいまいな答えをして、将来大変なことになったり、くーちゃんが傷つくことになったらいけないので、ここは、のーすちゃんを見習って、心をきびしく!
「伴侶にしてくれなくて、大丈夫だよ」
にっこり笑ってみました。
見開かれた大きな藍の瞳が、うりゅうりゅに……!
「もっちり、かわいーかおして、ひどいこと、いう──!」
くーちゃんが、ギャン泣きしちゃった!
ご、ごめんね……!
「おい、くーが自己紹介したんだぞ。ゆーり、お前もしろ!」
のーすちゃんが、つっこむのは、そっちなんだね。わかったよ。
ノゥスにしかられた僕は、あわてて手を胸にあてる。
「はじめてお目にかかります、クゥス・ロベナさま。ユィリ・ロドアにございます。どうぞお見知りおきを」
うやうやしく膝を折ったら、くーちゃんが重々しくうなずいた。
「はんりょにしてあげる!」
おっきな藍の目が、きらきらしてる!
「お気もちは大変うれしいのですが、けっこうです!」
思わずカイの影に隠れちゃったよ!
しゃっと腕を広げてくれるカイが、やさしい。
「こ、こここことわった……! ぼ、ぼぼぼぼくの、きゅうあいを……!」
うりゅうりゅの藍の瞳に、申しわけなさがあふれるよ……!
ごめんね……!
面白そうに見ていたノゥスが、くーちゃんの頭をぽんぽんしてる。
「あー、初恋は砕け散るんだってさ」
あっさり、ひどい真実を告げるね、のーすちゃん!
さすが、きびしい男!
「は、はじまったとおもったら、はつこい、おわったよ、おにーたま!」
泣いちゃいそうな、くーちゃんに、ノゥスが重々しくうなずいた。
「そういうこともあるのが、人生だ。
はやくわかって、よかったな、くー」
「よくないぃいいい!」
泣いてる。
ほんとに、ごめんね……!
だって年齢差13歳とか痛いよ!
歳をとってから出逢うならまだしも、今から15年も待って伴侶とか、むり!
…………なんか、我慢してる人がいるらしい? すごい愛だね!
でもまだ、ちっちゃいくーちゃんに、そこまでの愛がないんだよ、ごめんね……!
『気もちはうれしいけど、きっぱりお断り』な空気をかかげる僕に、うりゅうりゅだった大きな藍の瞳が、何かを思いついたように輝いた。
「わ、わわわわかった! き、きせいじじつをつくれば、はんりょになれるんだ!」
……………………。
3歳のお子さまのお言葉かな……?
……えぇえ……?
そんなの教えたの、誰なの……!
うろんな目になる僕とカイに、真っ青になったノゥスとおとうさんが、ぶんぶん首をふってる。
違うらしいよ。
でもきっと、子どもは聞いてるんだよ!
「えい!」
ちっちゃいクゥスちゃんが、僕に抱きついて、ちゅうとしてくれようとしたのですが、届かなかった……!
かーわーいー♡
そうだね、3歳の子には、既成事実は、ちゅうだね!
よかった、健全だよ。
「えへへへへ♡ かわいーね、くーちゃん♡」
なでなでしてあげようとした僕の首に、つきだされたクゥスの唇が、ふれる。
ちゅう
ふにふにの、やわらかな感触がふれた瞬間
パァアァア──!
あふれる光に、目がくらむ。
「…………え…………?」
ぼうぜんとする僕のなかに、クゥスの唇から、まぶしい魔力が、流れこむ。
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