悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ

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きびしく

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 ふわふわの、くーちゃんは、とっても、とっても、とっても、かわいいのですが!

 僕は、キリっとお顔を引きしめた。

 ここであいまいな答えをして、将来大変なことになったり、くーちゃんが傷つくことになったらいけないので、ここは、のーすちゃんを見習って、心をきびしく!


「伴侶にしてくれなくて、大丈夫だよ」

 にっこり笑ってみました。

 見開かれた大きな藍の瞳が、うりゅうりゅに……!


「もっちり、かわいーかおして、ひどいこと、いう──!」

 くーちゃんが、ギャン泣きしちゃった!

 ご、ごめんね……!


「おい、くーが自己紹介したんだぞ。ゆーり、お前もしろ!」

 のーすちゃんが、つっこむのは、そっちなんだね。わかったよ。

 ノゥスにしかられた僕は、あわてて手を胸にあてる。


「はじめてお目にかかります、クゥス・ロベナさま。ユィリ・ロドアにございます。どうぞお見知りおきを」

 うやうやしく膝を折ったら、くーちゃんが重々しくうなずいた。


「はんりょにしてあげる!」

 おっきな藍の目が、きらきらしてる!


「お気もちは大変うれしいのですが、けっこうです!」

 思わずカイの影に隠れちゃったよ!

 しゃっと腕を広げてくれるカイが、やさしい。


「こ、こここことわった……! ぼ、ぼぼぼぼくの、きゅうあいを……!」

 うりゅうりゅの藍の瞳に、申しわけなさがあふれるよ……!

 ごめんね……!


 面白そうに見ていたノゥスが、くーちゃんの頭をぽんぽんしてる。

「あー、初恋は砕け散るんだってさ」

 あっさり、ひどい真実を告げるね、のーすちゃん!
 さすが、きびしい男!

「は、はじまったとおもったら、はつこい、おわったよ、おにーたま!」

 泣いちゃいそうな、くーちゃんに、ノゥスが重々しくうなずいた。

「そういうこともあるのが、人生だ。
 はやくわかって、よかったな、くー」

「よくないぃいいい!」

 泣いてる。

 ほんとに、ごめんね……!


 だって年齢差13歳とか痛いよ!
 歳をとってから出逢うならまだしも、今から15年も待って伴侶とか、むり!

 …………なんか、我慢してる人がいるらしい? すごい愛だね!

 でもまだ、ちっちゃいくーちゃんに、そこまでの愛がないんだよ、ごめんね……!


『気もちはうれしいけど、きっぱりお断り』な空気をかかげる僕に、うりゅうりゅだった大きな藍の瞳が、何かを思いついたように輝いた。

「わ、わわわわかった! き、きせいじじつをつくれば、はんりょになれるんだ!」

 ……………………。

 3歳のお子さまのお言葉かな……?

 ……えぇえ……?

 そんなの教えたの、誰なの……!

 うろんな目になる僕とカイに、真っ青になったノゥスとおとうさんが、ぶんぶん首をふってる。

 違うらしいよ。
 でもきっと、子どもは聞いてるんだよ!


「えい!」

 ちっちゃいクゥスちゃんが、僕に抱きついて、ちゅうとしてくれようとしたのですが、届かなかった……!

 かーわーいー♡


 そうだね、3歳の子には、既成事実は、ちゅうだね!

 よかった、健全だよ。


「えへへへへ♡ かわいーね、くーちゃん♡」

 なでなでしてあげようとした僕の首に、つきだされたクゥスの唇が、ふれる。


 ちゅう

 ふにふにの、やわらかな感触がふれた瞬間


 パァアァア──!

 あふれる光に、目がくらむ。


「…………え…………?」


 ぼうぜんとする僕のなかに、クゥスの唇から、まぶしい魔力が、流れこむ。







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