悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ

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負けない……!

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 ただいま、ちょこっとしたすり傷のある人を求めています!

 でもまあオンライン小説じゃないし、ちょこっとしたすり傷のある人なんて、そうなかなか都合よくいるわけないよね。

 しょんぼりする僕に

「あい!」

 くーちゃんが手をあげてくれる。

「ぼくね、さっきね、おにわで、あそんでてね、もっちもっち、きたの、わからなかったの。
 おにーたまの、おこえがしてね『おにーたま、かえってきた!』って、あわてて、はしって、ころんじゃったの。
 ちょこっと、けがしたの」

 眉をさげる、くーちゃんに、ノゥスもおとうさんも跳びあがる。
 そう言われたら、ひらひらの服が、ちょこっと汚れているような……!

「だいじょうぶなのか、くー!」

「くーちゃん……!」

 のーすちゃんも、おとうさんも、真っ青だよ!

「もっちもっち、なおしてくれる?」

 きらきらの期待に輝く大きな瞳で見あげられた僕は、おそるおそる、でも見た目は決意に満ちてみえるように、胸を叩いた。

「や、やってみるよ! でもくーちゃん、僕の名前はユィリ、ゆーりちゃんだよ」

 呼んでもらいやすいようにと、にっこり笑う僕に、のーすちゃんが凛々しくなってしまった眉をしかめた。

「それは俺が呼ぶから、だめ。クゥスは、ゆりちゃんって呼べ」

 指定されたくーちゃんは、こっくりうなずいた。

「わかった。もっちもっち」

 まったく変えるつもりがないことが、わかったよ!

 ちっちゃな、くーちゃん用のお椅子に座ったクゥスが、すりむいた、ちっちゃな、おひざを出してくれる。

 ち、血が出てるよ……!

「わ、あ……! い、痛そうだね……!」

「いたいの。だいじょばないの」

 あぁあ……!

「かわいそうに……! すぐ言ってくれたらよかったのに」

 泣きそうになる僕に、くーちゃんが笑う。

「もっちもっち、みたの。
 いたいの、ふきとんだの!
 でも、もっちもっち、ことわるから、また、いたいたに、なったの」

 しょんぼり眉をさげる、くーちゃんは天使なのに……!

 断ってしまった僕が、申しわけなさすぎて涙目だよ!

「ほ、ほんとうにごめんなさい……!」

 あぅあうぁあ──!

 号泣しそうになりながら、僕は傷をよく観察した。
 庭で転んだからだろう、ちいさな砂利が傷について血がにじんでいる。

「うーん、範囲といい、深さといい『ちょこっとしたすり傷』というより『かなり深めの擦過傷』という感じだね……!
 ………………僕の力じゃ、ちょっとむりかもしれない……」

 ほんとに、ちょこっとした傷しか治せない自分に、僕がいちばん、しょんぼりした。

「だめでも、今までどおりだから、別にいいよ」

 ぽんぽん肩をたたいてくれるノゥスが、やさしい。

「おにーたまが、いわないの!」

 確かにそうだ!

 3歳で、つっこみも完璧なくーちゃん、すごい。 

「なおったら、うれしい。
 なおらなかったら、もっちもっちが、がんばってくれたの、うれしい」

 おっきな藍の瞳をきらきらさせて、笑ってくれる。

「なんてやさしい子なの──!」

 ぎゅう

 抱きしめたら、ぷにぷにのほっぺが、ふうわり紅く染まった。

「もっちもっち、うっとりした? ぼくのものになる?」

 期待のきらきら視線攻撃に『……う……っ!』となった僕ですが!

「な、なりません……!」

 そこはしっかりね。

 ちょっと、よろめいてるけどね。

 うりゅっとするお目々にも負けないのです……!


 むつかしいけど、僕、がんばるよ……!

 きらきらな将来が輝いている、くーちゃんのために!

 伴侶(予定)契約を破棄された、いわば傷物の僕が、くーちゃんのきらめく将来を潰すなんて、あってはならないことだから!









 ────────────────


 ずっと読んでくださって、ありがとうございますー!

 たくさんのご心配と励ましと、あたたかい、おやさしいお言葉を、いいねやエールを、ほんとうにありがとうございます!


 昨日は衝撃で利き手がほとんど動かせなかったのですが、ちょっと落ちついて? パソコンのキーくらいなら、ちょこっと打てるようになったかもです……!(笑)

 いつもの二分の一倍速くらい? 五分の一?(笑)くらいなのですが、仕事にも行けず、あんまり何にもできないので(笑)他にすることがないことに気がつきました……!(笑)

 医師からは、パソコンをさわっていいと言われているので(笑)言ったよね……!(笑)拘縮を防ぐためにも、無理のない範囲で、ちょこちょこ更新できたらと思います。

 昨日一日使えなかっただけで、もう手が固まってきていたので、よい運動になるかなと……!

 ユィリといっしょに、のんびり(笑)がんばりますー!
 楽しんでくださったら、とてもとても、うれしいです!

 





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