悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ

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こうかい……!

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 魔力が0になっちゃった僕は、一瞬、命が消えそうになりましたが、セゥスさまの渾身の魔力補給で何とか復活したみたいです。

 ありがとう、セゥスさま!

 でも相性が悪かったら、僕、さようならだったみたいです……?


「ゆりさまが儚くなってしまったら、どうするつもりだったんですか──!」

 カイも

「王太子辞退もびっくりだよ! 兄貴ほんとうに何やってるの──!?」

 とばっちりで一番大変だろう、のーすちゃんも

「……これのどこが完璧なの……」

 遠い目をしてるトトラも

「まあ、うん、だいじょうぶなんじゃないかな、ユィリくん、主人公っぽいし」

 間違った見解のアーシェくんも

「ゆりちゃんが無事で、よかったよぉおおおお──!」

 サザお兄ちゃんも、僕が生きてるのを喜んでくれたみたいです。

 うれしい。


「ごめん。でも絶対だいじょうぶだと思ってた」

 照れたように笑うセゥスが、僕の耳元に唇を寄せる。


「ユィリがくれた魔力、めちゃくちゃ気持ちよかったから」

 あまい声に、耳から溶けそうです──!

 きゃ──!


「ちゃんと聞こえたよ。
『そばにいて』
 僕の『あいしてる』とどいた?」

 燃える頬で、うなずこうとしたけれど


「……きゅう……」

 色々限界みたいです……!


「あぁあ、もう──!
 殿下は刺激が強すぎます──!」

 カイに押しのけられたセゥスが、しょんぼりしてる。

「ゆりさま、気を失うのはちょっと待ってください。4度目は厳しい。
 今から俺の魔力を注ぎます。
 少しずつにしますから、いいですね?」

 やさしく抱っこしてくれるカイの香りにつつまれた僕は、眠っちゃいそうになりながら、こっくりうなずいた。


 ふわふわのカイの唇が、僕のうなじにふれる。

 ひんやり冷たいのに、とろけるようにやさしい、カイの魔力が、そうっとそうっと、僕の空っぽな身体を満たしてくれる。

「つらくない……?」

 やさしい声に、うなずいた。


『きもちいい』言ったらだめな気がする──!


 ちゅ

 あまやかな音をたてて、カイの唇が僕から離れた。


「少しずつ交代で魔力を注ぎましょうか」

 身体を起こしたカイを押しのけるように、のーすちゃんが前に出る。


「じゃあ俺が」

 ちょっと眉をあげたカイが吐息した。


「おそらく違う魔力が混じるのは、ゆりさまにはご負担です。
 3人の魔力より、2人の魔力の方が、今のゆりさまには、よいでしょう」

「……ぐ……」

 のーすちゃんに、うらめしそうに見つめられたセゥスが眉を下げる。


「……ごめん……って、前の僕なら言うんだろうな」

 伏せた目を、セゥスは上げる。


「ノゥスのことを大切に思ってる。
 でもユィリは、譲れない。
 もう譲りたくないんだ」

 まっすぐな緑の瞳が、ノゥスを見つめる。


「ユィリがノゥスを思っていたとしても、それでも僕はもう、自分から諦めて身を引くなんてしない」

 セゥスは告げる。


「ユィリを、あいしてる」


 ………………!

 ……あ、あのあのあのあの、セゥスさま、あのあの、告白は、とってもとってもとってもとっても、うれしいのですが……!


 なぜに、いつも公開なの……!?

 僕どう反応したらいいの──!?


 きゃ──!


「……きゅう……」

 倒れてしまいそうな僕を支えてくれたカイが、やさしく起こしてくれる。


「あぁあァア、もう──!
 また、ゆりさまを倒れさせて──!
 だからあなたが、だいきらいなんです!」

 カイに、にらみつけられたセゥスが、しょんぼりしてる。


「ゆりさま、お気を確かに!
 これから魔力補給ですよ!
 もっと『きゃ──!』ですよ!」

 きゃ──!





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