88 / 255
こうかい……!
魔力が0になっちゃった僕は、一瞬、命が消えそうになりましたが、セゥスさまの渾身の魔力補給で何とか復活したみたいです。
ありがとう、セゥスさま!
でも相性が悪かったら、僕、さようならだったみたいです……?
「ゆりさまが儚くなってしまったら、どうするつもりだったんですか──!」
カイも
「王太子辞退もびっくりだよ! 兄貴ほんとうに何やってるの──!?」
とばっちりで一番大変だろう、のーすちゃんも
「……これのどこが完璧なの……」
遠い目をしてるトトラも
「まあ、うん、だいじょうぶなんじゃないかな、ユィリくん、主人公っぽいし」
間違った見解のアーシェくんも
「ゆりちゃんが無事で、よかったよぉおおおお──!」
サザお兄ちゃんも、僕が生きてるのを喜んでくれたみたいです。
うれしい。
「ごめん。でも絶対だいじょうぶだと思ってた」
照れたように笑うセゥスが、僕の耳元に唇を寄せる。
「ユィリがくれた魔力、めちゃくちゃ気持ちよかったから」
あまい声に、耳から溶けそうです──!
きゃ──!
「ちゃんと聞こえたよ。
『そばにいて』
僕の『あいしてる』とどいた?」
燃える頬で、うなずこうとしたけれど
「……きゅう……」
色々限界みたいです……!
「あぁあ、もう──!
殿下は刺激が強すぎます──!」
カイに押しのけられたセゥスが、しょんぼりしてる。
「ゆりさま、気を失うのはちょっと待ってください。4度目は厳しい。
今から俺の魔力を注ぎます。
少しずつにしますから、いいですね?」
やさしく抱っこしてくれるカイの香りにつつまれた僕は、眠っちゃいそうになりながら、こっくりうなずいた。
ふわふわのカイの唇が、僕のうなじにふれる。
ひんやり冷たいのに、とろけるようにやさしい、カイの魔力が、そうっとそうっと、僕の空っぽな身体を満たしてくれる。
「つらくない……?」
やさしい声に、うなずいた。
『きもちいい』言ったらだめな気がする──!
ちゅ
あまやかな音をたてて、カイの唇が僕から離れた。
「少しずつ交代で魔力を注ぎましょうか」
身体を起こしたカイを押しのけるように、のーすちゃんが前に出る。
「じゃあ俺が」
ちょっと眉をあげたカイが吐息した。
「おそらく違う魔力が混じるのは、ゆりさまにはご負担です。
3人の魔力より、2人の魔力の方が、今のゆりさまには、よいでしょう」
「……ぐ……」
のーすちゃんに、うらめしそうに見つめられたセゥスが眉を下げる。
「……ごめん……って、前の僕なら言うんだろうな」
伏せた目を、セゥスは上げる。
「ノゥスのことを大切に思ってる。
でもユィリは、譲れない。
もう譲りたくないんだ」
まっすぐな緑の瞳が、ノゥスを見つめる。
「ユィリがノゥスを思っていたとしても、それでも僕はもう、自分から諦めて身を引くなんてしない」
セゥスは告げる。
「ユィリを、あいしてる」
………………!
……あ、あのあのあのあの、セゥスさま、あのあの、告白は、とってもとってもとってもとっても、うれしいのですが……!
なぜに、いつも公開なの……!?
僕どう反応したらいいの──!?
きゃ──!
「……きゅう……」
倒れてしまいそうな僕を支えてくれたカイが、やさしく起こしてくれる。
「あぁあァア、もう──!
また、ゆりさまを倒れさせて──!
だからあなたが、だいきらいなんです!」
カイに、にらみつけられたセゥスが、しょんぼりしてる。
「ゆりさま、お気を確かに!
これから魔力補給ですよ!
もっと『きゃ──!』ですよ!」
きゃ──!
あなたにおすすめの小説
空港清掃員58歳、転生先の王宮でも床を磨いたら双子に懐かれ、国王に溺愛される
木風
恋愛
羽田空港で十五年、黙々と床を磨いてきた清掃員・田中幸子(58)は事故死し、没落寸前の子爵令嬢エルシアとして転生する。
婚約破棄の末に家を追われた彼女が選んだのは、王宮の清掃員――前世の技で空気まで変わるほど磨き上げていく仕事だった。
やがて母を亡くした双子王子王女に懐かれ、荒れた執務室の主である喪中の国王とも距離が縮まり……。
「泣くなら俺の胸で」――床も心も磨き直す、清掃令嬢の溺愛成り上がり。
田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?
下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。
そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。
アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。
公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。
アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。
一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。
これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。
小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。
【本編完結】断罪される度に強くなる男は、いい加減転生を仕舞いたい
雷尾
BL
目の前には金髪碧眼の美形王太子と、隣には桃色の髪に水色の目を持つ美少年が生まれたてのバンビのように震えている。
延々と繰り返される婚約破棄。主人公は何回ループさせられたら気が済むのだろうか。一応完結ですが気が向いたら番外編追加予定です。
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件
碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。
状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。
「これ…俺、なのか?」
何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。
《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》
────────────
~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
※第22話を少し修正しました。
※第24話を少し修正しました。
※第25話を少し修正しました。
※第26話を少し修正しました。
※第31話を少し修正しました。
※第32話を少し修正しました。
※第33話を少し修正しました。
────────────
※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!!
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。
この俺が正ヒロインとして殿方に求愛されるわけがない!
ゆずまめ鯉
BL
五歳の頃の授業中、頭に衝撃を受けたことから、自分が、前世の妹が遊んでいた乙女ゲームの世界にいることに気づいてしまったニエル・ガルフィオン。
ニエルの外見はどこからどう見ても金髪碧眼の美少年。しかもヒロインとはくっつかないモブキャラだったので、伯爵家次男として悠々自適に暮らそうとしていた。
これなら異性にもモテると信じて疑わなかった。
ところが、正ヒロインであるイリーナと結ばれるはずのチート級メインキャラであるユージン・アイアンズが熱心に構うのは、モブで攻略対象外のニエルで……!?
ユージン・アイアンズ(19)×ニエル・ガルフィオン(19)
公爵家嫡男と伯爵家次男の同い年の乙女ゲー転生BLです。