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ザイお兄ちゃんの真っすぐな目を受けとめたカイは、どきどき見守る僕、もぐもぐ見守る僕の前で、おごそかに唇を開いた。
「いや、名前も指輪もない、ふつうの孤児です」
「奪われたんだろう。あの指輪は魔法で外せなくなっているはずなんだが、物理で切断したりすると外れるからな」
こわい……!
「時々あるんだ。指輪を切られてしまい、指輪に彫った名も失われてしまうことが」
「孤児に高価な指輪を持たせると、養育費として切られるでしょう」
『あたりまえなんじゃ?』言いたそうなセゥスの目が遠い!
咳払いしたカェザイは、長い指を組んだ。
「そんなときのために、カェザ大公家では、血縁を調べる技がある」
ここは『鉄板BL』の世界なんだよね??
BL小説のお約束というと──!
「ちゅう??」
ねむりひめが、目覚めるみたいに!
きんにくひめ、トトラのちゅうでも、目覚めなかったけどね。
ちょっと運命の相手じゃなかったかもしれないね!
カイと、ザイお兄ちゃんは、もしかして運命!?
わくわくする僕に、目をむいたカイが引きつって、あんぐりしたザイお兄ちゃんが、頭をぽんぽんしてくれる。
「もっちもっちは、ちょっとだけ、いい子でお菓子を食べてような」
口に押しこまれた、蜜のじゅわっとあふれるパイを、喜んでもぐもぐしてしまう僕……!
よわよわ……!
「魔力を限界まで高めると目の中に精霊文字でカェザが現れる。こんなふうに」
椅子に座ったままのカェザイの魔力が爆発する。
噴きあがる青いひかりのなか、夜空の瞳に青い不思議な文字が浮かびあがった。
「すごい……!」
魔力の風に髪も服も、びょーびょーしながら拍手する僕を守ろうと、立ちあがったセゥスとカイが僕の前に立ってくれる。
「だいじょぶだよ。ザイお兄ちゃん、僕を攻撃したりしないよ」
にこにこする僕に、カェザイはちいさく笑った。
「……信じてもらえると、信じたくなるんだな。
ありがとう、もっちもっち」
僕の頭をなでなでしてくれるカェザイの手が、水の魔力でビリビリしてる。
「すごいね、ザイお兄ちゃん」
見あげたら、ひかりの瞳がまるくなる。
「……え……いや、俺は、もっちもっちの兄貴じゃないんだが……」
クールで凛々しいザイお兄ちゃんの耳がほんのり紅くなってゆくのに、首をかしげた僕はうなずいた。
「カイのお兄ちゃんだから、ザイお兄ちゃん。カイのお兄ちゃんは、僕にとっても、お兄ちゃんだよ!」
「ゆりさま!」
「ユィリ!」
カイとセゥスの激おこゲージは、満タンのままだよ!
まるくなった光の瞳がほどけて、ザイお兄ちゃんが僕の頭をなでなでしてくれる。
「カェザ大公家の血縁は闘うことしかしないから、殺伐としていてな。もっちもっちのように、笑顔で呼びかけられると、きゅんとした」
照れくさそうに、ふうわり紅いまなじりでカェザイが笑う。
「ユィリ……? どうしてそう、顔のいい男を次々に落としてゆくのかな……?」
セゥスの背中から、闇が噴いてる!
きゃ──!
「だ、誰も落ちてないよ!
ほんとうに落ちてくれたのは、セゥスさまだけだもん」
きゅう
抱きついたら、抱きしめてくれる。
「さまは、だめ」
ちゅ
あまいくちびるが、おでこに降ったら、僕、ふにゃふにゃに、なっちゃうのです……
「……突然目の前で、いちゃいちゃされて、びっくりなんだが……」
ザイお兄ちゃんが、引きつってる!
「……いつものことです……」
カイとザイお兄ちゃんが、わかりあってる!
「カェツァ、ちょっと魔力を放出してみて。限界くらいまで」
カェザイにうながされたカイは、首をふる。
「……だから俺は違うって──」
ひかりの瞳が、カイを射る。
「目のなかに文字が現れないなら、きみはカェツァではなく、カイだ。
証明してくれ」
こくりとカイの喉が鳴った。
────────────────
ユィリ「ずっと読んでくださって、ありがとうございますー! わーい!
この世界では春だけど、異世界では冬で、年末なんだよ!
ずっと読んでくださる、あなたさまに、僕から、愛のプレゼントだよー♡」
セゥス「何が何だかわからないけど、ユィリがかわいー♡」
カイ「愛をくださるんですか!」
ノゥス「こっちにも」
海「わけて、ゆり」
ユィリ「はい! ♡」
ユィリの愛のプレゼント(笑)な動画、もう少ししたらあがります!(笑)22時くらい? → あがりましたー!
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったらー!
ずっと読んでくださって、ユィリと皆といっしょに、心から、ありがとうございます!
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