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ごめんなさい
しおりを挟む「ごめん、な、さい……!」
涙をあふれさせる父を、セゥスの腕が、やさしく抱いた。
「……うん……」
「セゥスを、愛、してる、のに……憎、らしく、なって……」
「……うん……」
「……そうなってくれるようにと願ったのに…………誰からも愛されるセゥスが……うらやましかったんだ。……僕には、誰もいないから」
涙にふるえる父の肩を、セゥスの手がやさしくさする。
「おとうさまには、僕がいるでしょう」
「……でも、ユィリくんを選ぶって……」
ぐすぐす泣くセァナ殿下の隣で、王が眉をさげる。
「……その、俺も、いるんだが……」
振り向いたセァナのまなじりが、つりあがる。
「ノク殿を愛する陛下に、何を言われても、クソなんですが」
きゃ──!
お上品満開のセァナさまの口から、すごい言葉が!
陛下が、泣いてる。
「……いや、その、セァナが俺を想っていてくれたと聞いて、驚いたんだが……その……ほんとうに……?」
王が、びっくりしてる!
セァナも、セゥスも、ノクも、のーすちゃんも、くーちゃんまで、あんぐりしてる!
「…………は…………?」
皆にあんぐりされた王が、わたわたした。
「だ、だって、セァナ、俺には激ツンしかないんだけど──!」
今も、ひどいこと言われてたね!
「ちょこっとでもデレてくれたら『お、ツンデレか、俺のこと、ほんとはすきなくせにー♡』とか思えるかもしれないが、激ツンしかなかったら、いやがられてるとしか思えないんだが……」
陛下の目が、遠くなってる。
「俺には頭も人脈もない。王を辞退すると言ったが、俺の他に継げる者がいない。俺を王にするために、最高位貴族のセァナが伴侶になってくれた。……ずっとノクを愛していたけれど、でも伴侶になったからには、セァナを大切にしようと思っていたんだ。
でも、あんまり拒絶されるから、これはお互いに愛する人と結ばれましょうということなんだと、思って……ノクに懇願して、第二王配になってもらったんだ」
うなだれた王の肩が落ちる。
「ノクにも、セァナにも、つらい思いをさせてしまって、ほんとうにすまなく思っている。
……その、こんなことを言ったら最低なのは分かっているが、それでも言うと、俺はノクも、セァナも、大切に思っている。
セゥスを、ノゥスを、クゥスを、俺の子どもたちを生んでくれたことを、心から感謝している。
ありがとう」
胸に手をあてて、心からの気もちを表す王に、皆が顔を見あわせた。
「……陛下は、僕のことが、おきらい、なんじゃ……」
セァナの瞳が、揺れる。
「いや、顔だけ王とか言われる俺のことを、セァナが、きらっているとばかり──」
「僕だって顔と身分だけです……! それで無理やり王配になって、ノク殿との恋を引き裂いて……僕は……陛下に、きらわれていると、ばかり──」
「大切にするって言った──!」
「そ、それは陛下のおやさしさからで……」
くしゃりとセァナの瞳がゆがむ。
「……僕は……なんて、愚かな……セゥスを……陛下を……ノク殿を……ノゥスを……クゥスを傷つけて……」
あふれる涙で、胸に手をあてたセァナが、深く、深く膝を折る。
「……ごめんなさい……!」
心からの謝罪を表す最敬礼に、皆が微笑む。
「間違ったら、やり直しましょう。
ユィリちゃんが言ってくれたみたいに」
ノクさまが、笑ってくれる。
「まあ、おふくろが、だいたいわるいと思うけど」
のーすちゃんの、つっこみに、王がちいさくなってる。
「しかたないね! おかーたま、ぽんこつだからね!」
くーちゃんに、ぽんこつ認定された王が、泣いてる!
「おかあさまの最愛になれなかったとしても、おとうさまを大切に思う人はいる。
僕も、おとうさまを、大切に思っていますから」
セゥスの指が、おとうさんの涙をそっとぬぐう。
「やさしいセゥスも、きびしいセァナ殿下も、僕、だいすきですよ!」
もっちもっちの頬で、笑った。
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