悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ

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あたまのなか

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 僕とセゥスが見守るなか、涙にふるえるセァナの肩を、王の手がやさしくつつむ。

「すまなかった、セァナ」

「僕になれなれしく、しない──……で……ほしくないです……」

 激ツンをなおそうと、セァナが、もごもごしてる!


「がんばって、セァナさま!」

 心で思ったはずなのに、両手をにぎった僕の口から出てた。

 セァナの緑の瞳がまるくなる。

「う、うん……!」

 僕のまねをするみたいに両手をにぎるセァナが、とってもかわいいです。


「……こ、これが、ツンデレ……!」

 ぽんこつおかあさんが、感動してる。





「政務を放ってきたんですか」

 ちょっと冷ややかなセゥスの目に、びくりとふるえた王はうなずく。

「家族の一大事だと、ノクがこっそり連絡魔導具で知らせてくれた。わるいが俺は王の器じゃない。政務は宰相のほうが、うまくやってくれる。
 今を逃すと、もうセゥスに逢えなくなるかもしれない。思ってあわてて飛んできたんだ」

 セゥスが瞬いた。

「……僕のために……?」

「王太子を辞退すると聞いた。しかしユィリちゃんとも復縁できたようだし、何の問題もなくなっただろう。戻ってきてほしい」

「政務が大変なんですね」

 さっくり告げるセゥスに、王が眉をさげる。

「国を継ぐのは、セゥスだよ。俺より、よほど王にふさわしい。
 ノゥスも、クゥスも、ノクも、そう思っているだろう?」

 のーすちゃんが、しっかりうなずく。

「兄貴ほど完璧な外面で外交と国内の取りまとめをこなせる人は、そうそうねえよ。
 俺は無理。けんか売りそう」

 ノクさまも、くーちゃんも、うむうむしてる。

「……え、否定してくれないの?」

 涙目な、のーすちゃんを、やさしく、ぽんぽんしてあげました。
 否定は、しなかった! ごめんよ、のーすちゃん!


「ぼくが、おうに、なったら、おかしのくにに、しちゃうのだ!」

 両手をにぎるくーちゃんが、かわいすぎる!


「ぜひしてください」

 もっちもっちの頬で、お願いしちゃうよ。


「ユィリちゃん、応援しない!」

 止めにくるノクさまが真剣だよ!


「ずっと重ねてこられた尽力を知っています。王にふさわしいのはセゥスさまかと」

 微笑むノクに、セゥスは首をふった。


「ノゥスもクゥスもやればできる。この二人は、僕に気をつかってばかりで、やろうとしないから……」

「いや、真剣にしたくないんだよ、兄貴!」

「ぼく、おかし、たべられたら、いーの!」

 こぶしをにぎる、のーすちゃんと、くーちゃんに、セゥスの目がまるくなって、ちいさく笑った。


「……ありがとう、ノゥス、クゥス。もう僕に遠慮することなく、したいことを──」

「今までもしてきたし、これからもする。遠慮なんてしてないよ、兄貴」

 やさしく微笑むのーすちゃんに、くーちゃんがしっかり、うなずいた。


「おにーたまが、がっこー、いかないのは、がっこー、にがてだからなの!」

「そうそう」

「おにーたま、すきなこと、だいすきだけど、にがてなこと、むりなの。むらっけなの。
 おうに、むいてないの!」

「そうそう」

「おにーたまに、そっくりな、ぼくも、あたまのなかは、もっちもっちなの!」

「そうそう。俺の頭のなかも、もっちもっち」

 くーちゃんと、のーすちゃんが、僕と手をつないで、笑ってくれる。


「僕の頭の中も、ユィリだけだよ」

 ぎゅう

 セゥスが、僕とくーちゃんと、のーすちゃんを、いっしょに抱きしめてくれました。

 もっちもっちの、ほっぺが、焼いたおもちになっちゃうよ!


「おお! では、ユィリちゃんがロベナ王族になってくれたら、すべてがまるくおさまって、皆がこの国にいてくれて、この国の将来は輝くということだな!」

 うむうむした王が、僕の手を両の手でにぎった。


「というわけで、ユィリちゃん、ぜひともセゥスの王配になってくれ」

 おねがいされてしまいました……!


 きゃ──!





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