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もしかしなくても?
しおりを挟む僕は、セゥスを見あげる。
王になりたいとどんなに望んでも、なれない人がほとんどだ。
聞くことは高慢なのかもしれない。
でも、なれる立場だからといって、なりたいわけじゃない。
強制されることもある、仕方ないこともある、でも、違う道があるなら。
自分の人生を、自分で切りひらきたいなら。
大切なのは、セゥスの気もちだ。
「セゥスは、ロベナ王国の王になりたい?」
いつもやさしい若葉の瞳を見あげる。
「おかあさんのため、おとうさんのため、のーすちゃん、くーちゃんのため、慕ってくれる民のため、ぜんぶ、ぜんぶ考えないで」
僕のちいさな両の手が、セゥスの手をつつみこむ。
「セゥスが、何をしたくて、どうなりたいのか。
セゥスの、ほんとうの気もちを聞かせて」
まっすぐ見つめる僕を、セゥスの腕が抱きしめた。
「……ユィリのために、生きたい」
ちいさな声だった。
「ユィリを傷つけたぶん、それ以上にユィリを愛して、ユィリのためだけに生きたい」
ぎゅうぎゅう抱きしめてくれる腕が、くるしくて、あったかくて、ふわふわ熱い頬でセゥスの背を抱きしめる。
「ありがとう、セゥス。
僕も、セゥスを愛して、セゥスのために生きたいと思うよ」
ささやいたら、抱きしめてくれる腕が強くなる。
「きゃー!」
もっちもっちが、もにゅもにゅになっちゃうよ!
「兄貴、ゆーりがつぶれるから!」
「もっちもっちを、つぶさないで、せーおにーたま!」
のーすちゃんと、くーちゃんに止められたセゥスが、ちょっとぷっくりして、やさしく僕を抱っこしなおしてくれた。
「ごめんね、ユィリ、くるしかった?」
顔をのぞきこんでくれるセゥスが、やさしい。
「へいき。……あのね、くるしくても、セゥスのぎゅむぎゅむ、うれしぃの」
ぽそぽそ熱い頬で、ささやいてしまいました……!
「ユィリー♡」
とろけた瞳で、ぎゅむぎゅむ抱っこしてくれるセゥスが、あまあまです。
「はいはい、ゆーりがつぶれるから。皆いるから。それぐらいに」
のーすちゃんに、頭をぽふぽふされたセゥスが、ぷっくりしたけれど、抱っこの腕はほどけない!
うれしい僕も、いけないのです。
わかっているのです。
しかし、うれしくて、もっちもっちしちゃう僕……!
「いやあ、よかったよかった、じゃあ、ロベナ王国の王がセゥス、王配がユィリちゃんということで」
にこにこする王は、もしかして退位する気満々なの……!?
「いえ、話を聞いていましたか? 僕はユィリのためだけに生きるので。
ユィリを愛でることしかしません」
きらきらのセゥスが、胸を張ってる!
僕、セゥスに、ずっと愛でられちゃう……?
きゃ──♡
あちあちの、ほっぺまで、もっちもっちだよ!
「……いさぎよいな……」
のーすちゃんの目が遠くなってる。
「せーおにーたま、こわれた?」
くーちゃんが、心配してる!
「……うん、セゥス、それはもしかしなくても、ひもというのではないのかな……?」
王の目も、遠くなってる!
「僕のセゥスが、ユィリくんのひもに──!」
セァナ殿下が、卒倒しそうだよ!
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