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抱っこです
しおりを挟む誠に遺憾ながらサザの背に乗ることをあきらめたリトは、つぶらな瞳を見あげる。
「僕、馬車、のせてもらぅ、でし。サザ、ジゼしゃま、お願い、しましあ」
丁寧に頭をさげたら
ブルン!
サザの鼻息がリトのふわふわの耳を揺らした。
『……乗ってもいー』
ちいさな声に、瞬いた。
「乗せてくれるのか、サザ」
ふうわり、ジゼが微笑む。
延ばされたジゼの手に、頬を押しあてたサザが頷いた。
そういえば前世で、お馬さんが月の光で人になって、主と愛しあうお話を読んだよ!
とっても素敵だった!
やっぱりここはジゼ×サザかな?
いやサザ×ジゼ!?
昼はジゼしゃまを乗せてあげて、夜は……!?
「……リト?」
不穏を感じたらしいジゼの目が凍えてる。
サザはちょっと赤くなってた。
『仕方ねえな、乗せてやるよ、同士よ』みたいな目になってる!
うれしい!
しかし皆に筒抜けな思考。
おかしい。
「リト」
腕を伸ばしたジゼが、ちっちゃな毛玉を抱えるように軽々と、片腕でリトを抱っこしてくれる。
最愛の推しが、輝いてる……!
「まぶしー!」
火照る頬でもだもだしたら、リトのほわほわの耳がジゼの頬をくすぐったらしい、ジゼの耳が赤くなる。
「レォンしゃま、抱っこでし!」
「う、うむ!」
ちっちゃい翼を畳んだレォンを、両腕できゅっと抱っこした。
耳まで真っ赤になるレォンが、かわいー!
ジゼがリトを抱っこしてくれ、リトがレォンを抱っこして、サザに跨る。
「重くなぃ、でしあ?」
心配で顔を覗き込んだら
ブルン!
サザが鼻を鳴らした。
そうだよ、甲冑を着た騎士とか乗せて走ってくれるんだよ、お馬さん!
甲冑って確か重いのだと50キロとかあるみたい、着るほうもお馬さんも大変!
リト + レォンしゃま + ジゼしゃま = 大人一人分もなさそう! たぶん
「手綱は俺が持つ。リトは俺に、レォンさまはリトにしっかり掴まって」
「あい!」
「わ、わかた!」
ぎゅう
三人でくっついたら、セバとゲォルグとテデとソゾが真っ赤になって胸を押さえる。
「ジゼとセバがいれば問題ないかと思うが、よく気をつけるように」
こほんと咳払いしたゲォルグが、まだ赤い顔で告げる。
「あい!」
「わ、わかた!」
よい子のお返事に、皆が胸を押さえてる。
「おお、ジゼさま、ご出発ですか、お弁当を作って参りやしたぜ!」
料理長がおっきな籐籠を掲げてくれる。
皆の目がきらきらになって、ジゼが笑った。
「ありがとう、コゴ。いつものことだが弟のソゾにも兄のコゴにも世話になるな」
「ジェディス家の皆さんのお世話をするのが、うちの一門の誇りでさあ!」
料理長のコゴが胸を叩いて、隣でソゾがサザの首をやさしく撫でる。
「若のために何かできるってのが、よろこびでさあ」
え、これはもしかして、コゴ×ジゼ!?
いや、ソゾ×ジゼ?
待って、コゴ + ソゾ + ジゼなの!?
「……リト?」
不穏を感じたらしいジゼの目に刺された。
ブルン!
サザが面白そうに鼻を鳴らしてる。
「おうまさん!」
そうっとちっちゃな指で首を撫でて、ちっちゃなお背なの翼がぱたぱた2倍速になってるレォンが、天使だ。
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