【完結】もふもふ獣人転生

  *  ゆるゆ

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おしえてくだしあ

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『ジゼの将来の伴侶』という夢の地位を獲得してしまったリトには、重大な任務があるのです!

 それは!

 主人公アリアスの本命を突きとめることだよ!


 だって、お話の主人公はアリアスだよ。
 リトはモブでさえない。

 いくら今ジゼがリトをかわいいと言ってくれていても『おっきくなったら、思ってたのと違った!』とか『なんか飽きた』とか『気持ちが急に冷めた』とか『アリアスが突然可愛く見えてたまらない!』とか、色々、色々あると思うのです!

 リトが願うのは、ジゼのしあわせだ。

 ほんとうに、それだけだ。

 ジゼがしあわせだと思ってくれるなら、リトはとろけるしあわせを抱えて伴侶になりたいし、ジゼが『やっぱりリトは違うな』と思うなら、できたら遠くからでもジゼのしあわせを見守りたい。

 ほんとうにジゼがしあわせになるためには、やっぱりアリアスの愛が必要なんじゃないのかな、と心配なリトは、ジゼのおつきで帝太子ルァルのお茶会に呼ばれた帰り際に、ちょこんとアリアスの衣の裾にふれる。


「あ、あの、アリアスしゃま、お話……」

「なんだこの可愛い生き物はぁアァ──!」

 爛々した桜の目のアリアスに抱きしめられました。


「リト、伴侶になろうと約束して早々に浮気とは、中々に酷いと思うのだが」

 ジゼの周りに魔界が発生してる。

 あわあわリトはぶんぶん首を振った。
 耳もしっぽも、びゅんびゅん揺れる。

「ちちちちがぅ、でし! あ、あのあの……アリアスしゃま、聞きたぃ、こと……」

「勿論何でも聞いて、リト! はー、かわいー! はーいー匂いするー!」

 抱っこされて、吸われました。

「こらアリアス、ジゼを煽るのは止めてやれ」

 ルァルが肩を揺らして笑ってる。

「そんなまさかジセさまを煽るつもりなんて微塵もございません! リトが自分から僕にさわってくれるなんて、至福なだけです──!」

 拳を握って力説するアリアスに、うむうむしかけたジゼが首を振ってる。


「リト、俺が同席して聴いてはだめなのか」

「……ふぇ……」

『だめ』なんて言いたくないのですが、だってだって、ジゼしゃまが本命だったときは──!


 泣きだしそうなリトを、アリアスの腕が抱えてくれる。

「ちょっと個室を貸してください、ルァル殿下! ジゼさまはちょこっとだけお待ちくださいね! 誓って何にもしませんから安心してください!」

 認可の手をルァルが挙げてくれて、案内してくれる侍従の後を追いかけて、アリアスがリトを抱っこしたまま運んでくれました。

 力持ちだ!
 さすが主人公!

 しっかり扉を閉めて、誰もいないことを確認したアリアスが、耳もしっぽもぺしょぺしょなリトの顔を覗きこむ。

「ああ、泣かないで、リト! 何かあったの? どうしたの?」

 なでなでしてくれる主人公が、やさしい。

 意を決したリトは、顔をあげる。

「だ、大事な、お話、なのでし」

「うん」

「答えて、ほし、でし」

「うん」

 リトは息を吸う。


「アリアスしゃま、本命、は……?」

 きょとんとしたアリアスが、瞬いた。


「え?」

「……アリアスしゃま、ほんとの、ほんと、ジゼしゃまが……?」


 口にするだけで、泣きそうだ。









────────────

 読んでくださって、ありがとうございます!

 nashiumai 様のリクエストで『アリアスしゃまの想い人エピソード』もうちょっと続きます!

 楽しんでくださったら、とてもうれしいです。





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