もふもふ獣人転生

  *  ゆるゆ

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舞踏会編

あいしてる

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 ジゼの周りに凍気が閃いた。

「リト、言っていいことと、悪いことがある」


 低い、低い声に、リトは、目をみはる。


「あ、あの、あの……」

 ジゼに叱られることなんて、滅多とない。
 びっくりして、うろたえるリトに、低い声が降る。


「俺がアリアスと、などと二度と言うな」

 ジゼのおでこと、リトのおでこが、くっついた。


「俺が愛しているのは?」

 リトの頬が熱くなる。


「答えて、リト」

 近すぎて焦点のあわない目で、リトはジゼを見あげる。


「……ぼく……?」


「首をかしげるな」

 ぎゅう

 抱きしめてくれるジゼの胸に、熱い頬をよせる。


「ぁい、ジゼしゃま」

 ちいさな手を、そっとジゼの背に回した。


 愛しい背を、抱きしめる。



「僕、この世界と、ちがう世界、に、産まれて、生きた、記憶、ある、でし。
 その世界で、ジゼしゃまも、ルァル殿下も、アリアスしゃまも、皆、ゲームの、登場人物、でしあ」

「げーむ?」

「主人公、アリアスしゃまに、なりきって、ジゼしゃまや、ルァル殿下と、恋愛、すゆ、ゲーム……えと、自分が選択、する、行動や、言動で、誰とくっつく、か、しあわせに、なれゆか、変わる、お話、でし」

 凛々しい眉をしかめつつ、ジゼがうなずいてくれる。


「レォンしゃま、の、ことも、魔界の、境界、薄くなゆ、ことも、ゲーム、に、ありましあ」

「……予知のようなものか。その通りに進んでいるのか?」

 リトは首を振る。


「アリアスしゃま、しゅきなの、幼馴染み、でし。レォンしゃま、おやさし、でし。魔界、境界、閉じたの、おとたま、でし」

「リトだろう」

「おとたま、の、力、でし。
 ゲームでは、アリアスしゃま、活躍すゆ。闇龍を、皆と倒し、魔界の、境界塞ぎ、ジゼしゃま、ルァル殿下、カィトしゃま、ノァしゃま、ナティヒ殿下、のうちの誰か、と、しあわせ、なゆでし」

「全然ちがうぞ」

「あい。皆、18歳、時の、お話、でし」

 眉をひそめたジゼは、リトの顔を覗きこむ。


「破天荒な話だから、俺に言いにくかった?」

 ぎゅっと、リトは、唇を噛んだ。


「……ジゼしゃま、アリアスしゃまと、なかよし、ぴんくの、桜、えと、お花、舞うでし。アリアスしゃまと、僕だけ、見えゆ。ジゼしゃま、アリアスしゃま、しゅきに、なゆか、も……って──」

「ありえない」

 断言するジゼの周りに凍気が渦巻いて、しっぽがぼわりとなるリトに、すぐに消えた。


「リトが心配するようなことがあったなら、すまなく思う。
 俺がアリアスに対してよいなと思ったのは、リトを可愛がってくれるからだ」

「……え……?」

「リトを、恋愛の意味でなく愛してくれる人は、俺にとっても大切な人だ」

 やさしい瞳で、微笑んでくれる。


「……ジゼしゃま……」


「リトしか見えない。それをリトが知らないなんて、だめだ」

 あたたかな腕が、抱きしめてくれる。


「リトが何を言っても、リトの過去に何があったとしても、頭がおかしいとか、気もちわるいとか、リトを厭うようなことは、決してしない」

 おでこをくっつけて、ささやいてくれる。


「信じてもらえるように、これからもずっと、リトをあいしてる」

 あふれる涙を、さらってくれる。


「……ジゼしゃま……」


「返事は?」

 紅い頬で、ジゼが笑ってくれる。



 ちいさな手で、リトはジゼを抱きしめる。



 そう、いつだって、リトは、ずっと、ずっと


「ジゼしゃまを、あいしてゆ」








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