もふもふ獣人に転生したら最愛の推しに溺愛されています

  *  ゆるゆ

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舞踏会編

前世の記憶

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 決意のリトのぽふぽふしっぽとともに、治水ダムの視察が終わりました。

 皆の顔が赤くて、お風邪じゃないのか、ちょっと心配です。

「宿にご案内するにはすこし早いお時間です。国境の街ゆえ、あまり見るところもないのですが、どこかご覧になりたいところはございますか?」

 微笑んで聞いてくれるジゼが、完璧です!

 ぱちぱち拍手するリトに、ジゼがほんのり朱くなって

「リトたん、身内に拍手するのは、身内しかいないところで……!」

 透夜たんが、いさめてくれました。

 さすが転生者、12歳と思えない突っこみです。

「ありあと、ござまし」

 丁寧に透夜に頭をさげたリトは、ノィユとヴィル、ロダにも頭をさげる。

「失礼、しましあ」

「はぅあ……!」

 真っ赤になったノィユがもだもだして、ヴィルとロダも赤くなってる。
 心配でし。


「あ、あの、もしよかったら、市場を見たいです! どんな野菜やお肉や食べ物が売られてるのかなって」

 ちっちゃな手を挙げるノィユに、ジゼがしゃっとルァル殿下に確認をとってくれて、街の夕市を案内することになりました。


「きゃ──! すごい! お野菜、いっぱい!」

「お肉もある!」

「わあ、串焼き! 何のお肉ですか!?」

「変わった香りー! 香辛料? なにこれ!」

 はしゃぐノィユの熱量がすごい……!

「ノィユ、おちついて」

 ひょいとノィユを抱きあげるヴィルが、大人です。

「ヴィル、すごいよ!」

「うん」

「あっち! あの屋台で何か売ってる!」

「うん」

 ノィユの熱量は変わらず、ヴィル抱っこが加わっただけでした……


「とてもよい伴侶だな」

 微笑むジゼの小指を、きゅ、とにぎってしまう。

「……ジゼしゃま……」

 ふりかえってくれたジゼが、耳まで真紅だ。

「リトが、いちばんだから」

 敵国の使者の前で、抱っこできないから。

 ささやいて、ぎゅっと手をにぎってくれた。





 夜が降る。

「ネメド王国との国境の街で、充分な設備のある宿をご用意できず、誠に申しわけないのですが、どうか本日だけはお許しいただけないでしょうか」

 ジゼが案内した宿に、ネメド王国の皆も、よい子の隠密団の皆も、ぽかんと口を開けた。

「めちゃくちゃ立派です──! きゃ──!」

 ノィユが踊ってくれました!
 ロロァとよい子の隠密団の皆も、輪になって踊ってる!

 かわいい! 混ざりたい!

 しっぽ、ぽふぽふのリトに、ジゼが赤くなってる。

「まざる?」

 やさしい瞳で笑ってくれる。

「い、いぃでしあ?」

「行っておいで」

「あい!」

 リトも一緒になって、おどりました!

 皆がめちゃくちゃ笑顔で、真っ赤なほっぺで歓迎してくれました。うれしい。





 お風呂あがりのジゼさまは、つやつやだ。

 うっとりとろけたリトは、丁寧にジゼの月の髪をタオルオフしてゆく。

「ジゼしゃま、きらきら、でし」

 熱い頬で笑ったら、きょとんとしたジゼがリトの腰を抱きよせた。


「リトのほうが、ずっときらきらだ」

 ふうわり紅いまなじりで、笑ってくれる。

 ジゼが笑ってくれるたび、胸が熱くて、痛くて、くるしくて、指先まであまいしびれが駆けてゆく。


「ジゼしゃま」

 ほんのり乾いた月の髪を、抱きしめる。


「……僕、前世の、記憶、あるの、でし」

 押しだした声は、ふるえてた。


「ぜんせ?」

「この世界、生まれゆ、前の、記憶、でし。ちがう世界で、生きてた、記憶」

 リトは、そっと息を吸う。


「ジゼしゃまは、前世の、BLゲームに、出てきた、攻略対象、で、アリアスしゃまと、結ばれる、人でしあ」







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