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できゆ?
「ぉくしゅり、のんで、おさけ、やめゆ。できゆ?」
心配で見あげる僕に、切なそうな顔をしたおじちゃんはうなずいた。
「が、がんばるよ、ちっちゃいの!
いや、最近、酒があんまり、美味くなくてさ、おかしいなとは思ってたんだ……」
もしゃもしゃの眉が、しょんぼり下がる。
「……俺、病気なのか……」
おじちゃんのおひざを、ぽんぽんした僕は、微笑んだ。
「びょーき、きくと、しょんぼり、しちゃぅ、けど、からだの、ちょーし、ちょこっと、よくなぃの。
からだ、いっしょー、けんめー、げんき、なりょぅって、がんばて、くれてゆ!
たしゅけて、あげて、ほしぃ、の」
おじちゃんの目が、まるくなる。
「が、頑張ってくれてんのか……!」
こっくり僕はうなずいた。
「だかや、ぉじちゃん、だるぃ、だけなにょ。
ほんとは、とっても、からだ、くるしぃ。でも、おじちゃんに、げんきで、いて、ほしくて、からだ、いっしょー、けんめー、がんばてゆ!」
「そうなのか……!」
ぎゅっと目を閉じたおじちゃんが、涙をぬぐう。
「……俺、お酒やめるよ。
ちっちゃいのの話を聞くまで、ほんとうは、ちょこっとだけなら酒を飲んでも平気なんじゃないかって思ってたんだ。
でも苦しいのに、俺が追い打ちをかけたら、ひどいよな」
「ぉじちゃん、やさしぃ。ありがとぅ!」
「いやいや俺の方こそ、ありがとうだよ!
しっかり見てくれてありがとうな、ちっちゃいの!」
ほんのり涙の目で笑ってくれるおじちゃんに、僕は、ちっちゃな胸を張る。
「ちっちゃぃ、ぼく、ぽて」
「そうか! おいちゃんは、アィクだ」
差しだしてくれた手は、今までずっと頑張ってきた、ぶあつい手だ。
ほんのり黄を帯びていた。
ぎゅっと握った僕は、チタと、むーちゃんを、ふりかえる。
「ぉくしゅり、ちゅくゆ!
でも、ぼくの、やくそぅ、だめ……?」
そうっと聞いたら、残念そうに眉を下げたチタが、うなずいた。
「薬士同盟の中で、公認薬士が認可して処方する薬だから、既存のものを使ってほしい」
「あい」
僕はチタが出してくれた薬草の粉末の中から、一番おじちゃんに合うものを選び出す。
おんなじ、乾燥させた薬草でも、ちょこっとずつ、袋によって成分が違うんだよ。
薄い木の板に書いた配合を見せたら、チタの目が、まるくなる。
「……ぽて、本当にすごい……!
肝の臓の病だって分かっただけでもすごいのに、処方はこれ、アィクさんの体格とかを見て変えたんだよね」
「あい!」
こっくりうなずく僕に、ムニャが拍手してくれた。
「僕が、いらないくらい、ぽてが、すごいよ!」
「そにゃ、こと、なぃ!
むーちゃんの、となり、だかや、ぼく、がんばれゆ、の」
ふわふわ熱い頬で笑ったら、紅くなった頬でムニャが抱っこしてくれる。
やさしく目をほそめたチタは、微笑んだ。
「ふたりで、ひとりの薬士なんだから、ムニャも意見を言っていいんだよ。
この薬に足すとしたら? 引くとしたら? ムニャなら、どうする?」
しばらく考えたムニャは、ささやいた。
「ぽては、アィクのことを思って滋養強壮の薬を入れているけれど、滋養強壮の薬は解毒とはちょっと相容れない感じがするよね。
今は毒を排出することに、全力を尽くした方がいいかもしれない」
そうっと気づかわしそうに僕を見てくれる、むーちゃんのやさしさが、あふれてる!
「にゃるほろ! むーちゃん、すごぃ!」
「ぽてが、すごいんだよ!」
抱っこしてくれる、むーちゃんが、今日も、とってもやさしいです。
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ずっと読んでくださって、ほんとうにありがとうございます!
近況ボードでも、お知らせしたのですが『もふもふ獣人に転生したら最愛の推しに溺愛されています』というお話が、第12回BL大賞さまで選んでくださった編集部の皆さま、多大なるご尽力をたまわりました編集者さま、応援してくださった皆さまのおかげで、本になることになりました! イラストは、サマミヤアカザさまです!
web版3人称から書籍1人称になり、折れた肩で(笑)ほぼ全文を書き直し、新しいエピソードがたくさん入って376Pで、web版は5月17日まで無料です!
もしよかったら、今のうちに無料のweb版を楽しんでくださったら、5月18日にレンタルに切り替わったときは、サマミヤアカザさまのイラストとともに、渾身の書き直しを(笑)無料部分だけでも楽しんでくださったら、とても、とてもうれしいです!
ぽて と むーちゃんを書きはじめて、もう3か月なのです!
冬が終わってしまったのに、まだぽて と むーちゃんは雪のなかに!(笑)
悪役令息でも異世界転生でもオメガバースでも離縁でも破棄でもない(笑)3歳の、ぽて と むーちゃんのお話を、こんなに長く続けることができているのは、お忙しいなか、お時間をつくって読んでくださる方、お気に入りに入れてくださった方、いいねやエール、ご感想で応援してくださる方のおかげです!
ぽて と むーちゃんのお話は書くのがとても楽しくて、長くなってしまったのですが、ちゃんと完結させられるように、がんばりますね!
いつも見てくださって、心から、ありがとうございます!
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