僕の、しあわせ辺境暮らし

  *  ゆるゆ

文字の大きさ
116 / 119

できゆ?




「ぉくしゅり、のんで、おさけ、やめゆ。できゆ?」

 心配で見あげる僕に、切なそうな顔をしたおじちゃんはうなずいた。

「が、がんばるよ、ちっちゃいの!
 いや、最近、酒があんまり、美味くなくてさ、おかしいなとは思ってたんだ……」

 もしゃもしゃの眉が、しょんぼり下がる。

「……俺、病気なのか……」

 おじちゃんのおひざを、ぽんぽんした僕は、微笑んだ。

「びょーき、きくと、しょんぼり、しちゃぅ、けど、からだの、ちょーし、ちょこっと、よくなぃの。
 からだ、いっしょー、けんめー、げんき、なりょぅって、がんばて、くれてゆ!
 たしゅけて、あげて、ほしぃ、の」

 おじちゃんの目が、まるくなる。

「が、頑張ってくれてんのか……!」

 こっくり僕はうなずいた。

「だかや、ぉじちゃん、だるぃ、だけなにょ。
 ほんとは、とっても、からだ、くるしぃ。でも、おじちゃんに、げんきで、いて、ほしくて、からだ、いっしょー、けんめー、がんばてゆ!」

「そうなのか……!」

 ぎゅっと目を閉じたおじちゃんが、涙をぬぐう。

「……俺、お酒やめるよ。
 ちっちゃいのの話を聞くまで、ほんとうは、ちょこっとだけなら酒を飲んでも平気なんじゃないかって思ってたんだ。
 でも苦しいのに、俺が追い打ちをかけたら、ひどいよな」

「ぉじちゃん、やさしぃ。ありがとぅ!」

「いやいや俺の方こそ、ありがとうだよ!
 しっかり見てくれてありがとうな、ちっちゃいの!」

 ほんのり涙の目で笑ってくれるおじちゃんに、僕は、ちっちゃな胸を張る。

「ちっちゃぃ、ぼく、ぽて」

「そうか! おいちゃんは、アィクだ」

 差しだしてくれた手は、今までずっと頑張ってきた、ぶあつい手だ。
 ほんのり黄を帯びていた。

 ぎゅっと握った僕は、チタと、むーちゃんを、ふりかえる。

「ぉくしゅり、ちゅくゆ!
 でも、ぼくの、やくそぅ、だめ……?」

 そうっと聞いたら、残念そうに眉を下げたチタが、うなずいた。

「薬士同盟の中で、公認薬士が認可して処方する薬だから、既存のものを使ってほしい」

「あい」

 僕はチタが出してくれた薬草の粉末の中から、一番おじちゃんに合うものを選び出す。
 おんなじ、乾燥させた薬草でも、ちょこっとずつ、袋によって成分が違うんだよ。

 薄い木の板に書いた配合を見せたら、チタの目が、まるくなる。

「……ぽて、本当にすごい……!
 肝の臓の病だって分かっただけでもすごいのに、処方はこれ、アィクさんの体格とかを見て変えたんだよね」

「あい!」

 こっくりうなずく僕に、ムニャが拍手してくれた。

「僕が、いらないくらい、ぽてが、すごいよ!」

「そにゃ、こと、なぃ!
 むーちゃんの、となり、だかや、ぼく、がんばれゆ、の」

 ふわふわ熱い頬で笑ったら、紅くなった頬でムニャが抱っこしてくれる。
 やさしく目をほそめたチタは、微笑んだ。

「ふたりで、ひとりの薬士なんだから、ムニャも意見を言っていいんだよ。
 この薬に足すとしたら? 引くとしたら? ムニャなら、どうする?」

 しばらく考えたムニャは、ささやいた。

「ぽては、アィクのことを思って滋養強壮の薬を入れているけれど、滋養強壮の薬は解毒とはちょっと相容れない感じがするよね。
 今は毒を排出することに、全力を尽くした方がいいかもしれない」

 そうっと気づかわしそうに僕を見てくれる、むーちゃんのやさしさが、あふれてる!

「にゃるほろ! むーちゃん、すごぃ!」

「ぽてが、すごいんだよ!」

 抱っこしてくれる、むーちゃんが、今日も、とってもやさしいです。










 ────────────────


 ずっと読んでくださって、ほんとうにありがとうございます!

 近況ボードでも、お知らせしたのですが『もふもふ獣人に転生したら最愛の推しに溺愛されています』というお話が、第12回BL大賞さまで選んでくださった編集部の皆さま、多大なるご尽力をたまわりました編集者さま、応援してくださった皆さまのおかげで、本になることになりました! イラストは、サマミヤアカザさまです!

 web版3人称から書籍1人称になり、折れた肩で(笑)ほぼ全文を書き直し、新しいエピソードがたくさん入って376Pで、web版は5月17日まで無料です!

 もしよかったら、今のうちに無料のweb版を楽しんでくださったら、5月18日にレンタルに切り替わったときは、サマミヤアカザさまのイラストとともに、渾身の書き直しを(笑)無料部分だけでも楽しんでくださったら、とても、とてもうれしいです!

 ぽて と むーちゃんを書きはじめて、もう3か月なのです!
 冬が終わってしまったのに、まだぽて と むーちゃんは雪のなかに!(笑)

 悪役令息でも異世界転生でもオメガバースでも離縁でも破棄でもない(笑)3歳の、ぽて と むーちゃんのお話を、こんなに長く続けることができているのは、お忙しいなか、お時間をつくって読んでくださる方、お気に入りに入れてくださった方、いいねやエール、ご感想で応援してくださる方のおかげです!

 ぽて と むーちゃんのお話は書くのがとても楽しくて、長くなってしまったのですが、ちゃんと完結させられるように、がんばりますね!


 いつも見てくださって、心から、ありがとうございます!




感想 96

あなたにおすすめの小説

公爵家令息の想い人

なこ
BL
公爵家の次男リュシエルは、婚約者である王太子ランスロットに全てを捧げていた。 それは目に見える形の献身ではなく、陰日向に尽くす甲斐甲斐しいものだ。 学園にいる間は多くの者と交流を図りたいと言うランスロットの申し出でさえも、リュシエルは素直に受け入れた。 ランスロットは側近候補の宰相令息と騎士家系の令息、そして平民から伯爵家に養子縁組されたリオルに囲まれ、学園生活を満喫している。 彼等はいつも一緒だ。 笑いに溢れ、仲睦まじく、他者が入り込める隙間はない。 リュシエルは何度もランスロットに苦言を呈した。 もっと多くの者と交流を持つべきだと。初めにそう告げてきたのは、ランスロットではないかと。 だが、その苦言が彼等に届くことのないまま、時は流れ卒園を迎える。 学園の卒業と共に、リュシエルは本格的に王宮へと入り、間も無く婚姻がなされる予定だった。 卒業の式典が終わり、学生たちが初めて迎える公式な社交の場、卒業生やその親族達が集う中、リュシエルは誰にもエスコートされることなく、一人ポツンと彼等と対峙していた。 「リュシエル、其方との婚約解消を陛下も公爵家も、既に了承済みだ。」 ランスロットの言葉に、これまで一度も毅然とした態度を崩すことのなかったリュシエルは、信じられないと膝から崩れ落ちた。 思い付きで書き上げました。 全3話 他の連載途絶えている方も、ぼちぼち書き始める予定です 書くことに億劫になり、リハビリ的に思いつくまま書いたので、矛盾とか色々スルーして頂けるとありがたいです

私、公爵令嬢ミリアは、指ごと婚約指輪を盗られ、死んだことにされましたが、婚約者だった王太子と裏切り者の侍女の結婚式に参列し、復讐します!

大濠泉
ファンタジー
宝石を産出する豊かな王国に、〈宝石の姫〉と称される公爵令嬢ミリアがいました。 彼女はラモス王太子との結婚を間近に控え、幸せ絶頂でした。 そんなときに、王太子と〈薬草の森〉へと旅行することになりました。 ところが、いきなり王太子によって馬車から突き落とされてしまったのです。 しかも、長年仕えてくれていた侍女エイミーに平手打ちを喰らった挙句、ナイフでネックレスを切り裂かれ、指も切り落とされて、婚約指輪までもが奪われてしまいました。 そのまま森の中に打ち捨てられてしまい、やがて、大型蛇の魔獣が、牙を剥き出して迫ってきてーー。 ※ざまぁ系のストーリーです。 ※他サイトでも掲載しています。

愛されたいだけなのに

まさお
BL
我儘令息だったノアは一回目の人生で最愛の人からの裏切りの末、殺される。 気がつくと人生が巻き戻っていて人生二週目が始まる。 しかしまた殺される。 何度も何度も繰り返した人生の中で自分が愛されることを諦めてしまう。

人生はままならない

野埜乃のの
BL
「おまえとは番にならない」 結婚して迎えた初夜。彼はそう僕にそう告げた。 異世界オメガバース ツイノベです

「三番以下を取りなさい」と五年言われ続けたので、公開試験で本気を出しました

歩人
ファンタジー
王立魔法学院、入学時首席のリュシエンヌは、婚約者レイナルト公爵令息から五年間「女は三番以下を取れ」と命じられてきた。学院の序列は国家序列の縮図。レイナルトは常に一位に居続けた。婚約披露を控えた十九歳の春、レイナルトが新しい婚約者を連れて告げる。「お前では並び立てぬ。学力も身分も、足りなすぎる」——リュシエンヌは微笑んで、その翌日の年次公開試験で、五年封じてきた本気を出した。国王臨席の場で、史上最高点。魔法局長官が教授陣に命じる。「過去五年間の彼女の実測点と、もし本気で受けていたら出せた推計点を、公表したまえ」。教授陣は震える手で数字を並べた。レイナルトの「首席」は、全て彼女が譲った場所だった。

公爵令息は悪女に誑かされた王太子に婚約破棄追放される。

克全
BL
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

ふしだらオメガ王子の嫁入り

金剛@キット
BL
初恋の騎士の気を引くために、ふしだらなフリをして、嫁ぎ先が無くなったペルデルセ王子Ωは、10番目の側妃として、隣国へ嫁ぐコトが決まった。孤独が染みる冷たい後宮で、王子は何を思い生きるのか? お話に都合の良い、ユルユル設定のオメガバースです。

生徒会長の公爵家嫡男に見初められました!

統子
BL
真面目な新入生が、生徒会長に目をつけられた。 ただそれだけのはずなのに、 気づけば逃げられなくなっていた。 これは、最初から決まっていた“出会い”の話。