【完結】非モテアラサーですが、あやかしには溺愛されるようです

  *  ゆるゆ

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……またのぼせそうです……

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「そ、そろそろのぼせそうです……!」

 どきどきが動悸に変わりそうで、あわてて申告した私に、陵ががばりと起きあがる。


「ごめん!!
 だいじょぶか!」

 ばしゃりと水音をたてて、おひめさま抱っこしてくれる陵に顔が燃えた。


「だ、だだだいじょうぶ……!
 お、重い、から……!」

 陵はちょっと黙った。


「米俵よりは……?」

「……10㎏は遥かに超えています……」

 申告した。
 吹き出して笑う陵の振動が、肌を通して伝わる。


「よかった、笑ってくれたね」

 陵の頬にそっと指を伸ばしたら、紅い眦で陵が抱きしめてくれる。


「……ちゃんと、話すから。
 聞いてくれる……?」

「もちろん!」

 ぎゅう、と抱きしめたら、ちょっと緊張した顔で陵はほのかに笑った。


「……髪、洗ってあげる」

 陵の長い指が、私の髪をやさしく撫でる。


「あ、あのあの……」

「約束」

 笑った陵が、後ろから抱きしめてくれた。




 ふわふわ白いシャンプーは、花の香りがする。

「……陵と、おそろい?」

 わしゃわしゃ髪を洗ってくれる陵を見あげたら、陵は首を振った。


「まだ洗ってない。
 これ、結芽のために用意したものだから……」

「おそろいがいい!
 洗ってあげる!」

 にこにこして指を伸ばしたら、陵がびみょうな顔になる。


「……いや?」

 しょんぼりしたら、陵は首を振った。


「違う、俺から花の香りがするのって気持ちわるくないか……?」

「ジェンダー差別反対!」

 手を挙げたら、陵が笑った。


「そうだな、ごめん。
 じゃあ、結芽とおそろいにして」

「してあげる!」

 とろけて笑って、乳白色のシャンプーを泡立てる。
 ほわほわ立ち昇る花の香りが、ちょっと照れくさそうな陵を包みゆく。


「陵、物凄くいい匂いつけてるよね。
 香りが喧嘩しないといいなあ」

 白銀の髪に指を滑らせて、さらさらの髪を白い泡で包んでゆく。


「……つけてない」

 ぽそりと呟かれた言葉に、首を傾げる。


「え?」

「……それも、ちゃんと話す。
 風呂場で裸で話すのってちょっと……」

 照れくさそうに笑う陵に、あわあわ頷いた。


 泣いてる陵を慰めたくて、励ましたくて一生懸命で忘れ果ててた――――!
 陵のものすごくきれいな裸体が目の前に――――!!

 耳まで燃える私に、陵が笑う。


「ずっと、抱きしめてくれたのに」

 喉を鳴らして笑う陵に、熱い頬でふくれた。


「陵が、泣いてたから……!」

「……うん。
 ありがとう、結芽」

 ぎゅ、と陵が抱きしめてくれる。


「結芽だから、言おうと思った。
 …………きらわれても」

 ふるえた声に、首を振る。


「絶対、そんなことしない!」

 白銀の瞳が、私を見つめる。


「…………聞いてから、決めて」

 ちいさな声に、頷いた。


 陵の大きな手を、私のちいさな手で、握る。

 さみしげに微笑んだ陵は、また私の髪を洗うのを再開してくれた。


 わしゃわしゃ、泡が立つたび、花の香りが舞いあがる。

 向かい合わせになって、陵の髪に指をのばした。
 やさしく、傷つけないように、指の腹で地肌と髪を洗ってゆく。


「……きもちいー……」

 うっとり目を細めて笑う陵が、とびきり可愛くて。


「陵の手も、やさしくてきもちいー」

 笑ったら、陵が耳まで真っ赤になった。






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