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……またのぼせそうです……
しおりを挟む「そ、そろそろのぼせそうです……!」
どきどきが動悸に変わりそうで、あわてて申告した私に、陵ががばりと起きあがる。
「ごめん!!
だいじょぶか!」
ばしゃりと水音をたてて、おひめさま抱っこしてくれる陵に顔が燃えた。
「だ、だだだいじょうぶ……!
お、重い、から……!」
陵はちょっと黙った。
「米俵よりは……?」
「……10㎏は遥かに超えています……」
申告した。
吹き出して笑う陵の振動が、肌を通して伝わる。
「よかった、笑ってくれたね」
陵の頬にそっと指を伸ばしたら、紅い眦で陵が抱きしめてくれる。
「……ちゃんと、話すから。
聞いてくれる……?」
「もちろん!」
ぎゅう、と抱きしめたら、ちょっと緊張した顔で陵はほのかに笑った。
「……髪、洗ってあげる」
陵の長い指が、私の髪をやさしく撫でる。
「あ、あのあの……」
「約束」
笑った陵が、後ろから抱きしめてくれた。
ふわふわ白いシャンプーは、花の香りがする。
「……陵と、おそろい?」
わしゃわしゃ髪を洗ってくれる陵を見あげたら、陵は首を振った。
「まだ洗ってない。
これ、結芽のために用意したものだから……」
「おそろいがいい!
洗ってあげる!」
にこにこして指を伸ばしたら、陵がびみょうな顔になる。
「……いや?」
しょんぼりしたら、陵は首を振った。
「違う、俺から花の香りがするのって気持ちわるくないか……?」
「ジェンダー差別反対!」
手を挙げたら、陵が笑った。
「そうだな、ごめん。
じゃあ、結芽とおそろいにして」
「してあげる!」
とろけて笑って、乳白色のシャンプーを泡立てる。
ほわほわ立ち昇る花の香りが、ちょっと照れくさそうな陵を包みゆく。
「陵、物凄くいい匂いつけてるよね。
香りが喧嘩しないといいなあ」
白銀の髪に指を滑らせて、さらさらの髪を白い泡で包んでゆく。
「……つけてない」
ぽそりと呟かれた言葉に、首を傾げる。
「え?」
「……それも、ちゃんと話す。
風呂場で裸で話すのってちょっと……」
照れくさそうに笑う陵に、あわあわ頷いた。
泣いてる陵を慰めたくて、励ましたくて一生懸命で忘れ果ててた――――!
陵のものすごくきれいな裸体が目の前に――――!!
耳まで燃える私に、陵が笑う。
「ずっと、抱きしめてくれたのに」
喉を鳴らして笑う陵に、熱い頬でふくれた。
「陵が、泣いてたから……!」
「……うん。
ありがとう、結芽」
ぎゅ、と陵が抱きしめてくれる。
「結芽だから、言おうと思った。
…………きらわれても」
ふるえた声に、首を振る。
「絶対、そんなことしない!」
白銀の瞳が、私を見つめる。
「…………聞いてから、決めて」
ちいさな声に、頷いた。
陵の大きな手を、私のちいさな手で、握る。
さみしげに微笑んだ陵は、また私の髪を洗うのを再開してくれた。
わしゃわしゃ、泡が立つたび、花の香りが舞いあがる。
向かい合わせになって、陵の髪に指をのばした。
やさしく、傷つけないように、指の腹で地肌と髪を洗ってゆく。
「……きもちいー……」
うっとり目を細めて笑う陵が、とびきり可愛くて。
「陵の手も、やさしくてきもちいー」
笑ったら、陵が耳まで真っ赤になった。
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