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告白
しおりを挟むふるえる陵の背に、そっと、手を伸ばす。
「絶対、きらわない。
教えて、陵」
陵は、首を振った。
濡れた洗い髪が、肌に触れる。
「……ごちそうって言ってた。
白銀の皆は、私の命を、食べる、の……?」
囁いたら、陵が息をのむ。
「違う――――!!」
陵の叫びが、肌を揺らした。
陵の苦しみを、哀しみを、怯えを、癒せたらいい。
願いながら、言葉を紡ぐ。
「怖くないって言ったら、嘘だよ。
自分と違うものは、いつだって怖い。
海外の人と話すのに似てる。
ちょっと怖いけど、でも知りたいし、仲良くなりたいよ」
ふるえる陵の背を、そっと撫でる。
「陵が言いたくないことを聞きたいのは、よくないかもしれないけど。
陵が泣いてるなんて、絶対いや」
ぎゅう、と陵を、抱きしめる。
分不相応なのは、痛いくらい、解ってる。
自分の見た目も中身も、全然陵に釣り合わないって。
でも、陵が、ふるえてるから。
励ましたくて。
あふれる想いを、伝えたくて。
消えてしまいそうな勇気を、振り絞る。
「……陵が、すき」
ささやきが、湯気に溶ける。
ぽたり
ぱたり
なめらかな湯に、涙の雫が波紋を描いた。
「泣かないで、陵」
抱きしめて、髪を撫でようとしたら、陵は首を振った。
何度も、首を振った。
「…………俺は、化け物なんだ」
ちいさな声に、息をのむ。
そっと身体を離した陵の髪が白銀に透ける。
切れあがる白銀の瞳を、長い白銀の睫が彩った。
透きとおるように輝く肌から、次元の違うあでやかさが香り立つ。
「…………夢じゃ、なかった?」
そっと、陵の白銀の髪に触れる。
「……きもち、わるい……?」
ふるえる声を、抱きしめる。
「めちゃくちゃきれい」
ささやいて、熱い頬で笑う。
「陵、とびきりきれいだから。
人じゃないって言われたほうが、納得する」
笑う私を茫然と見つめた陵の瞳から、透きとおる涙がこぼれてく。
「泣かないで、陵。
どんな陵も、大すきだよ」
腕を広げて、抱きしめる。
「――――……っ……」
私の肩に顔をうずめて、陵は泣いた。
肌を伝うあたたかな涙を、抱きしめる。
冬の天には数え切れぬ星が瞬き、さやかな光を投げかける。
ふわふわの白い湯気が、冷えてしまいそうな肩を包んでくれる。
陵の涙が止まるように。
広やかな背を、そっと撫でる。
きらきらの白銀の髪は、触れたら白銀の光を振りまいた。
なでなでしたら、陵のちいさなかんばせが、私の肩にぎゅうっと埋まる。
縋るように、抱きしめられて。
包みこむように、抱きしめて。
どきどきが、のぼせるに変わるまで。
ふわふわ白い湯気の満ちる温泉で、陵の涙を抱きしめた。
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