魔法で生きる、この世界

㌧カツ

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Episode.1 これが始まりの物語

8話 ファストの街へ

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「……」

 もうすっかり慣れてしまったベッドの感触を肌に感じながら、僕は目を覚ました。
 窓に掛けられたカーテンの隙間からは、陽の光が細い棒となって射し込んでいる。

 僕はカーテンを開く。
 すると部屋の一部を照らしていただけだった日光が一気に部屋全体に広がる。

 ぼーっと窓の外を見ていると、こちらへ歩いてくる音がした。

「起きてるー? 朝ごはん出来たわよー」

 イレスタだ。
 きっと起こしに来たのだろう。

「今行くよー」

 適当に返事をし、服を着替えて僕自身もリビングへと向かう。

 あの日から今日で三日。
 だんだんここの家にも慣れてきたし、イレスタとコトルマにもある程度の信頼は置いている。

 そろそろ街へ行ってみようか。

 そんなことを考えているうちに、気がつくとすぐにリビングに着いた。

「あぁ、ロトルおはよう」
「おはよう、ロトル」

「うん、おはよう」

 そういえば、この2人にはまだあの『力』のことは話していなかったな。

 しかし、世間にバレればどんな目に遭うか。
 それはあの時十分に思い知ったはずだ。

 あのことを話すのは、もう少し後にしようか?
 いやでも、後からバレてなんで黙ってたんだっていう話になるかもしれないし…
 
 どうすれば…


「ロトル? 大丈夫か?」

 その場で考え込んで固まっていた僕を心配して、コトルマが僕に声をかける。

「え、あぁ、うん……大丈夫だよ」

 こんなこと考えるのは、また今度にしよう。

 そんなことより……

「あの、さ」
「ん、なんだ?」

「そろそろ近くの街に行ってみようと思うんだけど」
「あぁ、いいんじゃないか?」

 え、そんなに軽い感じで大丈夫なんですか?

「街に行くだけなら大丈夫だろう。この辺りは魔物も弱いから、火魔法が使えるロトルなら倒せるはずだしな」
「はぁ……そんなもんなんだ……」

 とりあえず許可っぽいのをもらった僕は、椅子に座り朝食を食べ始める。

 父さん……もこう言ってるし、僕には『熱光線』も使えるから、多分大丈夫なんだろう。


---------------------------------------


「じゃあ、一応気をつけて行くんだぞー」
「行ってらっしゃいね」

「……行ってきます!」

 家に背を向け、僕はファストの街へと歩き出す。

 銀貨を三十枚も貰ったし、ある程度は買い物が出来そうだ。
 大銀貨にしなかったのは、多分細かく出せないと思ってくれたからだろう。
 ありがたや。

「あれを街中でやるのは不味いだろうし、絡まれても目立たない程度に対処するか」

 あんなのを街中でやってみせたら大騒ぎになるだろうし、多分母さん……うん、母さん達にも迷惑がかかるだろう。

「でもその分、誰も見てない所なら全力でやれるってことだ」

 ある程度森の中を進んだところでそう言った僕の前には、どこからともなく現れたスライムが佇んでいる。
 水色でぷよぷよした、まさにスライムに出会ったのだ。

「でも、『火槍』すら使うまでもないかな」

 スライム如きにわざわざそんなもの使ってられないね。
 ちょいと手を突き出し、魔法名を唱える。

「『火球ファイアーボール』」

 すると僕の手の先に火の球が出現し、それがスライムへと飛んでいく。
 魔法がスライムの体に触れた瞬間、スライムは一瞬にして弾け飛んだ。

「ま、このぐらい余裕ですよっと」

 この調子なら簡単にファストの街まで辿り着けそうだ。
 いや、そもそも街に行くのに苦労する方がおかしいんだけどね。


---------------------------------------


この世界の通貨

銅貨一枚     銅貨一枚        銅貨一枚
   ↓×10         ↓×50            ↓×250000
大銅貨一枚    ↓                   ↓
   ↓×5           ↓                   ↓
銀貨一枚     銀貨一枚          ↓
   ↓×10         ↓×50            ↓
大銀貨一枚    ↓                   ↓
   ↓×5           ↓                   ↓
金貨一枚     金貨一枚          ↓
   ↓×10         ↓×100          ↓
大金貨一枚    ↓                   ↓
   ↓×10         ↓                   ↓
王金貨一枚  王金貨一枚    王金貨一枚


ファストの街の

ファスト

という名前の由来ですが
一番目に行く→一番→ファースト→ファスト

という風になっております

というか小説の町の名前とかって大体こんな感じで決まってると思います
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