4 / 185
capture.1
前代未聞
【上のものが支配し
下のものはそれに従う
何をしようと、どうあがこうと
それは変わらない
何も変わりはしないのだ】
新しい制服に身を包み込み
少しの緊張と興奮をない混ぜにした様な
雰囲気が辺りを包みながら、入学式は始まった。
順調に始まっていたのだが
アクシデントというよりは、前代未聞の事態が一つ。
『本校の宮路校長は諸事情のために不在です。代わりに、本校の職員の黒河が挨拶に当たらせていただきます』
マイク越しに伝えられた
その内容は、辺りをざわつかせる
だが、それ以上に
「宮路校長の代わりに、務めさせて頂きます。黒河理人です。どうぞ宜しく」
ニッコリという効果音が馴染む
そんな笑顔をしたかと思うと
辺りは静まり返る。
その青年の笑顔に見惚れた保護者の親たちもいるようだが、それ以上に
その名は言わずと知れた名だった。
日本屈指の財閥の一つ
黒河財閥の息子
しかも、やり手と有名なその人だった。
保護者の方からも少しばかり
張り詰めたような空気が
伝わってくる。
けれど、そんな周囲の状況を
その人は気にも留めないのか
悠々と話を進めていくと
“長い話は、若者にはつらいからね”と
粗方重要なことは話したのか
颯爽と階段を降りていき
その後は、何事もなかったかのように
入学式は進んでいき、幕をとじた。
※
「疲れたぁ~。もう無理。」
入学式が無事終了して
控室のパイプ椅子に大きな音をたてて
座りこんだのは生徒会会計、美波京。
日本人離れしたその金髪。
だが、それでいて不自然ではない美しいと形容するのが相応しい金髪の髪色は誰もが羨むようなものでそれは、きらきらと眩しいほどであった。
美波は、ため息を吐き出し
ネクタイを緩めると
大袈裟にお疲れムードを漂わせていた。
「先生方もまだ近くにいるんだ。ちゃんとしてろ」
控室に入るなり、だらしなくネクタイを緩めた美波に呆れたように視線を送りながら
生徒会会長の唯賀駿はその清潔感溢れる制服のネクタイをきゅっと締め直す。
「そうですよ。会長の言うとおりにしてください、会計の_____美波京くん」
副会長の都筑悠介は後ろで一本に括られている
ストレートの髪を揺らしながら
腰に手を当て、唯賀の意見に同意する。
都築の多芸多才と言われる通りのその佇まいは洗練されたとしか言いようがなかった。
「副会長、今の絶対に嫌味じゃん!外に聞こえるように言ったよねぇ?!」
「さて、なんの事でしょう?とゆうか、美波くんは誰かを気にするような珠でしたっけ?」
「いるじゃんかぁ、一人面倒な奴が。それにしても、二人共真面目すぎんじゃないの~。何で生徒会が入学式に呼び出されなきゃいけないわけ。てゆうか、他の役員はどこ?!」
「あぁ、それなら。『美波にまかせろ』って言っていましたので。今日はお休みです」
「あいつら。」
壁によりかかりながら
にっこりと都筑が美波を諭すように
いうが、それは逆効果だったらしく
美波はプルプルと拳を握った。
「まぁでも、悪いことはないだろ。目的も果たせる訳だし。無理強いはするなよ、お前は惚れっぽくて困る」
唯賀は
簡易な机を挟んで
美波の前のパイプ椅子を引きながら
面倒はおこすなよ、というような
視線を送る。
「別にいいじゃん?でも、それで助かってるわけだし?まぁ、惚れっぽくても俺は恋人には優しくするからね。そこんとこは安心してよ、会長。」
その会話を中断させる
ノックの音を聞き
3人が振り向けば
黒河が扉によしかかっていた
「生徒会がそんな下世話な話してていいのか?」
「黒河先生」
一番、最初に振り向いた
都筑は黒河の存在に気づき
声をあげる。
「ほぅら、面倒なのがきたじゃん。」
「おいおい。だから、先生はやめろって。俺の性には合わないんだ。」
「じゃあ、黒河おじさんで。」
「美波は、そんなに単位を落としたいのか。
さっきの陰口聞こえてたんだが………。
今年は、留年かな。」
「ははっ。………っじょうだんに決まってんじゃん~。」
「まぁ、冗談は程々にして、今年は随分大物揃いらしいな。」
「新入生のことですか」
「ピンポーン、正解!生徒会長流石だね」
「馬鹿にしてるんですか」
「大物揃いと言っても、それは親が、ですし。ここのルールには従って貰わなければいけませんが、耐えられますかね?今年は」
「逃げ出す奴がいないと良いけどね~。特に、大手の財閥の子息様とかね?」
浮足立つ新入生たちは
まだ、誰も知らない
ここは学歴も後ろ盾も通用しない
勝ち残った者だけが勝者となり
残りは、ただの敗者と化す
弱肉強食のその言葉通りの環境である
ことに。
「さてと、今年は誰が生き残ってくるかな。」
厭に楽しげな笑みを浮かべる黒河に
生徒会の面々はそれぞれに面倒そうな溜息をつくのだった。
あなたにおすすめの小説
目立たないでと言われても
みつば
BL
「お願いだから、目立たないで。」
******
山奥にある私立琴森学園。この学園に季節外れの転入生がやってきた。担任に頼まれて転入生の世話をすることになってしまった俺、藤崎湊人。引き受けたはいいけど、この転入生はこの学園の人気者に気に入られてしまって……
25話で本編完結+番外編4話
百合豚、男子校に入る。
揺
BL
百合をこよなく愛する男子高校生・眞辺恵。
母の歪んだ価値観により共学への進学を断たれ、彼が入学させられたのは――
男同士の恋愛が“文化”として成立している、全寮制男子校《私立瑞嶺学園》だった。
この学園では、生徒会長は「抱かれたいランキング」で選ばれ、美貌こそが正義とされる世界。
それでも眞辺は決意する。
生徒会長になり、この学校を“共学”に変え、間近で百合を拝むことを。
立ちはだかるのは、顔面至上主義の学園制度、性に奔放すぎるイケメンな幼馴染、そして彼らに憧れ恋をする生徒たち。
さらに何故か、学園の人気者たちに次々と目をつけられてしまい――。
百合を拝むため男子校を変えようとする異端者が、歪んだ王道学園を改革する物語。
拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件
碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。
状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。
「これ…俺、なのか?」
何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。
《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》
────────────
~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
※第22話を少し修正しました。
※第24話を少し修正しました。
※第25話を少し修正しました。
※第26話を少し修正しました。
※第31話を少し修正しました。
※第32話を少し修正しました。
※第33話を少し修正しました。
────────────
※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!!
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。
笑わない風紀委員長
馬酔木ビシア
BL
風紀委員長の龍神は、容姿端麗で才色兼備だが周囲からは『笑わない風紀委員長』と呼ばれているほど表情の変化が少ない。
が、それは風紀委員として真面目に職務に当たらねばという強い使命感のもと表情含め笑うことが少ないだけであった。
そんなある日、時期外れの転校生がやってきて次々に人気者を手玉に取った事で学園内を混乱に陥れる。 仕事が多くなった龍神が学園内を奔走する内に 彼の表情に接する者が増え始め──
※作者は知識なし・文才なしの一般人ですのでご了承ください。何言っちゃってんのこいつ状態になる可能性大。
※この作品は私が単純にクールでちょっと可愛い男子が書きたかっただけの自己満作品ですので読む際はその点をご了承ください。
※文や誤字脱字へのご指摘はウエルカムです!アンチコメントと荒らしだけはやめて頂きたく……。
※オチ未定。いつかアンケートで決めようかな、なんて思っております。見切り発車ですすみません……。
灰かぶり君
渡里あずま
BL
谷出灰(たに いずりは)十六歳。平凡だが、職業(ケータイ小説家)はちょっと非凡(本人談)。
お嬢様学校でのガールズライフを書いていた彼だったがある日、担当から「次は王道学園物(BL)ね♪」と無茶振りされてしまう。
「出灰君は安心して、王道君を主人公にした王道学園物を書いてちょうだい!」
「……禿げる」
テンション低め(脳内ではお喋り)な主人公の運命はいかに?
※重複投稿作品※
平穏な日常の崩壊。
猫宮乾
BL
中学三年生の冬。母の再婚と義父の勧めにより、私立澪標学園を受験する事になった俺。この頃は、そこが俗に言う『王道学園』だとは知らなかった。そんな俺が、鬼の風紀委員長と呼ばれるようになるまでと、その後の軌跡。※王道学園が舞台の、非王道作品です。俺様(風)生徒会長×(本人平凡だと思ってるけど非凡)風紀委員長。▼他サイトで完結済み、転載です。
2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~
青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」
その言葉を言われたのが社会人2年目の春。
あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。
だが、今はー
「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」
「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」
冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。
貴方の視界に、俺は映らないー。
2人の記念日もずっと1人で祝っている。
あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。
そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。
あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。
ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー
※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。
表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。
不遇聖女様(男)は、国を捨てて闇落ちする覚悟を決めました!
ミクリ21
BL
聖女様(男)は、理不尽な不遇を受けていました。
その不遇は、聖女になった7歳から始まり、現在の15歳まで続きました。
しかし、聖女ラウロはとうとう国を捨てるようです。
何故なら、この世界の成人年齢は15歳だから。
聖女ラウロは、これからは闇落ちをして自由に生きるのだ!!(闇落ちは自称)