花は何時でも憂鬱で

青白

文字の大きさ
15 / 178
capture.1

恨み

しおりを挟む


「今頃、学校では新入生歓迎会のパーティですかねぇ。今年も、やるんですねアレ。
楽しかった、僕達も、半日をかけてやリましたよね、」

「あぁ。そうだな。楽しかった」

「まだ、あれやってんのか~。僕たちもやりましたよね。懐かしいな~」

「怪我がないといいんだがな」

「そういえば、一番、反対してたの天宮くんでしたよね。まぁ、元風紀委員長ですし。当たり前ですね」

「もう、昔の話だ」

アンティーク調の丸机を挟んで
にこやかに笑い、それでいて品が漂う
白がベースの服を着こなす優しげな顔立ちの佐藤財閥の当主、佐藤純と
前髪を後ろに撫で付けて
出された顔は端正としかいいようがない
天宮財閥当主、天宮要がお茶をしていた


「分かりました」

ため息と共に諦めたような口調で佐藤純は
天宮要に肯定の意を溢す

「あなたにそこまで頼まれてイヤですと首を振るほど僕も性格悪くないですから。
天宮くんの息子は、高校3年間こちらの
子供ってことにしときますよ。何かしらの理由があるんでしょ、あなたは昔から変わらない」

「悪いな。アイツのことを頼む」

「心配しないでください。天宮財閥の息子を無下に扱いはしませんよ。それにしても、あんなに大きな息子さんがいたんですね」

「雫とのな」

「結婚の報告を聞いたときは
正直、驚きましたよ。あんなにあの人を、春田くんを追いかけていた二人が結婚してたなんてね」

「それは、お前もだろ。あいつに憧れて焦がれたのは皆、同じだ」

クククと抑えたように純は笑い
それに、若干、要は不機嫌な表情になる

「何だ」

「あなたって、やっぱり馬鹿ですよね。春田くんのことになると。やっぱり、忘れられませんか」

「俺は馬鹿じゃない。アイツが魅力的なだけだ」

「クッ……やっぱり馬鹿ですよ。馬鹿です。そんな天宮くん、教えてくださいよ。
突然、息子を偽名で入学させる理由を」

真っ直ぐ向けられるその瞳に
天宮要は、一つ、深い溜め息をつく


「教えられない、と言いたいところだが
会えばすぐ分かる筈だ、お前なら」

「全然、そんなの答えになってませんよ」




「春くんか。一体、どんな子なんだろうな」

佐藤純は、ベランダで夜風に当たりながら楽しげに口角をあげ、
カップに口をつける。

「それにしても。今まで、噂にも聞いたことないな。天宮くんに息子がいたなんて
時期当主の筈なのになぁ
何でだろ?」


_カタン

室内からの、物音に反応し
部屋を見回せば

「あぁ。写真が」

佐藤純の手にあるのは
一人の男子生徒を中心として
仲良さげに映る沢山の人が映る写真。


『純っ!!ホラ、行くぞっ!』

ゆるりと口元が緩んでいく
その声、その顔、全てが忘れられない。
いや、忘れられる筈もない。



けれど


「春田くん。僕は、君を恨みそうだ」



そう言い切ると
佐藤純は、その写真立てを伏せた。






しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

笑わない風紀委員長

馬酔木ビシア
BL
風紀委員長の龍神は、容姿端麗で才色兼備だが周囲からは『笑わない風紀委員長』と呼ばれているほど表情の変化が少ない。 が、それは風紀委員として真面目に職務に当たらねばという強い使命感のもと表情含め笑うことが少ないだけであった。 そんなある日、時期外れの転校生がやってきて次々に人気者を手玉に取った事で学園内を混乱に陥れる。 仕事が多くなった龍神が学園内を奔走する内に 彼の表情に接する者が増え始め── ※作者は知識なし・文才なしの一般人ですのでご了承ください。何言っちゃってんのこいつ状態になる可能性大。 ※この作品は私が単純にクールでちょっと可愛い男子が書きたかっただけの自己満作品ですので読む際はその点をご了承ください。 ※文や誤字脱字へのご指摘はウエルカムです!アンチコメントと荒らしだけはやめて頂きたく……。 ※オチ未定。いつかアンケートで決めようかな、なんて思っております。見切り発車ですすみません……。

灰かぶり君

渡里あずま
BL
谷出灰(たに いずりは)十六歳。平凡だが、職業(ケータイ小説家)はちょっと非凡(本人談)。 お嬢様学校でのガールズライフを書いていた彼だったがある日、担当から「次は王道学園物(BL)ね♪」と無茶振りされてしまう。 「出灰君は安心して、王道君を主人公にした王道学園物を書いてちょうだい!」 「……禿げる」 テンション低め(脳内ではお喋り)な主人公の運命はいかに? ※重複投稿作品※

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

若頭と小鳥

真木
BL
極悪人といわれる若頭、けれど義弟にだけは優しい。小さくて弱い義弟を構いたくて仕方ない義兄と、自信がなくて病弱な義弟の甘々な日々。

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

人気アイドルグループのリーダーは、気苦労が絶えない

タタミ
BL
大人気5人組アイドルグループ・JETのリーダーである矢代頼は、気苦労が絶えない。 対メンバー、対事務所、対仕事の全てにおいて潤滑剤役を果たす日々を送る最中、矢代は人気2トップの御厨と立花が『仲が良い』では片付けられない距離感になっていることが気にかかり──

処理中です...