花は何時でも憂鬱で

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新歓パーティー2

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荒谷といることによって
向けられる視線が痛い。
荒谷の周りに、わらわらと蜘蛛の子みたいに
次から次へと人が集まってくる。


その視線から逃れようと
視線を反らせば、ピンク頭の担任が
にこやかに俺を手招きしていた。


今度は、なんだと担任の方へと足を向ける。


「何で、あなたがあの資料。運んで来なかったのよ~~っ!」

「………なんのことですか。」

「頼んだでしょう!今日!放課後!
おかげで面倒なことになりそうだったのよ。まぁ、上手く誤魔化しといたけど。」

忘れていた。そういえば、担任に資料を頼まれてあの資料室にいた人に押し付けて帰ったんだった。


「話していないですよね。」

俺があの場所にいたことがこの担任の口から出れば、嘘の名前を言ったことがバレてしまう。

「何の事?」

「あの立入禁止区域に僕がいたことです。」

担任は、俺の言葉にキョトンとした様な
表情を浮かべ瞬きを数回する。
その一挙手一投足に心臓が煩くなる。

本当の名前を言ったことは俺のミスだったけれど、天宮に繋がってしまう手がかりは残したくない。


「言うわけないでしょ。でも、何でそんなこと聞くの?」

「いえ別に。喋ったのであれば、桜崎先生に言われて立入禁止区域に入りましたと、直接、報告しようとと思ってただけなので。」


今後一切、面倒ごとには関わりたくない。


「ちょっと!?私を売る気?!」

「まさか、立入禁止区域に行かされるなんて思ってもいなかったので。」

「分かったわ。こうしましょ。ジュース買ってあげるわ、それでチャラにしましょう。」

「先生、遠くに行ってもお元気でいてください。」

「分かったわ、じゃ、じゃあ。何か私に出来ることあるかしら。何でも言いなさいこれでいいでしょっ!!」

「桜崎」

突然、横からかかった声に
桜崎先生はビクリと肩を震わせる。


その声のする方をみると
入学式で見かけた人が白衣を着て立っていた。


「じゃあ、僕は失礼します。」


頭を下げて、立ち去ろうとすると
桜崎先生に肩を掴まれて耳打ちされる。

「約束、忘れないでよ。私のためにも!」

いかにも必死な顔で告げる桜崎先生に
頭を縦に振って別れた。


「とゆうか、あの人は何で白衣を着てたんだ。」


保険医?
まさか、校長の代わりに挨拶をしたのに。



その格好に疑問は生じるものの
これから、どうしようかと
パーティー会場を見渡す。


帰ってもいいけれど、荒谷が出入り口付近にいることを考えると簡単に寮の部屋に戻れるとは思わない。
取りあえずは、ゆっくりと休める場所がないのか辺りを見回す。でも、座れるような場所は全て埋まっていた。


後、落ち着けるような場所と言えば
外だ。

風に靡いてパタパタとはためくカーテンが目に留まる。
月明かりに照らされて仄明るくなっているカーテンを横切り外に出ると、そこは桜の枝が入り込んでいる場所だった。

「また、桜。とゆうか、
何で、こんなパーティに来てるんだろ。」

「俺も同感や。でもまぁ、桜にそんな感想言うてる奴がおるとは思わんかったわ。雪が聞けば確実に怒るやろな。」


突然の声に、後ろを振り向くと
眼鏡をかけ、いかにも胡散臭そうな
雰囲気の人がにこやかに、いや、にこやかと言うには不似合いなその人は、全てを見透かしてるようなそんな笑い方をしてこちらを見ていた。


「今年は、おもろい子おらんと思っとったんやけど。君、面白そうやなぁ。いや、おもろいと言うより怪しい匂いがするわ。」


誰もいないと思っていたから
より一層、暗がりから現れたその人に驚く。



この人は、誰だ。








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