花は何時でも憂鬱で

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新歓パーティー4

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__ガシャンッ。



大きな物音がした途端に、会場から
聞こえていた騒々しさが一気に掻き消えた。


カーテンから覗けば
誰かの静かな声が響いていた


「俺は席を外す。」

「す、すいまっ、せ、ん。唯賀様」


何だ?
誰かを中心にして静寂が広がっているようなそんな雰囲気は、ピリリと肌がひりつくようだった。


「え、何?どうしたんだ?」

「お前、知らねーの?唯賀会長には、タブーがあんだよ。暗黙の了承ってやつがさ。」

俺は、近くでヒソヒソと話をする
二人の男子生徒の話に耳を傾けた。


「その暗黙の了承ってなに?」

「出しちゃいけない名前があんだよ」

「何かどっかの魔法ファンタジー小説みたいだな。
それでその名前って。」

「ある意味それに近いけどな。
お前も聞いたことあんだろ。この学校の絶対の規則を創った張本人」

「理事長だろ?」

「建前上は、そうなってるらしいけど。実際は、……………。」

「え?!マジで!!」

「マジだ。会長は、その人のことがマジで嫌いらしくて名前を出しただけで、ああなるらしい。」


「アホらしい。子供の癇癪みたいだ。」


でも。
さっき、謝っていた人は大丈夫なのだろうか。
今にも泣き出しそうだった気がしたから。


「ここも変わらないのかもしれない。」

呟きながら
胸元を掴み、指輪を握り込む。


だけど、何時もそこにある感触が
ないことに気づく。

目線を下に落とすけれど
肌身離さず持っている指輪はそこに見る影もなかった。


「ないっ、!」



No side

「まぁまぁ、そのへんにしときや。会長」

張り詰めた空気の中
その場に似合わない軽い声色が響いた。
その登場に、宥められたかのように
会場が段々とさっきまでの表情を取り戻していった。


「瑠夏。」

「瑠夏。あなたは、またバッジ外して。
それでも、生徒会としての自覚があるんですか」

「忘れとったわ。でも、そのおかげか
おもろい子に会ったで。」

生徒会と文字が刻まれるそのバッジを
宙に浮かせては落としを
繰り返しながら瑠夏はそう答える。
その台詞に生徒会の面々の_____唯賀、都筑、美波______は、興味ありげな表情をする。

「それで、誰なんですか?」

「さぁ?知らん。知らんけど、俺のことが分からん奴で、桜を厭そうに見てる新入生やで。」

「瑠夏が、いうなら当たりなんじゃないの~?」

「名前も知らないのか。」

「さぁ?でも、会長アンタを脅かす様な存在が、いずれ出てくるのは確かやろうな。」

「そうか。それは、愉しみだ。」

「まぁ、期待して待っとってや。」

瑠夏は興味なさげな唯賀の横顔をちらりと眺めつつ、ほんの少し、口角をあげて呟く。


「これは、波乱が起こる予感しかせぇへんわ。何せ、オーロ世代、唯賀勝羽と佐藤純、敵対グループの息子同士の争いなんて目に見えてるんやから。」



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