花は何時でも憂鬱で

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chapter2

新入生歓迎会

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「け~いちゃん!!悪いのは、この口か!!」

門川先輩が
会計の頰を両手でひっつかみ
横にビヨーンと伸ばし続ける。


「ふぁにふんだっ!!ふぉれはふぉんとうのことを(何すんだ!!俺は本当のことを)」

「京ちゃん。まだ、お仕置きが足りないようだね。涼花。」

門川先輩に呼ばれて
面倒そうにしながらも速水先輩は
会計の後ろに回って脇の下に腕を回して
身動きを取れないようにして
そこに笑顔の門川先輩が会計の前にたった。

「これが、グリグリ攻撃じゃぁああ!!!」

「いだいっ!!いだいっ痛~いっ!!!ぎぶきぶぎぶっ!!や~め~て~っ!!」

足をバタバタとばたつかせて
何とか逃げ出そうとして
かれこれ5分ほどたって

「今日は、このへんで勘弁してあげよう」

門川先輩が
満足したのか
ぱんぱんと手を叩くと、
ようやく生徒会会計は開放された。

「ったく、何なの?毎度毎度。俺、智たちに何もしてないよね?」

「俺たちに、してなくてもダメなの!!」

「白石先輩に、してるだろ。」

「あ~。ハイハイ」

会計が気のない返事をしたと
同時に、あちらこちらから声が聞こえてきた。


「あ!会計様がいるっ!!」

「本当だっ!」

「回り込めー!!!」


「何で、バレたの?!何で涼花?」

その声にいち早く反応した門川先輩が
頭を抱えだす。

「それは、さっきの大声だろ。美波の」

「ちょっと、他人のせいにしないでよね。元はといえば、グリグリ攻撃とかいってやってきた智が悪いじゃんっ!」

「あの、皆さま。落ち着いて下さい。とりあえず、逃げませんか?」

「じゃあ、逃げ切れたら西の森、時計台前に集合っ!!」


その会計の合図と共に
皆、一斉に全力で走り出した。


__のだが、誰かがコケた。


辺りを見渡すと、門川先輩、速水先輩、生徒会会計の姿が見えた。
俺がスピードを緩めたのに気づいてか
会計が俺に向かって声をかける。


「足手まといは置いてきな。いても邪魔なだけだし。」


その言葉に走っていた足を止めて
白石先輩の所に戻る。


「ちょっと、足挫いたみたいで
だから、僕のことは置いていってい、」

「わかりました。…………しっかり捕まって下さい。」

白石先輩の膝の裏に腕を差し込み抱え上げた瞬間に、思ったことはこの人が異様に軽いということだった。

「ちょっ!あの!これ、えぇ!!」

所謂、お姫様抱っこと呼ばれる体勢で追いかけてくる生徒から逃げ出す。

「ちょっと、静かにして下さい」

「あ、うん。………ごめんね。」

せめてもとこの白石先輩の
声だけでも抑えて事態の縮小化を図ろうとしたけれど、時既に遅し。

なにせ、このグループには
楽しいことが大好きな門川先輩がいたから。

「ブハッ!ちょっ!えぇっ!何やってんの、ウケるんですけど~っ。」

「智やめてやれ。流石にそれは……クッ。」

「やめてください。………速水先輩も笑ってますよね?」

「まぁまぁ、いいじゃないの~。蒼ちゃん?怒らない、怒らない。ま、とりあえずは逃げよっかね~、話はその後で。」


そう言うや否や
先輩たちは、俊敏に目的の場所まで走っていった。


「速いな。」


自分でも何で
こんなことをしながら走ってんのか
分からない。


でも、嫌だった。
理由なんてつけられない
けど、瞬間的に嫌だと思ってしまった。

それだけだ。



この先輩を思ってのものじゃなかった。


俺が、イヤだったから。




「白石先輩、〝あしでまとい〟なんていませんよね?」 

白石先輩は、一瞬、髪の毛の間から見える丸い瞳を大きく見開かせてふんわりと笑った。

「君は、やっぱり優しい子だね。」

「どこがですか。こんなのは、ただのエゴなのに。」

「でも、僕は優しい子だと思うから。だから、………ありがとうね、佐藤くん。」




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