花は何時でも憂鬱で

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chapter2

新入生歓迎会

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西の時計台前に近づくと 
目を引く金髪が見えた。


「佐藤くん。」

腕の中から聞こえてくる
不安を滲ませるその声に
ほんの少し視線をさげる。

「大丈夫です。」

「……でも。」

「大丈夫です。だから、何も言わないで下さい。」

「………………うん、わかった。」


西の時計台前の近くの
ベンチに白石先輩を下ろし
心配そうな瞳を俺に向け、複雑そうな表情をしながら見つめてくる白石先輩を背に会計の方へと足を運んだ。



「智たちは、脱落したみたいだね。」

腰に手を当てて、ため息をつきながら
会計はくるりとこちらを振り向き
こちらに歩を進めて
目の前で立ち止まった。


「それで?何で君は俺の言葉を無視しちゃったわけ?」

「何のことでしょうか?」

「役に立たない奴は、足手まといは置いてけって言ったよね?」

「申し訳ありませんでした。けど、足手まといには見えなかったので。」

「はぁ?現に怪我をして役にたちもしないでしょ?」

「会計様と違って、僕には役にたつ人と役にたたない人の見分けがつきませんでした。」


その言葉に反応した
会計の眉がピクリと歪んだ。


人、一人分は空いていた
その距離を一歩、詰められる。


「俺に歯向かうなんてさ、生意気だよねぇ。まったくさぁ、そういうのキライだなぁ~。ただ、黙ってるだけの根グラだと思ったのに。俺の言ってること間違ってると思うわけ?正論でしょ?」


にっこりと笑っている筈なのに
その瞳は、ひどく冷たい色を映している。



「ご気分を害されたなら、申し訳ありません。けど、1つ言わせて頂くなら…どうでもいいんですよ。どれが正論だろうと。」

「は?」

「だから、どうでもいいと申し上げたんです。どれが正論だろうとどうでもいいと。」

「……どうでもいい?俺の言ってることが間違いだって言いたいわけ?」

心の底から
言っている意味が分からないという表情をする会計は
さっきまでの笑顔の表情が崩した。

「いいえ。会計様のしたことが正しいのか間違いなのかも知りません。ただ………。」


その言葉を遮る様に脈絡もなく言葉が飛んでくる。



「いや、正論、だ」



凛と否定の言葉も受けつけないように
はっきりとその声が聞こえた。



その声の元を辿れば
会計の後ろの茂みの中から
ボロボロの黒河先生が出てきた。


「ゲッ?!黒河!!」

「ん?美波くん、げっはないだろ、げっは。」

「てゆうか、何でそんな格好してんの?黒河先生様?」

「また、昔みたいに泣かしてやろうか。京」

「はは。意味わかんないんだけどぉ?」

「大丈夫、大丈夫。ちゃあんとお兄さんが慰めてあげるから」

「うわっ!キモいから、それ。てか、何でそんな格好してるわけ?」

「しっぽ取りに決まってんだろ
ったく、容赦なく追ってきやがって。
俺、白衣なんだけど。
地獄のそこまで追いかけてこようとしやがって。」

「そんなの、決まってんじゃん。
今が、ムカつく保険医への憂さを晴らすチャンスだか、」

にっこりと笑う黒河先生の
笑顔にさっきまで饒舌に喋っていた
会計の口が止まった。


「留年かなぁ。」

「アハ…冗談、冗談」

その二人の会話を黙って聞いていたら
何故か、ふいに黒河先生と視線が
交じりあった気がした。





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