花は何時でも憂鬱で

青白

文字の大きさ
38 / 185
chapter2

新入生歓迎会





「暇だな。」

簡単に作られた木のやぐらの上で
椅子に座りながら
赤組代表の唯賀は退屈の声を漏らした。

「後、15分もないんですから。我慢してください。」

唯賀の横に立ちながら
都築は唯賀をたしなめる。


「だから、代表は断ったはずだ。俺がやった方が断然早いだろ?」

「確かにそうですけど。生徒会長は代表って決まってるんです。だからおとなしくしていて下さい。駿。」

「分かってる。」


残り15分とタイムリミットが迫る頃
赤組代表の唯賀駿を守っている
部隊も気が抜け始めていた。



それぞれのチームに与えられた
やぐらは木製で作られている。そして、そのやぐらを登るためには正面側の階段を使うほかない。
けれど、この正面側を攻めてくるものはほとんどいない、また、いたとしてもやぐらの近くにいる部隊によって
直ぐに捕まる手筈となっている。



所謂、鉄壁の守りだ。


「奇襲です!!」

そんな緩んだ雰囲気の中
突然、緊張の糸が張り巡らされる。


「誰だ?!」

「生徒会会計美波様!」

「それから、黒河先生です。」

「何で、あの方たちが?」

「いいから、捕まえろ!!」


唯賀と都筑もやぐらの上からその様子を見ていたのだが
すぐに捕まると思っていた2人が脱落する気配はなく
次々に赤組の生徒たちが脱落していく。

「何だ。」

「さぁ。分かりかねます。ちょっと、下を見てくるので待っていてください。くれぐれも、ここを動かないで下さいね。」

「あぁ。」

都筑が
唯賀のそばを離れてからすぐの事だった。

タンと足音が鳴った。


「何だ、もう戻ったのか?」

唯賀が暇でしょうがないと下げていた視線を上げる。そして、そこには白い髪を晒した人物が目の前に立っていた。


「誰だ?」

突然、現れた人物を唯賀は凝視し続ける。


「さて、誰でしょう?少なくとも言えることは
……。会長様、その鉢巻を頂戴しにきたってことですかね。」

「そう簡単にできるとでも思ってるのか?」

「えぇ、それはもう簡単に。」

そう言って、白髪のカツラを被っている春は椅子に座る唯賀のその右腕に絡まる赤い鉢巻を掴む。


「お前が近くに来るっていうことは、俺もお前の鉢巻を取れるって意味になるんだが?」

唯賀は春の首に下げられている鉢巻を
グイッと引っ張り
その拍子に春は唯賀の座る椅子の隙間に
片足を乗り上げる。
さらに縮まった距離からお互いに視線を交じらせあう。

「見たことない顔だな。」

「僕もですよ。会長様」

「俺を知らないはずないだろ。つくならもう少しまともな嘘をつくんだな」

「僕は興味がない人の顔は覚えない主義なんです。あぁ、ちなみに。ここにいるのは赤組代表の会長様だと決まっているので覚えていないフリではないですから。それとも、違う方でしたか?」


薄く弧を描く軽薄な様子に
唯賀の顔はピキリと歪んだ。


「お前、いい性格してるな。これを引っ張ればお前はゲームオーバーって分かってるのか?」

「そちらこそ、これを引っ張れば貴方のチームが負けだとお分かりですか?」


お互いに右腕に首に絡まる鉢巻をクイっと引っ張りながら


交わりあう視線


迫り来る瞬間が近づいて


残り5分となった時だった。


「会長様、図らせて貰いますよ。
貴方の器を。」

「は?」

「貴方はどちらを選びますか?この学校での“死”かそれとも、会長としての“死”か、好きな方をお選びください。」

「お前は、さっきから何を」


その唯賀の言葉は
ジジジジという耳障りな音でかき消された。








感想 0

あなたにおすすめの小説

目立たないでと言われても

みつば
BL
「お願いだから、目立たないで。」 ****** 山奥にある私立琴森学園。この学園に季節外れの転入生がやってきた。担任に頼まれて転入生の世話をすることになってしまった俺、藤崎湊人。引き受けたはいいけど、この転入生はこの学園の人気者に気に入られてしまって…… 25話で本編完結+番外編4話

百合豚、男子校に入る。

BL
百合をこよなく愛する男子高校生・眞辺恵。 母の歪んだ価値観により共学への進学を断たれ、彼が入学させられたのは―― 男同士の恋愛が“文化”として成立している、全寮制男子校《私立瑞嶺学園》だった。 この学園では、生徒会長は「抱かれたいランキング」で選ばれ、美貌こそが正義とされる世界。 それでも眞辺は決意する。 生徒会長になり、この学校を“共学”に変え、間近で百合を拝むことを。 立ちはだかるのは、顔面至上主義の学園制度、性に奔放すぎるイケメンな幼馴染、そして彼らに憧れ恋をする生徒たち。 さらに何故か、学園の人気者たちに次々と目をつけられてしまい――。 百合を拝むため男子校を変えようとする異端者が、歪んだ王道学園を改革する物語。

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第22話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ※第25話を少し修正しました。 ※第26話を少し修正しました。 ※第31話を少し修正しました。 ※第32話を少し修正しました。 ※第33話を少し修正しました。 ──────────── ※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!! ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~

青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」 その言葉を言われたのが社会人2年目の春。 あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。 だが、今はー 「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」 「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」 冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。 貴方の視界に、俺は映らないー。 2人の記念日もずっと1人で祝っている。 あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。 そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。 あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。 ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー ※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。 表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。

笑わない風紀委員長

馬酔木ビシア
BL
風紀委員長の龍神は、容姿端麗で才色兼備だが周囲からは『笑わない風紀委員長』と呼ばれているほど表情の変化が少ない。 が、それは風紀委員として真面目に職務に当たらねばという強い使命感のもと表情含め笑うことが少ないだけであった。 そんなある日、時期外れの転校生がやってきて次々に人気者を手玉に取った事で学園内を混乱に陥れる。 仕事が多くなった龍神が学園内を奔走する内に 彼の表情に接する者が増え始め── ※作者は知識なし・文才なしの一般人ですのでご了承ください。何言っちゃってんのこいつ状態になる可能性大。 ※この作品は私が単純にクールでちょっと可愛い男子が書きたかっただけの自己満作品ですので読む際はその点をご了承ください。 ※文や誤字脱字へのご指摘はウエルカムです!アンチコメントと荒らしだけはやめて頂きたく……。 ※オチ未定。いつかアンケートで決めようかな、なんて思っております。見切り発車ですすみません……。

灰かぶり君

渡里あずま
BL
谷出灰(たに いずりは)十六歳。平凡だが、職業(ケータイ小説家)はちょっと非凡(本人談)。 お嬢様学校でのガールズライフを書いていた彼だったがある日、担当から「次は王道学園物(BL)ね♪」と無茶振りされてしまう。 「出灰君は安心して、王道君を主人公にした王道学園物を書いてちょうだい!」 「……禿げる」 テンション低め(脳内ではお喋り)な主人公の運命はいかに? ※重複投稿作品※

平穏な日常の崩壊。

猫宮乾
BL
 中学三年生の冬。母の再婚と義父の勧めにより、私立澪標学園を受験する事になった俺。この頃は、そこが俗に言う『王道学園』だとは知らなかった。そんな俺が、鬼の風紀委員長と呼ばれるようになるまでと、その後の軌跡。※王道学園が舞台の、非王道作品です。俺様(風)生徒会長×(本人平凡だと思ってるけど非凡)風紀委員長。▼他サイトで完結済み、転載です。

和を以て貴しと為す

雨宿り
BL
"山奥に閉ざされた男子校"に入学した平凡な高校生の蓮水和は、周囲の異質さと距離を保ちながらもそれなりの日々を送っていた。 しかし、ひとつの事件に巻き込まれたことを境にその環境は一変する。 問題児の"転校生"と同室になり、クラスの"学級委員"に世話を焼かれ、"生徒会役員"と関わりができ、挙句"風紀委員"に目をつけられてしまう。 乗り越えたい過去と、目まぐるしい今に向き合いながら、和は様々な愛情を向けられるようになり...? ・ 非王道学園を目指しながらも、数多の美形たちに振り回されたり振り回したりするひとりの平凡によってお送りするぐちゃぐちゃとした群像劇をお楽しみいただけたらな、という感じのお話。 長くなる予定ですがのんびり更新して行きますので、気に入って頂けたら嬉しいです。 初投稿の為、なにか不備がありましたら申し訳ございません。 2026.03.12▶12話を更新。ふ、ふ、ふ。ようやっと出せました。このキャラを。という気持ちですが、まだ名前しか出ていないではないかと気が付きました。次回はガッツリ出す予定ですので。あと、書いていて三廻部先輩が思ったより元気になってしまって個人的にウケています。貴重なミステリアスお耽美枠が…。