花は何時でも憂鬱で

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chapter2

新入生歓迎会





『何だこの音は…』

自分の言葉がリフレインしているその違和感に眉を寄せた唯賀は辺りを見渡す。


『あれは………?』

『お気づきになりましたか?この音声とスクリーンに。』

得点の表示をしているスクリーンがこの赤組のやぐらを映し出しているのを唯賀は目に留めた。

得点表示がされるスクリーンは、会場のあちらこちらに設置されており突然変わったスクリーン画面に
辺りがざわざわと騒めきだしていた。


『どうやった?あれは、特定の人物にしか操作できない様になってる。』

『その特定の人物にご協力いただけたので。』


唯賀がそのスクリーンに
気をやられているうちに
鉢巻を握るその手からするりと抜け出した。


『会長様。会長ということは貴方は全校生徒の代表で生徒の模範となることに間違いはありませんよね?例え、どんなことがあろうと生徒を守る義務がある、そういうことですよね。』

『___そうだ。』

『では、さっきの選択を選んで下さい。この学校でいう敗北という名の“死”を選ぶか。………………それとも生徒を守れもしない会長としての“死”かを。』


春は、木製のやぐらの丸太の上に立ち上がり


『ゲームオーバーは、貴方です。会長様?』

その身を後ろへと投げた。


唯賀は、落ちていく春を見て驚きで目を見開く。

『待てッ!』

咄嗟に、唯賀はその落ちていく手をとろうとするが
その手を捕まえることはできない。


「クソ」

音声に拾われない程小さく呟いて
その言葉と同時に唯賀も
やぐらから身を乗り出す。




その様子をスクリーン越しに見ていた生徒たちの声が
一斉に静まる。




「唯賀様が…会長様が、負け、た?」


誰ともなく漏れでた声に連なり
また、誰かが声をあげる。



「そんなはずないだろ?!」

「はぁ?何でこれで負けなの?鉢巻は取られてないじゃん。」

「…それは。」

「でも、確かに、唯賀様は。」

「負けってのは、このゲームのことじゃあなく、負けたってことだろ?」

「一度だって負けたことがない人が、」

「やめろよ!」



辺りは様々な声で溢れかえる。




その様子を感じ取った
黒河と美波は立ち止まって
息を整えると周囲の動揺を
静観していた。



「アハッ、みごとに動揺してる。」

「そりゃ、まぁ。あの唯賀が負かされたっていう衝撃がデカイだろうからな」

「それにしたって何でわかんないのか理解できないんだけど?この〝しっぽとり〟じゃない部分での負け。会長としての“死”。会長が、信頼を無くすことに対しての負けだってさ。信頼は崩れ落ちるのは一瞬だしね?」

「会長として、生徒を守ると言った手前あそこで助けにいかない選択はありえない……けど、こういう形で言質とるとは思わなかったけどな。てゆうか、あいつら大丈夫かよ?あの高さから落ちたけど。骨折ですむか?」

「別に大丈夫でしょ~。俺をこき使ってくれた子、何て、別にどうでもいいし。それに、引くほど用意周到だし。俺を囮にするとかやってくれるよね~。まぁ、自分自身も囮なんだろうけど、ねぇ。」



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